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ここに来るのは2年前の秋に特別企画展『はやぶさ』の挑戦を見に来た時以来だ。
今回はクルマで高速道路を走って来たので、熊本県八代からは2時間余りで到着。
さて今日は、JAXA理事の井上一先生と宇宙研対外協力室の阪本成一先生が登場するという豪華な内容。
さらに会場はプラネタリウムのドーム内という、宇宙ファンにはたまらない心憎い演出がなされている。
佐賀県宇宙科学館、さすがだな。
先ず、井上先生から「日本の宇宙科学」と題して、「ひので」「あかり」「すざく」を中心に宇宙研の打ち上げた衛星の説明。
続いて質疑応答に入るが、固体燃料ロケットと液体燃料ロケットについての解説や「あかり」の遠赤外線全天サーベイについての質問への説明に続いて、現役女子高校生からの「宇宙の研究者になりたいがどんな勉強をすればいいのか。大学はどう選べばいいのか。」という質問に対して井上先生は「まずは理科と数学の勉強が大事です」と前置きしてから
「好奇心を持って、物事を筋道立てて考えることが大事。大学も総合大学以外もよく調べれば、宇宙と関わる対象となるところは多い」とアドバイス。
さらにマイクを阪本先生が引き継いで
「私は高校生の頃は映画を撮っていたし、大学でも天文学ではなくスポーツの合宿に打ち込んでいた。でも、その経験は大事だった。
トップになってやる!と思うことが大切。何でも一番になるにはどうすればいいか、自分で考えることができる。
人の意見の寄せ集めはダメです。だからあなたには『人の真似の練習』だけはするな、と言いたいです。」
とのこと。
うむむ、成程。
続いて「H-IIAロケットでの打ち上げも出来ないかも知れない『はやぶさ後継機』に対して天文衛星は優遇されているのでは?」という質問には
「天文衛星の優遇はないです」とした上で
「『はやぶさ』は非常に大事な、全く新しいことをやった。それ故、2番手の計画はどうしても結果が薄れるということがあり、必ずしもコンセンサスを得られない点がある。
でも『はやぶさ2』は、やる方向で動いています。」
井上理事から直接このお言葉が聞けたのは、やはり嬉しい。
それから僕と同じ列に座っていた、やはり熊本から参加したという大学浪人生さんから「以前、きみっしょんに参加したが、指導してくれた先生方は気さくな人たちばかりで感激した。天文学者は気さくな人が多いのか?」という質問には井上先生も思わず笑顔で
「天文学者は気さくだよ」と即答。
続いて阪本先生も
「今日はネクタイなんか締めてるけど、我々は普段の相模原キャンパスではジーンズにポロシャツ着てウロウロしている。それに理系の研究者は理事だろうが学生だろうが対等で、お互いの事をさん付けで呼び合う同格です。
だからあなたも将来我々の研究チームに来れば、学生でも対等の研究者です。」
すっかり和やかな雰囲気になって、第一部は終了。
休憩時間、阪本先生に挨拶する。
「先生、お久し振りです、先日の相模原キャンパス一般公開ではお世話になりました。」
「あ~あの時の熊本の方!」
阪本先生、相変らず激務の日々のようですが、どうぞお身体にだけはお気を付けられて下さい。
席に戻ると、先程井上先生に質問していたきみっしょん経験者の浪人生さんから声をかけられ、暫し歓談。
この方、何と東大合格を目指し勉強中とのこと。
「宇宙をやりたいのに医学部受験の特待コースに入れられて困ったんですよ~♪」とのこと。何か凄い悩みだな~。。。
続いて第二部。
阪本先生から「そと(宇宙)に出てはじめて分かるうち(地球)」と題して、「はやぶさ」や「かぐや」などの探査機の情熱ある解説。
「行けるところには行ってみるのが一番」
「探査機の撮った、丸くて天体だと認識できる地球のイメージは大事」
そして「すべては地球の理解のために」
宇宙探査機のミッションの何たるかを言い切った、まさに名言だなぁ・・・
続いて質疑応答。
僕も質問しました。
「僕は、『はやぶさ』の大活躍に感動した一宇宙ファンです。
現在、日本中に僕のような宇宙ファンは大勢居ます。そして僕も含めて、みんなインターネット上で集まったりして自分なりに『はやぶさ』やそれ以外のJAXAのミッションを応援したいと思っています。
そんな一宇宙ファンが出来る応援の方法にはどんなものがあるでしょうか?」
阪本先生「とにかく、輪を広げて行って欲しい。こんな面白いことをやっているんだぞって、みんなにどんどん紹介して下さい。」
井上先生「基礎科学の大事な面だと思う。科学衛星のミッションに掛かる費用はだいたい200億円、国民1人当たり200円程度の金額だ。是非、インターネットを活用して政治家に財務省に呼びかけて欲しい。」
そうか、以前松浦晋也さんの呼びかけで財務省やJAXA上層部や内閣府、文部科学省に「はやぶさ2」実現をお願いするメールを送ったり、はやぶさまとめではやぶさ2を実現させよう勝手にキャンペーンをやった方向性で合ってたんだな。
それから、「是非子供たちに『かぐや』の地球の出ハイビジョン映像などを見せてやって欲しい」という意見には
「JAXA宇宙教育センターとしても全国の学校とコンタクトを取って、子供たちに見てもらいたいです」という回答。
最後に井上先生から「宇宙基本法」と絡めて「人類として尊敬される宇宙科学を」との挨拶で「第31回JAXAタウンミーティング」は無事全予定を終了した。
帰り際、東大を目指す浪人生さんに「今しかできないことだから、チャレンジして。近い将来、JAXA研究者になったあなたと相模原キャンパスで再会できるのを楽しみにしていますよ」と挨拶(ちょっとキザ過ぎるセリフだったかな?)。
それから、井上先生と阪本先生にお礼。阪本先生、明日からイギリス出張だそうですがどうぞお身体に気を付けられて、お元気で。
井上先生には握手して頂きました。ホントに気さくな方で、感激。
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タウンミーティング終了後、プラネタリウム隣の天文台で昼の金星を見る。
それから再びプラネタリウムのドームに入り、「サタデーナイトプラネタリウム」と銘打ったオペレーターさん生解説での星空解説。「月うさぎ」という可愛らしい番組もあり。
さらに日が暮れるまで待って、「夜の天体観望会」にも参加。
アルビレオを生で見て感激。「銀河鉄道の夜」を読んで以来、一度この眼で見てみたかったんだよね。
かくして、JAXAタウンミーティング以外にも盛り沢山の佐賀県宇宙科学館でした。
しかし、今度僕の地元の熊本県でもJAXAタウンミーティングをやってくれないかなぁ…
平成20年10月17日補足
JAXAホームページに開催報告が掲載されています
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