「私バイトで遅くなるし、何時に終わるかわからないから」
「終わってからでいいから」
「24日の夜はどこに行っても込んでます。これ常識」
「ファミレスも?」
「うん」
24日に係長と食事に行きたくない理由は2つ。
1.どこも混んでいて、食事するところを探すのがイヤだった。
2.係長とクリスマスの夜を2人で過ごすのがイヤだった。
クリスマスイブやクリスマスの夜は、仲の良い友達とワイワイするか、家族でクリスマス料理を食べるか、一番大事な人とずっと一緒に過ごすかしたい。
私の中では、係長と過ごすのはNGなのだ。
24日係長からメールが入る。
「プレゼント渡したいからアパートにいっていい?」
え、この前の二の舞はイヤ。もう家には入れたくない。
「ごめんなさい。サンタの仕事が忙しいから」
「先約あり?プレゼント渡したいだけだから、明日、夕飯食べましょう。」
「ごめんなさい」
「え、では、今日、プレゼントだけ渡させて」
ここで逃げていたら、今までと同じ。
なぜダメなのか、はっきり言わなくちゃ。
せっかく、何でも言えるようになったのだから。
自分の気持ちをメールで係長に伝える。
「私イヤだったの。強引なところ。私、係長の彼女じゃない。友達と言っても入ってきてほしくないところがまだあるの」
イヤだろうな、プレゼントも用意して、楽しく過ごそうと思ったクリスマスに、こんなこと言われるなんて。
「また話しよう」と係長。
話をすれば分かり合えるのかもしれない。でも、毎回毎回、話をしなくてはいけないなんて・・・
いったい、係長は私の何がいいの?私のことがわかっているの?
「プレゼント、玄関にかけてきたから」
プレゼントは一晩中玄関にかかっていた。
プレゼントは、かわいいネコのエプロンと巾着。
考えて買ってくれたのね。と思っているところにメールが入る。
「このショップ、セーターとか衣類もあったよ」
また勘違いしている。私、ネコ好き。でも、私の好きな猫は招き猫。
ネコの柄の、ブラウスは持っているけど、これ安かったから。
あえて、ネコの柄の服を着ようとは思わないし、趣味ではない。
やっぱり私のこと見ていないんだ・・・
私の周りにいた男性と違いすぎるから、私もテンポが狂ってしまう。
「水漏れしてる」と言えば、駆けつける係長と、
「自分で直せるだろ。道具は貸すから取りに来い」という男友達。
女に扱われなかった分、居心地が良かった気がする。
優しく、何でもしてあげる。感が苦手なのよね。
係長には悪かったけど、今年のクリスマス、私は大切なプレゼントをもらいました。
「自分の気持ちをちゃんと伝えることの大切さ」
ケーキもツリーもなかったけど、聖夜は来ました。