鉄路でも、はやぶさ復活!!
←その1:謎の列島北上編からの続き
2012年7月27日
早朝5時半、JR青森駅にやって来ました。
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…とは言え、つい5時間半ほど前にここに着いたばかりなんですが(笑)
青森駅から朝一番の秋田行き特急に乗って、すぐ隣りの新青森駅へと向かいます。
昨夜の終電で到着して、今朝の始発列車で折り返す。
まさしく小惑星探査機「はやぶさ」が打ち上げ1年後に再び地球近傍を通過して軌道を大きく変え、一気呵成に小惑星イトカワへと突き進んで行ったことを彷彿とさせる
“はやぶさ新青森パワースイングバイ” です!!
…まあ、実に意味のないことではあるんですが。
新青森駅の新幹線プラットホームで、これから乗る始発の東京行き列車の到着を待ちます。
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やがて北海道方面側から回送列車がやって来ました、
E5系「はやぶさ型車輌」で運転される、正真正銘の
新幹線はやぶさです!
新青森06:10発、東北新幹線「はやぶさ4号」東京行き。
…う~ん、でも欲を言えばこれが
「はやぶさ2号」なら、
現在JAXA宇宙研で機体を開発製造中の新しい小惑星探査機
「はやぶさ2」とぴったりシンクロするんですけどね、残念。
(※新幹線の「はやぶさ2号」は仙台始発の東京行きなのです)
さて、「はやぶさ」に乗り込みましょう!
今日の僕の座席は、10号車の、このドアの向こう。
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そう
“グランクラス” です!!
せっかくの“はやぶさ新青森パワースイングバイ”の為に、
大奮発して「はやぶさ」で最も豪華なこの座席を予約しておいたのです。
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グランクラスの座席は上品なベージュの革張り。
すべて電動で調整できるフルリクライニングシートで、国際線の航空機のビジネスクラスを彷彿とさせるセパレートのシェルに包まれた構造になっています。
座り心地はもちろん超最高!!
間違いなく、今現在の日本の鉄道では最も素晴らしい座席でしょう。
一度座ったら、もう起き上がりたくない!!(笑)
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グランクラスの座席は日立製作所と川崎重工、
それに世界的に有名な座席メーカーのレカロ社が共同で開発した特注品のようです。
座り心地がいいのも当然ですね。
グランクラスの素晴らしさに酔いしれているうちに、「はやぶさ4号」は新青森を発車してぐんぐん加速。
パワースイングバイ後の宇宙機のように凄まじい加速度で、時速300キロで東北を南下していきます。
走り始めてしばらくすると、グランクラスの乗客にはサービスとして食事が配られます。
和食と洋食が選べますが、洋食はサンドイッチで和食は懐石風弁当です。
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和食を頼んでみました。
とても小さな箱に入った上品な懐石膳です。
ちなみに、飲み物もアルコール類を含めてすべて無料でサービスされます。
僕は2020年の「はやぶさ2地球帰還」まで酒断ちしているので飲めませんが、
オリジナルのハウスワインなども振舞われるようです。
ううっ、正直、飲みたかった…グランクラスのオリジナルワイン…
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食後にはお茶菓子も出されます。青森のりんごを使ったアップルパイです。
至れり尽せりのグランクラスのサービスを満喫しているうちに、
あっという間に列車は東京駅に近づいていました。
「もっと乗っていたい…」 それがグランクラスの感想のすべてです。
…ただ、若干の残念な点も気になりました。
グランクラスの設備、ハード面の完成度の高さは素晴らしい。ほぼ完璧で、文句のつけようもありません。
でも、インテリアのデザインを見てみると、座席と室内をせっかく全体的に落ち着いたアースカラーでまとめているのにカーペットだけがやたらと派手な赤色で、室内の調和を乱している気がしました。
また、重要なサービス要素であるソフト面、人的サービスを担う客室乗務員の制服も…ハッキリ言って「これはないだろ…」というレベル。
どこかのオフィスビルの受付社員のようなデザインで、格好悪いです!
ここは思い切って、エアラインのキャビンアテンダントの制服を意識したようなベタな路線で攻めても良かったんではないでしょうか。
…等と偉そうに文句をつけていますが、
全体的には
「よくぞこれだけの設備を作ってくれた!素晴らしいぞJR東日本!!」と最大級の謝辞を述べたい気分です。
コスト削減と利益確保が至上命題のようになってしまった現代日本に於いて、これだけ質にこだわったサービスを提供するのは並大抵の努力では成し得なかったでしょう。
伝統と栄光を誇る九州の名列車、そして奇跡の宇宙船。それぞれの名前を未来に引き継ぐべくして生まれた列車の為に、こんな素晴らしい車輌とサービスを用意してくれたJR東日本とメーカーのスタッフの方々に感謝!
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新青森からわずか3時間ほど、09:24に「はやぶさ4号」は東京駅に到着。
名残惜しいくらいに素晴らしい旅でした。そして…
“はやぶさ新青森パワースイングバイ”成功!!
さあ「はやぶさ」に続いて、急いで東海道新幹線「のぞみ」に乗り換えて新横浜駅へ行きましょう。
そこからJR横浜線に乗り換えれば、JAXA相模原キャンパス最寄りの淵野辺駅まではすぐに到着します。
JAXA相模原キャンパス特別公開2012の開始時刻、午前10時まであと30分。淵野辺へ急げ急げ!!
→その3:相模原例大祭、1日目!編に続く