Photo:MUZEJ SUVREMENE UMJETNOSTI ZAGREB(MSU)/ザグレブ現代美術館
←8:ザグレブ技術博物館のニコラ・テスラからの続き
ザグレブ技術博物館では数々の宇宙展示やカールツァイスのプラネタリウムを堪能し、天才発明家ニコラ・テスラの世界にも浸り、更には博物館のボランティアスタッフが「せっかくだから参加しなさいよ」とわざわざ呼びに来てくれたので「クロアチアの鉱物資源と鉱山の展示コーナーのガイドツアー」にも連れて行ってもらって(←この鉱山のガイドツアーは博物館の地下フロアに組まれた広大な鉱山の地下坑道を模したコースを歩いて見て廻る、実に本格的で興味深いものだった!) 、大満足で見学を終えた。
…実のところはもっと見ていたかったのだが、今日は日曜日なので昼には博物館を閉めてしまうとのこと。名残惜しいが、博物館のボランティアスタッフの皆さんに礼を言ってザグレブ技術博物館を後にする。
さて、午後は何をして過ごそうか。
せっかくのいい天気だし、トラム(路面電車)の一日乗車券も持っているので、ちょっとピクニックがてらザグレブの郊外にトラムで繰り出すことにしよう。
…という訳でトラムに乗って、サヴァ川を渡った市街地の南側に広がるノヴィ・ザグレブ(ザグレブ新市街地区)にやって来た。
ここには、MUZEJ SUVREMENE UMJETNOSTI ZAGREB(MSU)ザグレブ現代美術館がある。
2009年に完成した、まだ新しい建物のザグレブ現代美術館は、大型ショッピングモールやマンションが立ち並ぶザグレブ新市街地区ニュータウンのランドマーク的な施設で、大変充実した展示を誇る(館内は撮影禁止だったようなので写真は撮っていないが、ユーゴスラビア解体とボスニア・ヘルツェゴビナ紛争をテーマにした壁一面を覆う巨大なタペストリー作品が印象的だった)。
クロアチアの新しい文化的シンボルである。
ザグレブ現代美術館でコンテンポラリー・アートを堪能した後は、大通りを挟んだ斜向かいにある大型ショッピングモールでウィンドウショッピング。
“市場を見ればその国が解かる”とはよく言われる事だが、郊外型のショッピングモールの館内はクロアチアでも日本でも雰囲気はほとんど同じ。つい二十年ほど前にユーゴ紛争を経験したこの国も、今では順調に経済発展を遂げて豊かな消費生活を送っているということが見て取れる。
…などと偉そうに経済論を述べながらも、もう昼過ぎだ、今日は朝に寝台列車LISINSKI号の車内で小さなパンとお茶の朝食プレートを食べただけなのでお腹が空いて足元がフラフラする(笑)
せっかくなのでショッピングモールの中のスーパーマーケットで何か買って食べよう。
という訳で、スーパーマーケットで買ってきたのはJAPANが世界に誇る国際食SUSHI!
ちゃんと日本語のひらがなでどうぞめしあがれと書いてあるぞ。ちなみにこれはOSAKAというセットですが、ちゃんとTOKYOもありました。
“SUSHIを食べてみればその国の食文化と食生活レベルが解かる”というのは僕の持論だが、クロアチアのSUSHIは米の炊き方がふっくらとしていてかなりの上出来でとても美味しかった。
お見事な寿司でした、あっぱれクロアチア!
寿司を食べたらついでに夕食の買い出しも済ませて、スーパーマーケットの買い物袋を提げてトラムに乗って中央駅前のビジネスホテルに帰る。
シャワーを浴びて汗と街の埃を洗い流してから、スーパーマーケットで買ってきたパンとチーズにトマトで夕食。
真夏のヨーロッパではなかなか日が沈まない。
もう夜8時過ぎなのだが、ザグレブ中央駅前はまだ明るい。ホテルの部屋の窓の下を、さっきザグレブ新市街地区から乗って帰ってきた水色のトラムが夕陽を浴びながら行き交う様子が見える。
ようやく日が暮れて辺りの熱気が薄れ、涼しい夜風が吹き始めたらさぁザグレブの夜の街に繰り出そう!
…という体力は残念ながら残っていなかった。
何しろよく考えたら、昨日(実際には時差があるので実質2日前)に日本を出て以来、飛行機と寝台列車を乗り継いでずっと移動していたのだ。更に今日は一日精力的に博物館と美術館を巡ったので身体の疲労もピークに達している。
食事を済ませて歯を磨くと、そのまま自動的に身体がベッドに潜り込んだ。ああ、2日ぶりの動かないベッド…
おやすみなさい。
今夜はぐっすり寝て体力を再チャージしたら、明日はいよいよ朝から列車でボスニア・ヘルツェゴヴィナの首都サラエボに向かう。
→10:ザグレブ発サラエボ行き397列車の旅 前編に続く