WBCの影に隠れてあまり報道されなかったけど、日本で行われた世界フィギュアスケート選手権大会で、女子シングル坂本花織、男子シングル宇野昌磨、それとペア三浦璃来、木原龍一組が優勝しました。
中でも坂本花織と宇野昌磨は連覇を果たしています。
私が面白いと思ったのが坂本花織選手。
優勝したにもかかわらず、読んでないので内容は知らないのですが、ヤフコメでは随分な叩かれようだったとのことです。
ヤフコメは論外として、叩く人には分からない彼女の革新性、魅力があります。
今回はそれについて思ったことを書きます。
去年2022年のフリーの演技では、振付師は明らかにその彼女の革新性と魅力を全面的に押しだす振り付けをしています。
坂本花織選手に対する批判コメントの代表的なものは、2022年2023年はウクライナ問題でロシアの選手が参加しておらず、そんな大会での優勝は意味がないというもの。
実際、彼女はロシアの少女選手達がバンバン跳んでるトリプルアクセルも4回転ジャンプを跳べていないということ。
この点に関しては二つ指摘できることがあります。
一つはフィギュアスケートは芸術スポーツで、ジャンプの回転数だけを競うスポーツではないということ。
現在は、特に男子では、4回転ジャンプを何種、そして幾つ跳んだかみたいなことばかりテレビでは言われますが、本来フィギュアスケートはそういうものではないのです。
確かにそれによって加点はされますが、絶対的なものではありません。
フィギュアスケートはあくまで芸術スポーツなんです。
もう一つはロシアの少女選手達のドーピング疑惑。
カミラ・ワリエラが所属するエテリ・トゥトベリーゼコーチ門下は選手に対する徹底した管理を行うことで有名です。
当然、発覚したワリエラの薬物使用も周囲の大人達による組織的な関与が疑われています。
ロシアにおいて、少女選手達がバンバン4回転を跳ぶけれど、その背後で何か物凄く不自然なことが行われているのではないかと、多分フィギュアスケートに多少なりとも興味のある人は感じている筈です。
ドーピングまで行かなくても、フィギュアスケートをはじめとしたスポーツには不健康さ、不自然さが付き物です。
元フィギュア選手の鈴木明子さんは自らの経験からその事実を語っています。
要は現在のジャンプ偏重のフィギュアスケートが、女子の選手達にとっていかに過酷なものか、です。
結局、体が大人になりきっていない少女体型でなければ4回転ジャンプを跳ぶのは難しいらしいのです。
ロシアでは、跳べなくなればザギトワがそうであったように、20歳になる前にフィギュアスケートから遠ざかるしかありません。
ザギトワは10代半ばで金メダルを手にし、社会的に成功したからまだ良いのですが、練習の過程で心身を病む選手は少なくないようです。
坂本花織選手はそんなロシアの少女選手達の対極にいる選手です。
坂本選手の持ち味はスピードとパワーであり、女子のフィギュアスケーターでありながら、軽やかというよりどっしりとしてダイナミックな印象を受けます。
体型も、肉付きが良く、太ももが太い。
それは現在のボディポジティブの機運と合致しています。
「ボディポジティブ」については、知ってる人も多いでしょうけど、簡単に説明すると、当初ボディポジティブは太った人への差別に抗議することから始まっています。
要するに、痩せていることが良いことだという体型に対するステレオタイプの価値観に縛られず、自分のありのままの体型(ボディ)を前向き(ポジティブ)に受け入れようという考え方やムーブメントのことです。
この流れの中でフランスやイタリアでは痩せすぎたモデルを規制する法律ができたり、有名ブランドのサイズ展開が豊富になったりしました。
また、ドラマなどでもぽっちゃりしたキャラクターに、今までのように食欲を抑えきれないだらしない性格ではなく「自立して強く賢い」性格が与えられたりしてきているようです。
もちろんこの背景には、痩せていることが良い事だと思いこまされた挙句、多くの女性・少女達が摂食障害に陥っている事実があります。
先の鈴木明子さんも摂食障害を病んでいましたし、女子マラソンの選手の中にもいましたね。
要するに、死んでしまったり(私の知人にもいた)、人生を棒に振る女性達が少なからずいるということです。
一般の女性達も、必ずしも太っているわけでもないのに自分の体型にどうしても肯定感が持てず、不健康なダイエットに走る事例はあまりに多いです。
ボディポジティブの機運はそういう風潮の中で出てきて、それに抗う世界的なムーブメントなわけです。
今までのような、羽のように軽やかにジャンプして舞う女子のフィギュアスケーターのイメージを覆し、ガッシリとした体型でスピードとパワーを持ち、それでいて演技の美しさを兼ね備えた女子のフィギュアスケーターとして坂本花織選手の革新性があると思います。
ボディポジティブの機運の中で、もう一人、世界的に注目を浴びているスポーツ選手がいます。
タイトルにあげたケイトリン・オオハシ選手です。
彼女はアメリカの体操の選手です。
名前からも分かるようにお父さんが日系の選手です。
以下のYouTubeの動画は彼女が床の演技で10点満点を叩きだした時のものです。
動画の再生数は2.3億回、コメント数も5万8千を超えていて、世界中で、どれほど強い関心を持たれているか分かります。
コメントを読んでみると、必ずしも賞賛するものだけでなく、やはりネガティブなコメントもあります。
面白いのはネガティブなコメントには、恐らくロシア人が書いたと思われるキリル文字のものが多いことです。
(もちろんキリル文字でも賞賛コメントはあります。)
中にはケイトリン・オオハシがドーピングしていると決めつけているコメントもあります。
自分達がそれをやっているからって、人もそれをすると思うかなって感じです。
日本人である私から見ると、彼女の体型は日本人によくある体型だと思います。
私もそうなのですが、太ももが凄く張っています。
ヒップよりも太もも回りの方が大きいのです(私もそう)。
でもお腹はペッタンコで、いわゆる脂肪太りとは程遠く、鍛え抜かれた体型です。
(私の場合は鍛えてないので筋肉は少なく単なる脂肪)
ただ人種としての日本人のそういう体型が、そういう体型なのだと外国で理解されるかどうかは疑問で、彼女もまたそれで苦しんだようです。
私がまだ20代の頃、同僚の女性が旅先で外国人から「足が短い」と驚かれたという話をしたことがありました。
それもネガティブな意味合いで驚かれたのではなく、悪気も無く普通に驚かれたらしいのです。
ちょうど日本人が欧米人を見て「頭ちっさー」とか「足長ー」とか言うようなものです。
でも欧米人に「頭ちっさー」はNGワードですし、昔読んだドイツの小説では「この足長!!」と言って若い男性を罵っているシーンがありましたので、身体に関わることは褒めたつもりでも言ってはならないようです。
要するに人種が違うと、そういう体型があるということが分からず、自分達の社会の価値観でそれを判断してしまうのでしょう。
一部のロシア人がケイトリン・オオハシ選手の太ももを見ても、太っているとしか認識できないのはその所為です。
また、認識できないのはは一部のロシア人だけではなかったでしょう。
ケイトリン・オオハシ選手の場合、体操の選手です。
おそらくアメリカの体操界も同様じゃないかと思うのですが、私達には往年のナディア・コマネチのような理想の体操選手のイメージがいつのまにか出来上がっていて、選手がそこから外れることにプレッシャーをかけているのかもしれないです。
ケイトリン・オオハシ選手の経歴を見ると、子供の頃の彼女は体操を純粋に楽しんでいて、ジュニア時代はアメリカの体操エリートとして競技生活を送り、人並み以上の成果もあげていました。
10代半ば頃から周囲の期待や言葉に応えようとして食事制限にハードな練習と無理を重ね、ついには背骨の骨折・肩の損傷で体操エリートの道から脱落したようです。
実際には、思春期の彼女はかなり酷い言葉が投げかけられていたようで、自分の身体に強い劣等感を持っていたらしいです。
一時は体操を止めていたようですが、大学のチームに入り、そこでのコーチとの出会いで、あるがままの自分を肯定し、体操を楽しめるようになったそうです。
10点満点の彼女の演技を見ると、本当に楽しそうだし、彼女のチームメートも演技する彼女の真似をして、その表情から心底彼女をリスペクトしているのが伝わってきます。
思い出すと、あの京都橘高校吹奏楽部の少女達も、台湾公演での動画で、中国本土の中国人からどれほど足が短いとか太いとか体型をディスるコメントを書かれていたことか。
でも楽器を正確に演奏しながら激しくダンスするのにどれだけの体幹の強さがいるか、想像に難くないです。
太ももが太くなるのは当たり前なんです。
要するに体操であれフィギュアスケートであれ何であれ、パフォーマンスの評価に今まで考えられていたような理想の体型は関係なかったってことになります。
それがようやく分かったのが、ボディポジティブのムーブメントの起こった昨今だったのではないでしょうか。
それにしても、優れたパフォーマンスの土台となる日本女性及び日系女性の太ももには「あっぱれ」と言うしかないです。
私も自分の太ももに今までディスってきて悪かったと謝ります。
中でも坂本花織と宇野昌磨は連覇を果たしています。
私が面白いと思ったのが坂本花織選手。
優勝したにもかかわらず、読んでないので内容は知らないのですが、ヤフコメでは随分な叩かれようだったとのことです。
ヤフコメは論外として、叩く人には分からない彼女の革新性、魅力があります。
今回はそれについて思ったことを書きます。
去年2022年のフリーの演技では、振付師は明らかにその彼女の革新性と魅力を全面的に押しだす振り付けをしています。
坂本花織選手に対する批判コメントの代表的なものは、2022年2023年はウクライナ問題でロシアの選手が参加しておらず、そんな大会での優勝は意味がないというもの。
実際、彼女はロシアの少女選手達がバンバン跳んでるトリプルアクセルも4回転ジャンプを跳べていないということ。
この点に関しては二つ指摘できることがあります。
一つはフィギュアスケートは芸術スポーツで、ジャンプの回転数だけを競うスポーツではないということ。
現在は、特に男子では、4回転ジャンプを何種、そして幾つ跳んだかみたいなことばかりテレビでは言われますが、本来フィギュアスケートはそういうものではないのです。
確かにそれによって加点はされますが、絶対的なものではありません。
フィギュアスケートはあくまで芸術スポーツなんです。
もう一つはロシアの少女選手達のドーピング疑惑。
カミラ・ワリエラが所属するエテリ・トゥトベリーゼコーチ門下は選手に対する徹底した管理を行うことで有名です。
当然、発覚したワリエラの薬物使用も周囲の大人達による組織的な関与が疑われています。
ロシアにおいて、少女選手達がバンバン4回転を跳ぶけれど、その背後で何か物凄く不自然なことが行われているのではないかと、多分フィギュアスケートに多少なりとも興味のある人は感じている筈です。
ドーピングまで行かなくても、フィギュアスケートをはじめとしたスポーツには不健康さ、不自然さが付き物です。
元フィギュア選手の鈴木明子さんは自らの経験からその事実を語っています。
要は現在のジャンプ偏重のフィギュアスケートが、女子の選手達にとっていかに過酷なものか、です。
結局、体が大人になりきっていない少女体型でなければ4回転ジャンプを跳ぶのは難しいらしいのです。
ロシアでは、跳べなくなればザギトワがそうであったように、20歳になる前にフィギュアスケートから遠ざかるしかありません。
ザギトワは10代半ばで金メダルを手にし、社会的に成功したからまだ良いのですが、練習の過程で心身を病む選手は少なくないようです。
坂本花織選手はそんなロシアの少女選手達の対極にいる選手です。
坂本選手の持ち味はスピードとパワーであり、女子のフィギュアスケーターでありながら、軽やかというよりどっしりとしてダイナミックな印象を受けます。
体型も、肉付きが良く、太ももが太い。
それは現在のボディポジティブの機運と合致しています。
「ボディポジティブ」については、知ってる人も多いでしょうけど、簡単に説明すると、当初ボディポジティブは太った人への差別に抗議することから始まっています。
要するに、痩せていることが良いことだという体型に対するステレオタイプの価値観に縛られず、自分のありのままの体型(ボディ)を前向き(ポジティブ)に受け入れようという考え方やムーブメントのことです。
この流れの中でフランスやイタリアでは痩せすぎたモデルを規制する法律ができたり、有名ブランドのサイズ展開が豊富になったりしました。
また、ドラマなどでもぽっちゃりしたキャラクターに、今までのように食欲を抑えきれないだらしない性格ではなく「自立して強く賢い」性格が与えられたりしてきているようです。
もちろんこの背景には、痩せていることが良い事だと思いこまされた挙句、多くの女性・少女達が摂食障害に陥っている事実があります。
先の鈴木明子さんも摂食障害を病んでいましたし、女子マラソンの選手の中にもいましたね。
要するに、死んでしまったり(私の知人にもいた)、人生を棒に振る女性達が少なからずいるということです。
一般の女性達も、必ずしも太っているわけでもないのに自分の体型にどうしても肯定感が持てず、不健康なダイエットに走る事例はあまりに多いです。
ボディポジティブの機運はそういう風潮の中で出てきて、それに抗う世界的なムーブメントなわけです。
今までのような、羽のように軽やかにジャンプして舞う女子のフィギュアスケーターのイメージを覆し、ガッシリとした体型でスピードとパワーを持ち、それでいて演技の美しさを兼ね備えた女子のフィギュアスケーターとして坂本花織選手の革新性があると思います。
ボディポジティブの機運の中で、もう一人、世界的に注目を浴びているスポーツ選手がいます。
タイトルにあげたケイトリン・オオハシ選手です。
彼女はアメリカの体操の選手です。
名前からも分かるようにお父さんが日系の選手です。
以下のYouTubeの動画は彼女が床の演技で10点満点を叩きだした時のものです。
動画の再生数は2.3億回、コメント数も5万8千を超えていて、世界中で、どれほど強い関心を持たれているか分かります。
コメントを読んでみると、必ずしも賞賛するものだけでなく、やはりネガティブなコメントもあります。
面白いのはネガティブなコメントには、恐らくロシア人が書いたと思われるキリル文字のものが多いことです。
(もちろんキリル文字でも賞賛コメントはあります。)
中にはケイトリン・オオハシがドーピングしていると決めつけているコメントもあります。
自分達がそれをやっているからって、人もそれをすると思うかなって感じです。
日本人である私から見ると、彼女の体型は日本人によくある体型だと思います。
私もそうなのですが、太ももが凄く張っています。
ヒップよりも太もも回りの方が大きいのです(私もそう)。
でもお腹はペッタンコで、いわゆる脂肪太りとは程遠く、鍛え抜かれた体型です。
(私の場合は鍛えてないので筋肉は少なく単なる脂肪)
ただ人種としての日本人のそういう体型が、そういう体型なのだと外国で理解されるかどうかは疑問で、彼女もまたそれで苦しんだようです。
私がまだ20代の頃、同僚の女性が旅先で外国人から「足が短い」と驚かれたという話をしたことがありました。
それもネガティブな意味合いで驚かれたのではなく、悪気も無く普通に驚かれたらしいのです。
ちょうど日本人が欧米人を見て「頭ちっさー」とか「足長ー」とか言うようなものです。
でも欧米人に「頭ちっさー」はNGワードですし、昔読んだドイツの小説では「この足長!!」と言って若い男性を罵っているシーンがありましたので、身体に関わることは褒めたつもりでも言ってはならないようです。
要するに人種が違うと、そういう体型があるということが分からず、自分達の社会の価値観でそれを判断してしまうのでしょう。
一部のロシア人がケイトリン・オオハシ選手の太ももを見ても、太っているとしか認識できないのはその所為です。
また、認識できないのはは一部のロシア人だけではなかったでしょう。
ケイトリン・オオハシ選手の場合、体操の選手です。
おそらくアメリカの体操界も同様じゃないかと思うのですが、私達には往年のナディア・コマネチのような理想の体操選手のイメージがいつのまにか出来上がっていて、選手がそこから外れることにプレッシャーをかけているのかもしれないです。
ケイトリン・オオハシ選手の経歴を見ると、子供の頃の彼女は体操を純粋に楽しんでいて、ジュニア時代はアメリカの体操エリートとして競技生活を送り、人並み以上の成果もあげていました。
10代半ば頃から周囲の期待や言葉に応えようとして食事制限にハードな練習と無理を重ね、ついには背骨の骨折・肩の損傷で体操エリートの道から脱落したようです。
実際には、思春期の彼女はかなり酷い言葉が投げかけられていたようで、自分の身体に強い劣等感を持っていたらしいです。
一時は体操を止めていたようですが、大学のチームに入り、そこでのコーチとの出会いで、あるがままの自分を肯定し、体操を楽しめるようになったそうです。
10点満点の彼女の演技を見ると、本当に楽しそうだし、彼女のチームメートも演技する彼女の真似をして、その表情から心底彼女をリスペクトしているのが伝わってきます。
思い出すと、あの京都橘高校吹奏楽部の少女達も、台湾公演での動画で、中国本土の中国人からどれほど足が短いとか太いとか体型をディスるコメントを書かれていたことか。
でも楽器を正確に演奏しながら激しくダンスするのにどれだけの体幹の強さがいるか、想像に難くないです。
太ももが太くなるのは当たり前なんです。
要するに体操であれフィギュアスケートであれ何であれ、パフォーマンスの評価に今まで考えられていたような理想の体型は関係なかったってことになります。
それがようやく分かったのが、ボディポジティブのムーブメントの起こった昨今だったのではないでしょうか。
それにしても、優れたパフォーマンスの土台となる日本女性及び日系女性の太ももには「あっぱれ」と言うしかないです。
私も自分の太ももに今までディスってきて悪かったと謝ります。