JAXA筑波宇宙センター特別公開のイベント
「H-IIA、H-IIBロケット打上げの魅力を語る座談会」に登壇した翌日の10月16日は、
JAXA調布航空宇宙センターの一般公開が行われたので、こちらにも行って来ました。

調布航空宇宙センターに来るのも初めてなのですが、ここはJAXAの本社所在地となります。
元々は航空宇宙技術研究所(NAL)だった施設なので、どちらかと言うと宇宙より航空のイメージが強いような気がしていましたが…

小型超音速実験機が展示されていました。
宇宙へ行くロケットだけではなく、次世代超音速実験機の研究もJAXAのミッションの一つです。

小型自動着陸実験機(ALFLEX)。
日本版スペースシャトルとも言われたHOPEにつながる完全自律飛行実験を行った機体です。
「はやぶさ」が帰還した地であるオーストラリアのウーメラ砂漠で1996年に実験が行われ、見事成功を収めています。

ALFLEXのお尻の方はこんな感じです。
ちなみにこのALFLEXが優秀な結果を残したことで、「はやぶさ」地球帰還地点をウーメラとする交渉が非常にスムーズに進んだとか。


そしてこれが、そのHOPE(HOPE-X)の強度試験用実物大模型。
食堂の前に、静かに佇んでいます。

遂に飛ぶことのなかったHOPE-Xの内部。
見果てぬ夢として終わってしまったHOPEですが、
今では日本の宇宙ステーション補給機HTV「こうのとり」がその意志を受け継いで宇宙を飛んでいます。

短距離離着陸(STOL)実験機「飛鳥」に搭載されたターボファンエンジン。
「飛鳥」もまた、実験機のみで終わってしまいましたねぇ…

イオンエンジンも展示されていました。
これは「はやぶさ」に搭載されて一躍有名になったμ-10ではなく、静止衛星の「きく8号」などに搭載されたモデル。
もちろん深宇宙への超長距離航行ではなく、静止軌道の軌道制御に用いられるものです。

月周回衛星「かぐや」の次のミッションとなる月着陸探査機SELENE-2の展示もありました。

SELENE-2以降の月探査では、こんなドリルを使って月面を掘削するようです。

スペースデブリ対策の研究の展示もあります。
調布航空宇宙センターでは、次世代の航空から宇宙探査まで本当に幅広く研究が行われているんですねぇ…
午後からは、調布飛行場に隣接したJAXA調布航空宇宙センター飛行場分室に移動します。

ここでは勿論、飛行機たちが主役!
JAXAで働く実験用航空機たちです。

ずんぐりむっくりの可愛いヘリコプター。
初めての純日本製ヘリだそうです。

1962年から働いているビーチクラフト機「クイーンエア」。

「クイーンエア」はつい先日、引退したばかりとのこと。
お疲れ様でした。
宇宙に関する施設もしっかりあります。

こちらは極限気体力学研究セクションの高速衝撃波管。
「はやぶさ」の地球帰還カプセルの飛行環境を再現することが可能で、
今後は「はやぶさ2」や「はやぶさマーク2(マルコポーロ)」の地球帰還カプセルの飛行環境評価にも用いられる予定だそうです。
また、今後計画されている火星の大気のサンプルリターン計画の高速飛行システム研究も紹介されていました。
火星の周回軌道に入ってから上層の火星大気を収集し、地球に帰還するというもので、これも魅力的なミッションですね!
かくして、2日間に渡って筑波宇宙センターと調布航空宇宙センターを堪能した秋の週末でした!
同じJAXAでも、それぞれ雰囲気が違っていて面白かったですね。

熊本に帰る前、羽田空港からは夕焼けに浮かび上がる富士山のシルエットが望めました。
色づく秋まっただ中。
日本が最も美しくなる季節です。