なんとも奇妙な劇場体験をしました。
きっかけは前々回の記事「12月の男子新体操演技会 振り返り②」で触れたバレエ鑑賞です。
プログラムと一緒に貰ったチラシの中に「劇場実験 蘇るバレエ・リュス ー薄井憲二バレエ・コレクションの同時代的/創造的探究ー」というのがあったのです。
私がバレエ「くるみ割り人形と秘密の花園」を見に行ったのは、そもそも、ある男子新体操の演技に「これはロシアのバレエの古典だ。振付師は誰か?」というロシア人のコメントがあったからでした。
それで男子新体操の選手が賛助出演しているというバレエ「くるみ割り人形と秘密の花園」を見に行ったのでした。(それでどうだったかは前々回の記事を参照してください。)
ロシアのバレエの古典といえば、「白鳥の湖」とか「眠れる森の美女」が思い浮かぶのですが、日本の男子新体操はそんなものとは似ても似つきません。
ただ「韃靼人の踊り」ならば男性舞踊手の群舞という共通項があります。
そうだとするとロシア人のコメントの〝ロシアのバレエの古典〟は〝バレエ・リュス〟を指すことになるんじゃないかと思えました。
でも私、バレエ・リュスってよく知らないんです。
というかバレエそのものをよく知らないのです。(バレエ自体にあまり興味がない・・💦)
でも私だって西洋文化史の基礎知識は多少ながらあります。
バレエ・リュスがフランス語でロシアのバレエという意味であり、20世紀前半、ロシア人プロデューサーのディアギレフが率いたロシアのバレエ団であり、当時の西洋において、舞踊や舞台デザインのみならず、絵画、音楽、ファッション・文学などの芸術の世界に途方もないセンセーションを引き起こしたということくらいは知っていました。
要するに物凄かったわけです。
そのバレエ団の伝説的なバレエダンサー、ニジンスキーはあまりに有名ですしね。
貰ったチラシを見てみると、1月20日に京都芸術大学でバレエ・リュスをテーマに何かやるらしい。
入場無料だけど要予約となってました。
午後4時開演で3時間ほどかかるらしいのでした。
京都まで行く? 終了時間は午後7時。帰るの大変とか、色々と考えましたが無料というのに釣られ(!?)予約を入れました。
当日は雨でした。
阪急電車の京都河原町で降り、調べておいたバスに乗り京都芸術大学へ。
道路沿いの大階段を登った大学の中にある劇場「京都芸術劇場 春秋座」で劇場実験は行われました。
劇場 春秋座は歌舞伎上演を前提とした劇場で、花道があり、回り舞台もあります。
映像や講演、コンテンポラリーダンスなど、色んな演目があったのですが、最初と最後の映像と音楽の試みは、私の視力が悪化していることもあってか、よく分かりませんでした。
現在、プロジェクションマッピングもそうですが、映像を使って色んなことをやるのが流行っているのですが、見づらいし訴えるものも分からないし、私は好きではありません。
あれ、芸術でも何でもない万華鏡みたいなものに見えるんです。
(関係者は気になさらないでください。私は花火すら好きじゃない人!)
それ以外は分からないなりに面白かったです。
鈴木晶氏の講演ではバレエ・リュスの意義をより詳しく知ることができました。
バレエ・リュスが無かったら、今のバレエは無かったということです。
鈴木晶氏ははっきりとは語らなかったけれど、20世紀初頭のフランスのバレエは世俗化の一途を辿っていて、社会的にバレリーナ達は高級娼婦という位置付けでした。
翻ってロシアは革命前ですから宮廷の庇護もあり、バレエは芸術として発展していたのです。
芸術としてのバレエを引っ提げてディアギレフはパリにやってきたのでした。
この日の試みではバレエ・リュスの衣装の復元というのもありました。
復元された青い鳥の衣装です。
本物の貴重な一枚はバレエ関係の世界的なコレクターである薄井憲二氏の寄贈を受け、現在は兵庫県立芸術文化センターにあります。
1930年代のセルジュ・リファール着用の写真。
セルジュ・リファールはキーウ生まれでウクライナ・コザック出身のバレエダンサー。後にパリのオペラ座を立て直した人らしい。
当時ですから合成繊維はなく、ほとんど絹で、ディアギレフは衣装制作に金に糸目をつけなかったようです。
青い鳥の衣装が使われた「眠れる森の美女」はディアギレフが興行的に失敗した唯一の演目で、そのために彼は破産したとのことです。
復元された製作者の講演もあり、衣装は実際に着て踊れなくてはならないわけで、そのご苦労など語られました。
復元された衣装を着ての男性バレエダンサーの踊りも見ることができました。
この日の催しは劇場実験というだけあって来場者は座席に座ったままではいられない。
第二部の舞踊「パラード」では客はホワイエに出て並ばされました。
人数に限りがあるというので私もすばやく列に並びました。
連れていかれたのは舞台の上、そこからの舞踊の鑑賞です。
体育座りで座って見ていたのですが、座らされたのは舞台上の回り舞台の上、最後には回り舞台と一緒にグルリと回りました。
井原ではタンブリングマットの上に上がりましたが、今回は回り舞台を1周したわけです。
これで踊らされたら本当にビックリですが、さすがにそれは無し。
でもそれで終わりではなく、次は予約を入れた人だけ2階の座席に移動し、そこからの鑑賞でした。
それは音楽と映像との組み合わせで私には今一つ。
終わってからも劇場前で登壇者・出演者・来場者の懇談の場が設けられていましたが、さすがにそれは遠慮して帰りました。
来場者は200名くらいだったでしょうか。
見るからにバレエ関係の人がいました。
どこかのバレエ団のマダムのような人や、舞踊関係の知識人のような人など。
さすが、バレエ・リュスをテーマにするだけあって、ドラマか映画に出てきそうな雰囲気の人達。
私は自転車に乗ってスーパーに買い物に行くような恰好で来たんですけど。(雨降りだったから💦)
収穫はそれなりにあったように思います。
バレエ・リュスに関する本を一冊読んだような感じですし、男子新体操との関連もなんとなく掴めそうです。
最後に一言、京都の大学は偉い!!
花園大学も偉いし京都芸術大学も偉い!
こんな実のある催しを無料で見させてくれるなんて、市民に開かれた大学の意義、しっかり果たしています。
偏差値で大学を見てはいけないこと、肝に銘じておかなくてはなりません。
きっかけは前々回の記事「12月の男子新体操演技会 振り返り②」で触れたバレエ鑑賞です。
プログラムと一緒に貰ったチラシの中に「劇場実験 蘇るバレエ・リュス ー薄井憲二バレエ・コレクションの同時代的/創造的探究ー」というのがあったのです。
私がバレエ「くるみ割り人形と秘密の花園」を見に行ったのは、そもそも、ある男子新体操の演技に「これはロシアのバレエの古典だ。振付師は誰か?」というロシア人のコメントがあったからでした。
それで男子新体操の選手が賛助出演しているというバレエ「くるみ割り人形と秘密の花園」を見に行ったのでした。(それでどうだったかは前々回の記事を参照してください。)
ロシアのバレエの古典といえば、「白鳥の湖」とか「眠れる森の美女」が思い浮かぶのですが、日本の男子新体操はそんなものとは似ても似つきません。
ただ「韃靼人の踊り」ならば男性舞踊手の群舞という共通項があります。
そうだとするとロシア人のコメントの〝ロシアのバレエの古典〟は〝バレエ・リュス〟を指すことになるんじゃないかと思えました。
でも私、バレエ・リュスってよく知らないんです。
というかバレエそのものをよく知らないのです。(バレエ自体にあまり興味がない・・💦)
でも私だって西洋文化史の基礎知識は多少ながらあります。
バレエ・リュスがフランス語でロシアのバレエという意味であり、20世紀前半、ロシア人プロデューサーのディアギレフが率いたロシアのバレエ団であり、当時の西洋において、舞踊や舞台デザインのみならず、絵画、音楽、ファッション・文学などの芸術の世界に途方もないセンセーションを引き起こしたということくらいは知っていました。
要するに物凄かったわけです。
そのバレエ団の伝説的なバレエダンサー、ニジンスキーはあまりに有名ですしね。
貰ったチラシを見てみると、1月20日に京都芸術大学でバレエ・リュスをテーマに何かやるらしい。
入場無料だけど要予約となってました。
午後4時開演で3時間ほどかかるらしいのでした。
京都まで行く? 終了時間は午後7時。帰るの大変とか、色々と考えましたが無料というのに釣られ(!?)予約を入れました。
当日は雨でした。
阪急電車の京都河原町で降り、調べておいたバスに乗り京都芸術大学へ。
道路沿いの大階段を登った大学の中にある劇場「京都芸術劇場 春秋座」で劇場実験は行われました。
劇場 春秋座は歌舞伎上演を前提とした劇場で、花道があり、回り舞台もあります。
映像や講演、コンテンポラリーダンスなど、色んな演目があったのですが、最初と最後の映像と音楽の試みは、私の視力が悪化していることもあってか、よく分かりませんでした。
現在、プロジェクションマッピングもそうですが、映像を使って色んなことをやるのが流行っているのですが、見づらいし訴えるものも分からないし、私は好きではありません。
あれ、芸術でも何でもない万華鏡みたいなものに見えるんです。
(関係者は気になさらないでください。私は花火すら好きじゃない人!)
それ以外は分からないなりに面白かったです。
鈴木晶氏の講演ではバレエ・リュスの意義をより詳しく知ることができました。
バレエ・リュスが無かったら、今のバレエは無かったということです。
鈴木晶氏ははっきりとは語らなかったけれど、20世紀初頭のフランスのバレエは世俗化の一途を辿っていて、社会的にバレリーナ達は高級娼婦という位置付けでした。
翻ってロシアは革命前ですから宮廷の庇護もあり、バレエは芸術として発展していたのです。
芸術としてのバレエを引っ提げてディアギレフはパリにやってきたのでした。
この日の試みではバレエ・リュスの衣装の復元というのもありました。
復元された青い鳥の衣装です。
本物の貴重な一枚はバレエ関係の世界的なコレクターである薄井憲二氏の寄贈を受け、現在は兵庫県立芸術文化センターにあります。
1930年代のセルジュ・リファール着用の写真。
セルジュ・リファールはキーウ生まれでウクライナ・コザック出身のバレエダンサー。後にパリのオペラ座を立て直した人らしい。
当時ですから合成繊維はなく、ほとんど絹で、ディアギレフは衣装制作に金に糸目をつけなかったようです。
青い鳥の衣装が使われた「眠れる森の美女」はディアギレフが興行的に失敗した唯一の演目で、そのために彼は破産したとのことです。
復元された製作者の講演もあり、衣装は実際に着て踊れなくてはならないわけで、そのご苦労など語られました。
復元された衣装を着ての男性バレエダンサーの踊りも見ることができました。
この日の催しは劇場実験というだけあって来場者は座席に座ったままではいられない。
第二部の舞踊「パラード」では客はホワイエに出て並ばされました。
人数に限りがあるというので私もすばやく列に並びました。
連れていかれたのは舞台の上、そこからの舞踊の鑑賞です。
体育座りで座って見ていたのですが、座らされたのは舞台上の回り舞台の上、最後には回り舞台と一緒にグルリと回りました。
井原ではタンブリングマットの上に上がりましたが、今回は回り舞台を1周したわけです。
これで踊らされたら本当にビックリですが、さすがにそれは無し。
でもそれで終わりではなく、次は予約を入れた人だけ2階の座席に移動し、そこからの鑑賞でした。
それは音楽と映像との組み合わせで私には今一つ。
終わってからも劇場前で登壇者・出演者・来場者の懇談の場が設けられていましたが、さすがにそれは遠慮して帰りました。
来場者は200名くらいだったでしょうか。
見るからにバレエ関係の人がいました。
どこかのバレエ団のマダムのような人や、舞踊関係の知識人のような人など。
さすが、バレエ・リュスをテーマにするだけあって、ドラマか映画に出てきそうな雰囲気の人達。
私は自転車に乗ってスーパーに買い物に行くような恰好で来たんですけど。(雨降りだったから💦)
収穫はそれなりにあったように思います。
バレエ・リュスに関する本を一冊読んだような感じですし、男子新体操との関連もなんとなく掴めそうです。
最後に一言、京都の大学は偉い!!
花園大学も偉いし京都芸術大学も偉い!
こんな実のある催しを無料で見させてくれるなんて、市民に開かれた大学の意義、しっかり果たしています。
偏差値で大学を見てはいけないこと、肝に銘じておかなくてはなりません。
生で全編通しは12月に見たのが初めてです。
それほど興味もないですね。
京都の大学はやはりちょっと違う雰囲気です。
自由というか何というか、京都以外の大学と比較すると分かります。
バレエリュスは衣装も評判だったみたいです。
でも自分の美意識に妥協せず作っていて、結果、破産したりしてます。
こういう大学の試みは直接利益を生み出すものではないですが、訪れた人の知識や美意識を育むという点では素晴らしいと思います。
生では 一度も観たことありません
歴史を掘り起こすと興味深いものが ありますね
京都って いろいろ専門的な学部の大学が
あるんですね
NHKの「歴史探偵」で 登場する先生の大学名が
そんな学校あるの?です
こういう分野に携わっておられる方や
興味・関心のある方々が集まって
勉強できる場があると楽しいですね。
大学も人を集める工夫をしているのかな。
誰でも参加できる講座はありがたいですね。
よほど興味のある人しか行かないかも。
でも思っていたより人が来てました。
バレエ関係の人が多かったのかも。
そういう大学は、よく言えば偏差値バカはいないです。
美意識や芸術性は偏差値で計れないですし。
日本人の多様な感性を下支えしているのは案外こういう大学かもしれません。
東京でも新興大学や、学部生がいまいちパッとしない大学、面白いプログラムを持ってます。
妙な共通点(笑)