天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 29:バルセロナ街歩き 夜のサグラダ・ファミリア

2014-06-30 | 旅行記:2014初夏 スペイン
Temple expiatori de la Sagrada Família~聖家族教会サグラダ・ファミリア~


28:L'AUDITORIでユース・カタルーニャ管弦楽団を聴くからの続き

闇に浮かび上がり夜空に聳え立つ、奇妙でいびつな異形の塔。夜の聖家族教会サグラダ・ファミリア
…もはや、この世のものとは思えません。



闇の中の「生誕のファサード」 は、まるで異世界への入り口…



真夜中に見る全く理解不能でひたすら恐ろしい夢を具現化して、バルセロナの街角に無理やり出現させたかのようです。
一体何というものをガウディは、そして人々は建てようとしているのでしょうか…!

「夢幻」や「幻想」を超越して、「畏れ」を感じずにはいられません。

あまりにも恐るべき光景を呆けたように見上げていると、だんだん「見てはいけないものを見てしまった」 ようなおかしな気分になってきました。
そろそろ帰って寝たほうが良さそうです。
明日、夜が明けてからまた来ます。おやすみなさい、サグラダ・ファミリア。



もう時刻は夜中の23時近くですが、サグラダ・ファミリアの真横にある駅からメトロ(地下鉄)5号線に乗ってホテルへ帰ります。
メトロはスリや置き引き、ひったくりが特に多い危険地帯!深夜は特に危険度が増している筈。
用心に用心を重ねて、なんとか無事にメトロを乗り切ってホテルまで戻らなくては…

…でも、こんな時間でもメトロに乗る人は結構多いし、怪しい人も特に見当たりません。



スマホを見ながらプラットホームを歩いてる女性もいるし、何だか僕から見ても「おーい、そんなことしてると危ないぞ!もっと気をつけた方がいいぞ!!」と声をかけたくなるなぁ。



結局、メトロでは怖い目に遭うこともなく、無事にサンツ駅前のホテルに帰って来ました。

サンツ駅でメトロから地上に登ってコンコースを歩いていたら、チンピラっぽい奴から「Chinese!Chinese!」と声をかけられたけど、シカトしてたら諦めてどこかへ行っちゃったし、特に危険は感じないなぁ…

バルセロナってホントにそんなに危険な犯罪都市なの?

いやいや、そう思って気が緩んで、油断すると一番危ないんだ。注意は怠らないようにしないと…





風呂上がりにホテルのベランダからバルセロナの夜景を眺めていると、涼しい夜風が吹いてきてとても気持ち良いです。
スペイン人には夜更かし好きの宵っ張りが多いという理由が分かるような気がしますね。

でも、もう日付も変わったしそろそろ寝ましょうか。
夜が明けたら街歩きに出かけるので、今夜はしっかり寝て体力を回復しておかないと…

おやすみなさい、バルセロナ…

30:バルセロナ街歩き2日目 サグラダ・ファミリアで寿司ランチに続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 28:L'AUDITORIでユース・カタルーニャ管弦楽団を聴く

2014-06-29 | 旅行記:2014初夏 スペイン
Barcelona ~マリナ通りからサグラダ・ファミリアを望む~


27:バルセロナ街歩き サグラダ・ファミリアをぐるっと一回り!からの続き

サグラダ・ファミリアの「生誕のファサード」前を通るマリナ通りを歩いて、次の目的地へと向かいます。
地図によるとせいぜい数百メートルしか離れておらず、すぐに着けるはず…


マリナ通りからは、サグラダ・ファミリアがずっと見えています。
そびえ立つ尖塔は、この辺りでは一番の高層建築ですからね。


通りに面したこの巨大な建築物は…モヌメンタル闘牛場です。
闘牛といえば、スペインのシンボル!
スペインの国技であり、「カルメン」の悲劇的なエンディングの舞台ももちろん闘牛場でしたよね。

…しかし今では動物愛護の観点から、牛を殺して愉しむ闘牛はスペインでも否定されつつあり、既にここバルセロナを含むスペイン北部カタルーニャ州では闘牛は全面禁止となっているのです。
現在、このモヌメンタル闘牛場は閉鎖されて静まり返っています。ちょっと寂しい気もしますが、闘牛で散々弄ばれた挙句殺される牛に心を痛めていたのも事実なので、ここは闘牛の禁止を成し遂げた21世紀のカタルーニャの人々の勇気を讃えたいと思います。

さて、モヌメンタル闘牛場まで来たら、2ブロック先の角を左に曲がると目的地に到着…




やって来たのはここ、L'AUDITORI(ラウディトリ)
バルセロナでも最も近代的なコンサートホールで、最新の音響設備を備えています。

バルセロナといえば、ヨーロッパを代表する芸術の都の一つ。
もちろん音楽も盛んで、市内のコンサートホールやオペラハウスでは日夜、演奏レベルが高く素晴らしいコンサートが開催されています。
“なんちゃってクラシック音楽ファン” を自認する僕としても、バルセロナに来たらクラシックのコンサートに行くのが楽しみで、旅行前からコンサート情報を調べて滞在日に開催されるコンサートのチケットをネットで手配しておいたのです。

ボックスオフィスで、日本から持参した今夜のコンサートの予約バウチャーをチケットに引き換えてもらい、さぁホールの中へ…
と思ったけれど、ちょっと早く来過ぎました。まだ開演時間まで2時間もあります。
「しまった、もっとゆっくりサグラダ・ファミリアを見てから来れば良かったな…」などと考えながらL'AUDITORIの周辺を歩いていたら、裏口の前を通る道にトラム(路面電車)が走っているのを発見。


トラムを見たら乗りたくなるのが鉄道好きの哀しい性(笑)
停留所のチケット自販機もスペインらしく非常に使いやすくて、簡単に乗車チケットを買えたので、次に来たトラムの電車にふらっと乗車。


数十分で終点に到着。
バルセロナのトラムのことは全く調べていなかったので、ここはどこだかよく分かりませんが、スペイン国鉄renfeの近郊電車セルカニアスに接続する郊外の駅です。
「何だか雰囲気が、地元熊本の上熊本駅周辺とよく似てるなぁ…」などと呟きつつ、折り返し電車に乗車。
帰りのトラムの電車からは、夕陽に染まったサグラダ・ファミリアが遠くに見えます。
「ああ、何だか熊本電鉄の電車から熊本城を見てるみたいだなぁ…まさかバルセロナが熊本と似てるなんて本当に意外だなぁ」
(街ぐるみで芸術を愛好しているところや、古い因習に囚われず革新を恐れない基質もバルセロナに似てくれたら、もっと嬉しいんだけどね!)

L'AUDITORIの裏口の停留所に戻ってきたら、ちょうど午後8時。今夜のコンサートの開場時刻です。


近代的なホールにふさわしくコンクリート打ちっ放しのモダンな内装が印象的なホワイエ。






今夜のコンクリートが開催される、2200席を備えたシンフォニーホール「パブロ・カザルス」
カタルーニャが生んだ世界的チェロ演奏家であり、スペインの国民的英雄である巨匠カザルスの名を冠するホールです。
そう言えば日本にも「カザルスホール」があったけど、今はどうなっているのかなぁ…


今夜の演奏は…
マネル・バルディビエソ指揮のユース・カタルーニャ管弦楽団によるヒンデミット、スクリャービンなどの演目です。

ユース・カタルーニャ管弦楽団はその名の通り若い音楽学生によるオーケストラのようでしたが、大柄で熊を思わせる堂々たる体躯のマネル・バルディビエソの指揮で若々しい演奏を聴かせてくれました。
「画家マティス」の高揚感はやっぱりカッコイイなぁ…


演奏後はアンコールもなく実にあっけなく終演。
舞台の上で記念写真の撮影に興じたりして、実に微笑ましいユース・カタルーニャ管弦楽団の若き音楽家たちに拍手!
観客もオーケストラ団員の両親や家族が多かったようですね。「パブロ・カザルス」ホールに一人紛れ込んだ謎の東洋人は、実際かなり浮いていたようです。


L'AUDITORIの外に出ると、辺りはすっかり真っ暗。もう午後10時半を回っています。
素晴らしい音楽を聴いてすっかりいい気分になっていますが、ここは芸術の都であると同時に治安最悪の犯罪都市でもあるバルセロナ。夜になって危険度も増している筈、気を引き締めてホテルまで帰らねば…
やっぱりタクシーに乗った方がいいかな…
でも、コンサートホールの前で客待ちしてるタクシーでも安全とは限らないだろうしな…

などと逡巡していると、コンサートの観客たちは皆、平気な顔で夜道を歩いて帰るようです。あまり頑健には見えないご老人や女性も普通に歩いて行くので、地元の人達がこの調子なら安全だろうと思い切って、僕も歩いて地下鉄の駅まで行くことに。



「ああ、大通りのマリナ通りにはこの時間でも人通りが多いし街灯もあって明るいし、これなら地下鉄駅まで歩いても問題無さそうだ…
あっ、そうだ。地下鉄の駅まで行ったら…夜のサグラダ・ファミリアが見られるぞ!」

29:バルセロナ街歩き 夜のサグラダ・ファミリアに続く

昨日のSL人吉(平成26年6月28日・人吉行き)

2014-06-29 | 鉄道

昨日は朝から、熊本市現代美術館に「水戸岡鋭治からのプレゼント - まちと人を幸福にするデザイン展」 を観に行ったのですが、
その途中でちょうど人吉行きのSL人吉と遭遇する時間帯になったので、JR松橋駅近くの路上で待ち構えて撮影(最近、このパターンが多いな(笑))。

先週見つけた撮影場所で、今回は思い切って真横から見上げるような角度で狙ってみました。
うーん、ちょっと機関車ハチロクの顔が門鉄デフで隠れちゃってるのが気になるな…

また頑張ります(笑)


撮影地:鹿児島本線 松橋―小川間

水戸岡鋭治からのプレゼント - まちと人を幸福にするデザイン展 に行ってきました

2014-06-29 | 博物館・美術館に行く

JR九州の列車や駅のプロデュースをはじめ、全国各地の様々な公共デザインを手がける工業デザイナーの第一人者、
水戸岡鋭治先生の個展「水戸岡鋭治からのプレゼント - まちと人を幸福にするデザイン展」 が熊本市現代美術館で始まりました。
水戸岡先生の展覧会は既に数年前からJR博多駅の博多シティで何度か開催されており、僕も観に行ったことがあるのですが、熊本での開催はこれが初めてではないでしょうか。
地元の熊本で水戸岡ワールドが観られるチャンスということで以前から楽しみにしていたこの展覧会、昨日の会期初日の朝一番に早速観てきました!

※会場内の写真は許可・確認を得て撮影・掲載しています


水戸岡ワールドへの入り口は、水戸岡デザインではお馴染みの「暖簾」をくぐって入ります。
りんごは水戸岡先生率いるドーンデザイン研究所のシンボル。




これは圧巻!
水戸岡先生のイラスト作品数千枚が収められた数百枚ものパネルが会場を埋め尽くしています。
しかも、全てのパネルが床に近い高さまでびっしりとイラストが配置されていますが、これは小さな子供が見やすいようにとの配慮とのこと。
子供のためのデザインを大事にする水戸岡さんらしい展示手法です。




水戸岡先生の代表的な仕事であるJR九州の鉄道デザインの数々。
日本の鉄道の歴史に「美しいデザインの重要性」 という概念を初めて持ち込んだ水戸岡先生の功績は偉大です。


会場には何と、子供たちを乗せたミニSL「つばめ電車」も走ります!
大人も子供も、みんながビックリして、そして思いっきり楽しめる。これぞ水戸岡ワールドの真骨頂!!


展示の数々に見入って、少しくたびれてしまったら、カフェで「つばめ電車」を見ながら一休み。
飲食禁止が常識の美術館の展覧会場内に堂々と飲食コーナーがあるのも水戸岡先生のこだわりです。

ひときわ目を引く、JR九州デザインの集大成ともいうべきクルーズトレイン「ななつ星in九州」の展示。



「ななつ星」車内で実際に使用されている小物類の実物展示。


バスローブとサニタリーグッズ。
ああ、はやく僕もこのバスローブを着て「ななつ星」車内で寛いでみたい…


そして憧れの、食堂車の食器セット。
ああ、はやく僕もこの食器で食事をしてみたい…!

今回、会場が熊本ということで地元にちなんだ特別企画として、
熊本市にある江津湖の周辺をもっと楽しくするためのアイデア展示が行われていました。



水戸岡先生は実際に一度、江津湖に行ってみてから、これらのアイデア溢れるイラストを一気に描き上げられたそうです。
何という発想力…感嘆するしかありません!





昨日(平成26年6月28日)は、「水戸岡鋭治が語るデザインの極意」と題して水戸岡先生ご本人のトークライブも開催されました。

(残念ながらトークライブの撮影は禁止だったので写真はありません)

水戸岡先生の語るトーク自体は冒頭の数十分だけで、あとは水戸岡さんが会場内の観客を順番に当てて直接対話するという型破りなトークライブで、聴いている側もいつ自分が当てられるか分からないという緊張感と楽しさが一杯の、これまた凄い水戸岡流トークバトル!!
観客からは「九州新幹線の新800系のヘッドライトカバーが丸くなってしまったけど、平らな形状の方が良かったと思う」という子供の率直な意見が飛び出して水戸岡さんも思わずのけぞって苦笑いしたり、デザイナー志望の高校生とのちょっと厳しくも温かさにあふれた会話もあって、会場が一体となる素晴らしいトークライブでした。

また、「ななつ星は価格が高すぎて乗りたくても乗れない」という意見に
「実は、つばめ型787系電車をリニューアルして、親子で乗れるクルーズ列車にしたいと考えている。車内にはベッドなんか置かず、ハンモックを吊ってみんなで揺れながら寝るの。これを九州をいつもグルグル循環するように走らせっ放しにして、誰でもいつでも乗れるようにしたい…と考えています」という極秘最新情報も!
これは楽しすぎる!!絶対実現して欲しいですね!!

そしてトークライブの締めくくりは、水戸岡先生との大ジャンケン大会。
このジャンケン大会で何と!
僕は最後まで勝ち残って、水戸岡先生から賞品のサイン本を頂いちゃいました!!

水戸岡先生から本を直接手渡される時に「実は以前、博多シティの展覧会でも何度かお会いしてます」と挨拶したら
「おお、これからもよろしく!」と固く握手して頂けました。

水戸岡先生、ありがとうございます!

「水戸岡鋭治からのプレゼント - まちと人を幸福にするデザイン展」は9月15日(月・祝)まで、熊本市現代美術館で開催されます。
開催期間中には今後も何度か、水戸岡先生のサイン会やトーク・セッションが行われるようです(詳細は熊本市現代美術館の公式サイトで確認下さい)

皆さんもぜひ、水戸岡ワールドの楽しさを体感してみて下さい!

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 27:バルセロナ街歩き サグラダ・ファミリアをぐるっと一回り!

2014-06-24 | 旅行記:2014初夏 スペイン
Temple expiatori de la Sagrada Família~聖家族教会サグラダ・ファミリア~


26:スペイン縦断、超特急AVEの車窓 ~セビリア→バルセロナ~からの続き

必要最低限な物だけを身につけて、ホテルを出発。
ただでさえ治安の悪いバルセロナ市内でも極めつけの危険地帯、観光客を付け狙うスリや置き引きが横行するという恐ろしいサンツ駅に戻ってきました。
周囲を警戒しながらコンコースの自販機でメトロ(地下鉄)のチケットを買い(バルセロナのメトロのチケット自販機もタッチパネルのモニタ画面に英語が表示できて使いやすかったです)、決死の覚悟で気合を入れて地下プラットホームへ。



白と赤を基調にしたシンプルで美しいデザインのメトロ車輌に心惹かれましたが、用心のためカメラはショルダーバッグから取り出さず目的地の駅を目指します。
サンツ駅からメトロ5号線に乗って、乗り換えなしの一直線で6つ先の駅で下車。
地上に登ると、そこには…


そびえ立つ、奇妙な塔。そして、中に入ろうと列をなす人々…
そう、サグラダ・ファミリアです!


バルセロナで、いやスペインで最も有名な建築物と言っても過言ではない、聖家族教会サグラダ・ファミリア
天才と讃えられ、異能の狂人とも評される建築家ガウディの未完の作品であり、今なおいつ終わるとも知れぬ建設工事が続けられていることでも知られています。

バルセロナに着いたら、先ずはこのサグラダ・ファミリアを見たかったのです。

…でも、今日はもう夕方近いし、この後に別の予定もあるので、サグラダ・ファミリアの中には入りません。
入場券売場へと続くこの長蛇の列に今から並んだら、中に入れる頃にはもう夜中になっているでしょう。
今日は、外から建築を眺めるだけです。


建築の全体像を見るために、ちょっとサグラダ・ファミリアから離れます。
入場券売場前の道路を渡った向かい側が公園になっているので、ここからじっくり眺めましょう。


公園の中には遊具が置かれ、子供たちが遊んでいます。
サグラダ・ファミリアを見ながら遊べるなんて、世界一環境の良い児童公園かも知れません!




サグラダ・ファミリアに群がる観光客なんか気にせず、みんな遊びに夢中。
うらやましいな、バルセロナの子供たち!



サグラダ・ファミリアの周りを歩いて見てみましょう。


4つの尖塔がそびえる下にある「受難のファサード」。
イエスの死を表現しています。


尖塔の外装にも細かな装飾が施されているのが分かります。




「受難のファサード」側から反時計回りに建築を廻り込むと、表情が一変して直線的なガラスとコンクリートで構成された近代建築のような姿が現れました。
まるで高層ビル建設現場のような、サグラダ・ファミリアのもう一つの姿。


さらにサグラダ・ファミリアの周囲を進んで行くと、またもや建築の表情が一変しました。
「受難のファサード」の反対側、イエスの誕生を表現した「生誕のファサード」です。


頭上に覆い被さるような異様な威圧感が漂う「生誕のファサード」。
人工の建造物というより、自然の奇石奇岩を眺めているような気分になってきます。




これは…栄光に満ちた天才の、神に祝福される傑作建築か、
はたまた恐るべき狂人の、恐怖の妄想世界が現実となった悪夢の光景なのか…?

いつまで見ていても答えは出そうにありませんが、それでもいつまでも見入ってしまう。それがサグラダ・ファミリア。






およそ1時間ほどかけて、サグラダ・ファミリアの周囲を一周してみました。
見る位置によって全く表情が異なる、本当に不思議な建築物です。あと二~三周して見ていたい気分ですが、そろそろ次の用事の場所に行かなくてはなりません。

サグラダ・ファミリアには明日、また改めて来て中に入るつもりです。





28:L'AUDITORIでユース・カタルーニャ管弦楽団を聴くに続く

今日のSL人吉(平成26年6月22日・人吉行き)天候:雨

2014-06-22 | 鉄道

今日は午前中に同僚と「蕎麦食いの会」 で熊本市内某所まで蕎麦を食べに行ったのですが、
その途中でちょうど人吉行きのSL人吉と遭遇する時間帯になったので、JR松橋駅近くの路上で待ち構えて撮影。



いつものミラーレス一眼ではなく、蕎麦の写真を撮るためのコンデジ(笑)で撮影。
初めての撮影場所でしかも雨の降る中での撮影でしたが、思ったよりいい感じに撮れたのでビックリ!
降りしきる雨粒が写り込んで、何ともドラマチックじゃないですか!?


後追いで展望車も収めます。
雨と低めの気温のせいで、蒸気機関車の煙が列車にまとわりつくように流れていました。

…撮影中、ずっと傘をさしかけてカメラを守ってくれていた同僚が、走り去る展望車の乗客の姿を見て一言。
「あ~、皆んなビールなんか飲んでる。楽しそうだな~」
うん、分かった。これから我々も楽しんでこよう。さあ、美味い蕎麦を食いに行くぞ!


でも、この後でSL人吉を追いかけるように鹿児島本線を南下するディーゼル機関車DE10を目撃したんだけれど、ひょっとしたら肥薩線の球磨川沿い区間が大雨で通れなくなってしまって、立ち往生したSLを救援に向かってたんじゃないかとちょっと気になる…


撮影地:鹿児島本線 松橋―小川間

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 26:スペイン縦断、超特急AVEの車窓 ~セビリア→バルセロナ~

2014-06-22 | 旅行記:2014初夏 スペイン
photo:AVE3943号、バルセロナ付近の車窓


25:セビリア発バルセロナ行き超特急AVEでスペイン北上!からの続き



スペイン南部アンダルシア地方のセビリアから、フランスと国境を接する北部カタルーニャ地方のバルセロナまで、イベリア半島を南北に縦断して走る超長距離運行の高速列車AVE3943号。
約5時間半に及ぶ旅路の車窓は風景は様々に移り変わり、スペインという国の姿をじっくりと見せてくれます。




セビリアを出発してしばらくは、なだらかな土地に延々とオリーブ畑が続くアンダルシアらしい風景が列車を見送ってくれます。

やがて列車はラ・マンチャの大平原へ。


遥か山の頂には古城が見える、ドン・キホーテが彷徨った頃のままのラ・マンチャの荒野。


かと思うと、こんなシュールな風景も出現。
古城の廃墟のかわりに山頂に見えるのは、ドーム屋根の天文台?あるいは軍事施設のレーダーサイトでしょうか。


風力発電所の風車群も多く見られるのは、再生可能エネルギーの普及に熱心な西欧ならでは。







AVE3943号はスペインの首都マドリッドに近づきましたが、車窓には相変わらず大平原が続いていてマドリッドの都市風景は見えてきません。
実はこのAVE3943号、マドリッドの都市圏はバイパスルートで迂回してしまいそのまま通過するという面白い運行経路を辿ります。
アンダルシアとカタルーニャを結ぶ超長距離輸送に徹したダイヤ設定と言えますが、首都圏をあえて避けて通過してしまうというのも日本の新幹線では考えられない、何とも大胆な話ですね。




カタルーニャに近づくと列車は進路を東向きに変え、内陸の平原から地中海を目指します。
車窓には山並みが見えてきました。


険しく印象的な山々が迫ってくると、バルセロナはもうすぐです。


14:25、AVE3943号はほぼ定刻通りに終着バルセロナ・サンツ駅の地下プラットホームに到着しました。


いつの間にか、列車の後ろに車輌が増結されていて編成が長くなっていました。
途中停車したコルドバで連結したようです。AVEの先頭車同士を連結する様子を見てみたかったなぁ…


僕の乗ってきたタルゴ型AVEの隣のプラットホームで、ドイツ鉄道DBの高速列車ICE-3を発見!
…実は、これもAVEの仲間の一つ。
3タイプ4種類あるAVEのうち、ドイツのシーメンス社が製作してスペイン国鉄renfeに納入したS103型と呼ばれるタイプの車輌です。基本的にICE-3と設計が同じなので、外観もそっくりですね。

それにしても、フランスやドイツから車輌を導入しているAVEに今後は是非とも日本の誇るSHINKANSENも走らせて欲しいなぁ。
ラ・マンチャの乾いた荒野を砂塵巻き上げ驀進するAVEエンブレムを掲げたN700系とか、見てみたいと思いませんか?


地下プラットホームで暫しAVE車輌を眺めてから、サンツ駅のコンコースに出てきました。
実はここサンツ駅は、治安が悪いと言われるバルセロナ市内でも特に危険な要注意ポイントとされています。観光ガイドブック等を読むと「サンツ駅はスリや置き引き犯の巣窟、なるべく近寄るな!」と言わんばかりの記述もよく見かける程。

そんな危険な場所には言われなくても近寄りたくもないのですが、鉄道利用だと街の入口なので嫌でも近寄らざるを得ません!

という訳で、トランクをしっかり握りショルダーバッグをたすき掛けにして、写真を用心深く撮ってから足早にサンツ駅構内を通り抜けます。
でも、駅構内はとても清潔だし雰囲気も明るいし、一見しただけだととても犯罪多発地点とは思えないんだけどなぁ…

サンツ駅からは徒歩数分の、駅の真ん前にあるExpo Hotel Barcelonaにチェックイン。
コンコースから駅前広場に出るとすぐにホテルの看板が見えたので、こわい駅周辺を荷物を抱えてうろうろせずに済んで一安心。



このホテルの部屋は、何だか“うなぎの寝床”のような細長い妙な間取りです。
ドアからベッドルームまで長い廊下があり、どういう訳だか立派な納戸のようなスペースもあります。でも納戸に置かれたセキュリティボックスには鍵が付いておらず「鍵はフロントに取りに来てくれ。ちなみに有料」とか書かれていて、何か肝心なところがどうしようもないなぁという印象。


バスルームには念願のバスタブがありました!
「わーい、スペインに来て初めて、ゆっくりお風呂に入れるぞ!!」


そして「ビデ」もしっかり標準装備(笑)
スペインのホテルは、何が何でも客室にこれを付けないと気が済まないんだろうか?

このホテルの部屋には嬉しい事がもう一つありました。
立派なベランダ付きです!



ベランダからはサンツ駅の駅ビルと駅前広場が一望できるステーションビューです。
列車は地下のプラットホームに発着するので、全く見えないのが残念ですけどね。

ちなみにサンツ駅の駅ビル上層階は洒落たステーションホテルになっていて、鉄道紀行作家の宮脇俊三先生も泊まられた事があるそうなので僕も泊まってみたかったのですが、いかんせん場所が良いだけに部屋代もかなり高くて今回は宿泊を断念…
今日は宮脇先生の泊まったホテルを眺める方に泊まることになりましたが、この次にバルセロナに来る時は、あっちに泊まるぞ!

さて、ホテルの部屋で緊張感から開放されて、サンツ駅を眺めて一息入れたら、再び気合を入れて危険地帯へ向かいます。
今からメトロ(地下鉄)に乗ってバルセロナの街へ繰り出します。
向かう先は、世界一奇妙で世界一有名な、そして今なお工事中の、そう、あの教会です。

27:バルセロナ街歩き サグラダ・ファミリアをぐるっと一回り!に続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 25:セビリア発バルセロナ行き超特急AVEでスペイン北上!

2014-06-21 | 旅行記:2014初夏 スペイン
photo:Estación de Sevilla-Santa Justa~夜明けのセビリア・サンフスタ駅~


24:セビリア街歩き2日目 メトロ(地下鉄)で帰ってスーパーで買い物からの続き

2014年4月29日

日が暮れるのが遅いアンダルシアでは、日が昇るのもまた遅いようで、朝7時を回ってもまだ薄暗い中をサンフスタ駅にやって来ました。
今日はこれからセビリアに別れを告げて、超特急AVEで一路スペインを北上。時速300キロで次の目的地バルセロナを目指します。

…でも超特急AVEに乗る前に、今日も1等車に乗れるユーレイルパスを使うので無料で使えるラウンジSala Clubでちょっと一息。



朝からビールでカンパ~イ!もちろんノンアルコールですが(笑)


サンフスタ駅のSala Clubはスナック類も充実していました。
これだけで充分、朝食の代わりになるね。

長旅に備えてSala Clubでゆったりくつろいでから、バルセロナ行きAVEにチェックイン。


これから乗車するAVE3943号、バルセロナ・サンツ駅行き。
一昨日マドリッドからセビリアに来る時に乗車したのと同じタルゴS112型のようです。




今日のAVEの1等車には、機関車に連結された車端部のトップキャビン区画が向かい合わせシートのサロン風になっている車輌が使われています。座席もモケットが布張りではなく本革シートです。
どうやらPriferente(1等車)よりさらに上級クラスの、Club(特等車)を転用した車輌のようです。これはラッキーな乗り得車輌に当たりました!

快適な特等車でごきげんなAVE3943号は、08:50にセビリア・サンフスタ駅を発車。
相変わらず定刻きっちりの運行です。




車内のモニタ画面では、列車の現在位置を地図上に表示してくれます。
発車後すぐに映画の放映に切り替わってしまうのですが、出来れば走行中はずっとこの現在位置案内表示を出しておいてくれた方が「乗り鉄」するには嬉しいかも。






車窓には、AVE専用の高速新線に寄り添うように走る在来線が見え隠れします。
在来線とは言え標準軌の高速新線より幅広の広軌の上に複線で電化もされているので、あちらも非常に立派な大幹線に見えてしまうのもスペインならでは。
しかし、これだけ大規模な鉄道インフラを複数管理するのはコストも膨大にかかって大変でしょうね…

さて、スペインを南北に縦貫すべくセビリアからバルセロナへ向けて走り始めたAVE3943号ですが、1等車には超長距離運行する列車ならではの嬉しいサービスがあります。
機内食ならぬ「車内食」、無料の食事サービスです!


先ずはセビリア発車直後に1等車の乗客に食事のメニュー表が配られます。
無料サービスとは言え、ワインリストまで付いている本格的なものです。




続いて運ばれてきた、こちらがAVE3943号の車内食。
朝から走る列車なので、オムレツにハムといった朝食メニューですね。
バターの代わりに薫り高いオリーブオイルの小瓶が添えられているのが、いかにもアンダルシアらしくて嬉しい!


食後にも、定期的にワゴンサービスが回ってきて飲み物やスナックを渡してくれます。
飛行機のファーストクラスに乗っている気分で、超特急AVEは時速300キロで快調にイベリア半島を北上して行きます。

26:スペイン縦断、超特急AVEの車窓 ~セビリア→バルセロナ~に続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 24:セビリア街歩き2日目 メトロ(地下鉄)で帰ってスーパーで買い物

2014-06-15 | 旅行記:2014初夏 スペイン
Estación de Puerta Jerez,Metro de Sevilla


23:セビリア街歩き2日目 “カルメン”第一幕の舞台!王立タバコ工場からの続き

旧セビリア王立タバコ工場のセビリア大学からは、メトロ(地下鉄)に乗ってサンフスタ駅まで帰りましょう。
セビリア市内には2009年からメトロが開通しています。
現在はまだ1路線しかありませんが、将来的は4路線まで増やす計画もあるようです。




セビリア大学から最寄りのPuerta Jerez駅の入り口から地下へ降ります。
メトロの駅構内はとても近代的で清潔。
本当にスペインの交通インフラ設備は、どこもきれいな状態に保たれているので感心します。


欧米では珍しい駅構内のドリンク自動販売機も、故障したり壊されたり略奪されたりせず無事に稼働中。
よく冷えたレッドブルが問題なく買えました。

…と、ここで駅構内を見回っていた地下鉄職員に見つかって、「No Photo!」と撮影禁止を言い渡されてしまいました。

スペインでは過去に国鉄の近郊電車セルカニアスが爆破され多くの死傷者が出た悲惨なテロ事件が起きているので、特に都市公共交通では厳しいテロ警備が実施されており、その一環としてメトロでは駅構内の写真撮影が厳禁となっているようです。
せっかくのきれいな駅構内と地下鉄車輌の写真を撮れないのは残念ですが、テロ防止のための決まりなので大人しく従わねばなりません。

でも、言われたとおりにカメラをしまうと、厳格な地下鉄職員氏は陽気なラテンのおっちゃんに早変わり。
親切にきっぷの買い方を教えてくれたり、きっぷ代にはデポジットが含まれているので使用後には必ずきっぷ回収機に戻すこと、そうすればデポジットが戻ってくる等、メトロに乗り慣れない旅人には有難い情報を丁寧にアドバイスしてくれます。


優しいメトロのおっちゃん達に手を降って別れて、気分よくサン・ベルナルド駅へ。セルカニアスに乗り継いで、まだ明るいうちにサンフスタ駅前のホテルに帰って来ました。


昨日の夕食は駅前のバーガーキングで済ませてしまったので、今夜はまともなものをと思い、ホテルの近所に買い出しに行きました。
幸いすぐ近くに大型ショッピングセンター併設のスーパーマーケットを見つけて、買い込んできた夕食がこちら。

パンとハムとトマトとチーズと、ヨーグルトと飲み物! 健康的です(笑)

ハムもトマトもどちらも1ユーロのシールが貼ってある特売品ですが、とても美味しかったのでビックリ!
特にハムは本場イベリア半島名産の生ハムで、とろけるような美味さ!!
あまりの美味しさに、「これがたった1ユーロだなんて信じられん…あと4~5パック買い足して来ようか!?」 と半ば本気で考えた程(笑)

安くて美味しい大満足の夕食の後は、さっさとシャワーを浴びて休みます。
明日は朝の列車でセビリアを離れ、次の目的地へ…

おやすみなさい。ありがとう、さようならセビリア。

25:セビリア発バルセロナ行き超特急AVEでスペイン北上!に続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 23:セビリア街歩き2日目 “カルメン”第一幕の舞台!王立タバコ工場

2014-06-15 | 旅行記:2014初夏 スペイン
Real Fábrica de Tabacos de Sevilla~旧セビリア王立タバコ工場~


22:セビリア街歩き2日目 世界遺産、セビリア歴史地区からの続き


セビリア大聖堂からの帰り路。
トラムの走る大通りをしばらく歩いて行くと、ちょうどアルカサルの裏辺りで道沿いに立派な建物が見えてきます。


通りに面した柵には、こんな美しいタイル絵が…
FABRICA-REAL DE TABACOS と読めますが、直訳すると王立タバコ工場
セビリアの王立タバコ工場…そう!音楽好きな方ならピンときましたね!
名高いオペラ「カルメン」の冒頭、第一幕の舞台となったタバコ工場、まさにその場所です!!

セビリアは「セビリアの理髪師」をはじめ、「フィガロの結婚」や「ドン・ジョヴァンニ」など、幾つものオペラの舞台となっている、クラシック音楽ファンにはお馴染みの街でもあります。
中でも特に有名な「カルメン」の、誰もが知っている名場面の舞台がオペラの中と全く同じそのままの姿で現存しているのがここ、旧セビリア王立タバコ工場
クラシック好きでオペラも大好きな僕としては、ここも“聖地巡礼”のコースとして是非とも訪れたかった場所だったのです。



旧セビリア王立タバコ工場の建物は現在、セビリア大学のキャンパスとして使われており、本部事務棟と地理・歴史学部の教室が入っています。
大学なので、キャンパス内の見学は原則自由です。
早速、日本からの「薹が立った留学生」のふりをして(笑)大学内に潜入、カルメンの世界を見に行きましょう!


セビリア大学正門。
ここがまだタバコ工場だった頃、衛兵として門の警備にあたっていたのが伍長のドン・ホセ
カルメンはロマ人の女職工として工場の建物の中で働いていました(葉巻きを巻いたり、煙草を刻んだりしていたのでしょうか?)
この門の衛兵詰め所にドン・ホセの婚約者ミカエラが恋人を訪ねてくるところから、物語は始まります…


オペラでは、工場内で同僚と女同士の諍いを起こしたカルメンたちがなだれ出てくる工場建屋の玄関。
何とも退廃的かつ艶かしいカルメンの登場シーンの舞台は今では、スペインの明日を担う学生たちが行き交う明るく健康的な大学キャンパスです。

…もうここまで来ると、僕の頭の中はオペラ「カルメン」の幻想で一杯になってしまいました。
そう、ちょうどこんな感じです!

ああ、以前プラハの国立歌劇場で観た「カルメン」の世界が本場セビリアで蘇る…まさに至福の時です!

ところで、実際のところは「カルメン」のオペラを作曲したフランス人作曲家ビゼーは生涯に一度もスペインを訪れたことが無かったんですよね。
全てを想像で描き出し、アンダルシアの熱情とカタルシスを表現しきってしまったのも凄いことですが、もしビゼーが実際にセビリアを旅していたら、どんな「カルメン」の音楽が出来上がっていたのかな…

さらにタバコ工場の建物内に進んでいきます。



歴史的建造物なのに、リラックスした学生たちがたむろしている様子が何とも自由で大らかで、いい感じですね。
僕もついつい、十有余年前の学生時代の頃の気分に戻ってしまいました。
この後、せっかくなので講義中の大教室の後ろの席に学生のふりをしてこっそり座ってしまおうと思って講堂内を探しまわったのですが、ゼミが行われている小さな教室しか見つからず、残念ながら退散。
さすがに学生と教授の不審の目を無視してゼミに紛れ込む勇気は無かった…っていうか、そんなことしたらさすがに侵入者として通報されるな。


楽しく学生気分でセビリア大学のキャンパス内を歩き回って、裏口に出てきました。
裏口も立派だなぁ。


裏口からの眺めも緑が多くて気持ちがいいですね。
ああ~僕もこんな素敵な大学で学生生活を送りたかったなぁ~
何しろ、教室はカルメンたちが実際に働いていた職場なんですからね!

オペラ「カルメン」の原作となったフランス人作家メリメの小説「カルメン」では、タバコ工場での仲間との諍いが元で傷害事件を起こしたとして逮捕されたカルメンに言い寄られて、色香に迷ったドン・ホセは彼女を逃し、セビリア旧市街の「ドン・ペドロの首」 がある辺り、カンディレホ通りで初めての逢引をします。

僕は…
「ドン・ペドロの首」には立ち寄らず、健康的にこのままホテルに帰るとしましょうか。

24:セビリア街歩き2日目 メトロ(地下鉄)で帰ってスーパーで買い物に続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 22:セビリア街歩き2日目 世界遺産、セビリア歴史地区

2014-06-11 | 旅行記:2014初夏 スペイン
La Catedral de Santa María de la Sede de Sevilla~セビリア大聖堂~


21:アルカサル-王城- アルカサルの庭園にてからの続き


アルカサルを満喫してから、王城の主であるカスティリア国王ドン・ペドロ1世が眠るセビリア大聖堂の正面入り口にやって来ました。
…昨日から何度も何度も周辺を通っているので、すっかりお馴染みのカテドラルですが、やっと聖堂内に入ります。



だがしかし。


何と、今日は月曜日なので大聖堂は午後3時半には閉門!
もう午後4時を回っていますから、つい30分ほど前に閉まったようです。何ということだ…残念!!


せめて、門扉の柵の隙間からカテドラルの入り口を眺めて帰ることにしましょう。
玄関ファサードの前にある青銅の像は高さ100m近いヒラルダの塔の頭頂部に据えられたもののレプリカだそうですが、驚くべきことにこの銅像は風を受けて回転する“風見鶏”になっているそうです。
…そう言えば時々、ヒラルダの塔の上から何かがカラカラ回る音が聞こえてきてたような。


ドン・ペドロの墓前に参れなかったのは心残りですが、これもきっと王様が
「一度に全ての用事を済ませようなどとは、おこがましいぞ!また今度、出直して来い!!」
と言っているんだろう。うん、必ずまたセビリアの街を再訪しよう、その時に改めて王様の墓参りをしよう!
…と思い直して、元気にセビリア大聖堂を後にします。

セビリア大聖堂の入り口からは、アルカサルの獅子の紋章が掲げられた城門が見えます。
右手に見えるインディアス古文書館と大聖堂とを合わせて、この界隈はセビリア歴史地区 として1987年に世界遺産に登録されています。



…ちなみに、セビリア大聖堂のカテドラルの向かいの路地を少し入ったところに、「アルカサル-王城-」の作者、青池保子先生が取材旅行で滞在されたお気に入りの宿だというホテル「ドニャ・マリア」があります(笑)



ホテル「ドニャ・マリア」のエントランス前から眺めたセビリア大聖堂。
きっと青池先生も、毎朝この風景を見て取材に出発されたんだろうなぁ…

23:セビリア街歩き2日目 “カルメン”第一幕の舞台!王立タバコ工場に続く

おまけ画像

アルカサルの中にあるカフェテリアの出口にあった、何だかとっても残念な立て看板。

「ヒドゥンガーデンを入力して下さい」(笑)
…ええ、そうですね機械翻訳だと時々こんなトホホな文章になっちゃいますよね。
ところで、一番下の中国語(繁体字なので台湾語かな?)に至っては裏返しの挙句、上下も逆さまになってるんだが。いったい何があったのか、謎は深まるばかり…

セルビア洪水復興支援募金を寄付させて頂きました

2014-06-09 | 時事
Амбасада Србија TOKIO-JAPAN セルビア共和国大使館 東京


日本では殆ど報道されていませんのでご存知無い方も多いかと思いますが、
ヨーロッパのセルビア共和国では先月に集中豪雨に伴う大洪水が発生しています。


セルビア洪水被害に関するプレスリリース( 2014年5月22日 在日セルビア共和国大使館)

上記プレスリリースによると
「わずか数日で3カ月分の雨量に匹敵する集中豪雨とそれに伴う大洪水の影響により、少なくとも17名が死亡し、今後も死者の数の増加が懸念されて」 いるとのこと。

…僕は、今までに何度かセルビアを旅したことがあります。



2006-2007東欧バルカン旅行記その1 ベオグラード

2007-2008 ユーゴスラヴィア三都物語 ~3 ベオグラード

セルビアは波瀾万丈の歴史を有する、ダイナミックな国。そしてとても素朴で旅人に優しい人々の国。
僕は今でも、セルビアを旅した日々が忘れられません。セルビア旅行中に現地の友人も出来ました。
いつかまたあの国を訪れたい、そう思い続けていました。

そんなセルビアが今、危機に瀕しているのです。
そして、セルビアは実は東日本大震災の時はヨーロッパで最も多くの義援金を送ってくれた国。
決して豊かではない国の人々が、老人から小さな子供まで一生懸命にお金を集めて、遠い東洋の国に温かい思いやりを届けてくれた、日本にとって忘れてはならない恩人であり、かけがえの無い友なのです。

今こそ、友に恩返しをする時です!

という訳で、この週末にちょうど所用で上京する機会があったので、
今朝、羽田空港から熊本に帰る前にちょっと京急の空港行きとは逆方向行きの電車に乗り、
東京は北品川にある在日本セルビア共和国大使館にお伺いして、
僅かばかりの僕の気持ちのお金と、日本の友人たちから預かったお金を足して、義援金としてお渡ししてきました。





セルビア大使館の館内は、雰囲気がセルビア本国そのもの!
ベオグラードを思い出して、何とも懐かしい気分になりました。


↑セルビア大使館の場所はこちら↑
京急の北品川駅から徒歩5分の閑静な住宅街の中にあります。

ちなみに今朝は、僕以外にも大使館に義援金を渡しに来られていた方がおられました。
嬉しいですね!


国章と大使代行参事官のサインが入った受領書を受け取って、ミッション完了!
これで少しは落ち着いて熊本に帰れます。

さて、セルビア洪水復興支援募金は直接大使館に現金を持参する以外にも、インターネットを使って簡単に寄付を行う事が出来ます。
詳しくは下記のセルビア大使館公式サイトのリンク先でご確認下さい。

【セルビア洪水復興支援募金を受付中】(在日セルビア共和国大使館)

ヨーロッパに、日本に対してとても親切な人々が暮らす小さな国があります。
その国の人々が今、大洪水でとても苦しんでいます。
皆さんも是非、セルビア洪水復興支援へのご協力をよろしくお願いします!
天燈茶房亭主mitsuto1976 拝

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 21:アルカサル-王城- アルカサルの庭園にて

2014-06-05 | 旅行記:2014初夏 スペイン
Jardines del Alcázar


20:アルカサル-王城- “残酷王”の宮殿からの続き




セビリアのアルカサル、宮殿の窓からは、鬱蒼と茂る森のある庭園が見えます。
アルカサルを外界から遮るように取り囲む森に出て、庭園を歩いてみましょう。



小路が庭園の奥まで続いています。




かつて、このアルカサルで暮らした王たちも、家族とともにこの小路を散策したのでしょうか。





庭園の一角にあった池には、噴水ならぬ建屋の軒からの「打ち水」が。



イスラム風の装飾が施された壁が続き、熱帯の植物が生い茂る、エキゾチックな風景にも出会いました。



真っ白な壁がアンダルシアの青空に映える、南欧らしい場所もありました。


そして美しい風景を維持し、守る人々の姿。
アルカサルは多くの人々の努力に支えられて、ドン・ペドロ1世の時代から600年間の時を越えて存在し続ける事が出来るのですね。




アルカサルの散策を終えて、王城の外に出てきました。
アルカサルの出口は、獅子の紋章を掲げた城門や壮麗なムデハル様式の正面玄関とは対照的な、簡素で小ぢんまりとした館から。


アルカサルを出ると、目の前にセビリア大聖堂のヒラルダの塔がそびえ立っていました。
あの大聖堂には、アルカサルの主だったドン・ペドロが眠っています。

…王の墓前に、挨拶をして行こうと思います。

22:セビリア街歩き2日目 世界遺産、セビリア歴史地区に続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 20:アルカサル-王城- “残酷王”の宮殿

2014-06-04 | 旅行記:2014初夏 スペイン
Palacio mudéjar o de Don Pedro I


19:アルカサル-王城- 正面玄関、ドン・ペドロの碑文からの続き

セビリアの王城の若き主ドン・ペドロ1世の、自信と誇りに満ちた栄光と自画自賛の碑文が刻まれた正面玄関をくぐって、いよいよアルカサルの宮殿の中にやって来ました。





宮殿の中央には池を備えた小さな中庭があり、それを回廊がぐるりと取り囲むというイスラム風なつくりになっています。





回廊を支える大理石の円柱に施された、見事な透かし模様のアーチ。
モーロ人(イスラム系北アフリカ人・ムーア人)の建築職人が手がけたというムデハル様式の宮殿建築は、名高いグラナダのアルハンブラ宮殿を模したとも言われています。





何とも優美で繊細で、女性的ですらあるエキゾチックな宮殿の中庭。
戦乱に明け暮れ、勇猛果敢な闘いぶりから「残酷王」と恐れられたドン・ペドロ1世がほんの束の間闘いを忘れ、愛する家族と共に過ごしたであろうアルカサルの宮殿は、彼にとって地上で唯一の安らぎの場所だったのかも知れません。





回廊に添って、王と家族が暮らした部屋が続いています。
どの部屋も、壁から天井まで覆い尽くすようにイスラム風の細かな幾何学模様の装飾で彩られていて、そのあまりの見事さに思わずため息が出ますね…





連なる豪奢な部屋の中でも、最も絢爛豪華で圧倒的な存在感を放っていたのがここ。





天井を打ち抜くようにぽっかりと開いた大ドームと、その表面を埋め尽くす綺羅星の輝き!
現在「大使の間」と呼ばれているこの部屋は、ドン・ペドロが自室として使っていたというまさにアルカサルの中心。



正方形の部屋の丸天井は、イスラム教では「世界」そして「宇宙」を象徴するものだそうです。
世界の中心に自分の居場所を据えたドン・ペドロは、頭上の宇宙を見ながら何を想ったのか…





この壮麗な宮殿を完成させてからわずか5年後、カスティリア王ドン・ペドロは宿敵である異母兄エンリケ・デ・トラスタマラとの王位を巡る闘いに敗れ、殺されています。
栄光の絶頂期に登り詰めたドン・ペドロは、その象徴たるアルカサルの完成と同時に凋落の一途を辿り始める事となるのです…

セビリアのアルカサル、王城はドン・ペドロ1世にとって、生涯をかけて追い求めた理想世界をほんの束の間表現した、見果てぬ夢そのものだったのかも知れません。







アルカサルはドン・ペドロ1世の死後も現在に至るまでスペイン王室の王宮として使われ続け、増築が繰り返されました。
その為、宮殿内にはムデハル様式だけでなくゴシック様式やルネッサンス様式の部屋も混在しています。





※ちょうどこの記事を書く準備を進めていたところ、スペインの現国王であるカルロス1世の退位が決定しました。
セビリアのアルカサルは今でもスペイン王室の王宮としての役割を担っているので、このアルカサルでも何かしらの王位継承行事が行われるかも知れませんね。






様々な様式が入り混じり、やや混沌とした印象の宮殿の奥には、こんな心和ませる“秘密の中庭”も隠されていました。

アルカサルの宮殿のさらに奥には、鬱蒼とした森を有する広大な庭園が広がっています。
最後に庭園を散歩して行くことにしましょう。

21:アルカサル-王城- アルカサルの庭園にてに続く

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 19:アルカサル-王城- 正面玄関、ドン・ペドロの碑文

2014-06-03 | 旅行記:2014初夏 スペイン
Portada del Palacio de Don Pedro I


18:セビリア街歩き2日目 トラムに乗って大聖堂へからの続き


トラムを降りたら、セビリア大聖堂の前へ…
でも、ここは素通りします。
今日は、何をさておいても見たい、行きたい場所があるのです。
今回のスペインの旅を思い立ったきっかけともなった、ある場所が…

セビリア大聖堂の正面入り口の脇を抜けて、インディアス古文書館の前を横切ると、その場所の入り口が見えてきます。
見学者が長い行列をなしている、その最後尾に並んで見上げる、獅子の紋章が掲げられた城門…




セビリアのアルカサル、王城です!



14世紀の中世ヨーロッパ、群雄割拠のイベリア半島で覇権を争ったカスティリア王国の若き国王ドン・ペドロ1世の命により建造された壮麗なる王城。
戦国乱世の世を戦い抜き、短くも波乱万丈の生涯を駆け抜けた“残酷王” ドン・ペドロの生き様と、それ以降数百年間に渡る歴史の流れをこの地で見守り続けてきたアルカサル。

ドン・ペドロの生涯を史実を元にドラマチックに描いた青池保子先生の歴史大作「アルカサル-王城-」 を読んで以来、憧れ続けたこの城を見る為に、僕はスペインへの旅に出たのです…

…おっと、この事は昨日、セビリア旧市街に「ドン・ペドロの首」を見に行った時にもう話しましたね(笑)

(→09:セビリア街歩き 旧市街の「ドン・ペドロの首」


青池先生の'90年春の取材旅行では「ミス・マッチな自動販売機が切符を売るようになり、入場料も値上がりした」 というアルカサルの入場券はなるほどトラムのチケットのような無粋なレシートでしたが、ちゃんと窓口で人が売っていました。
入場料は確かに観光ガイドブックに記載された金額より1ユーロ高くなっていましたが(何故だ!?)



城門をくぐると、中庭に出ます。





木立の作る日影が心地よい中庭を進んで行くと…





宮殿の正面玄関がそびえ立っています!ドン・ペドロの王宮です!!





この玄関は、「アルカサル-王城-」でも何度も描かれたお馴染みの場所。

…「アルカサル-王城-」を初めて読んだのは確か大学生の頃の夏休みの旅先、大阪から四国へと向かう夜行列車の中で寝る前に読もうと駅前の本屋で単行本を購入して、読み始めるとあまりの面白さに夢中になってしまい、結局徹夜で読み切ってしまったのを憶えています。
ドン・ペドロが人生の絶頂期に建造したアルカサルの登場する場面は確か、真夜中の瀬戸大橋を渡りながら読んだような…

闇夜の瀬戸内海を月が明るく照らす、幻想的な夜汽車の車窓を横目に見た物語の名場面が今、二十有余年の時を越えて、アンダルシアの陽光の下に目の前に広がっています。



…感慨無量です。

イスラム文化に心酔していたというドン・ペドロの趣向らしく、イスラム様式とキリスト教様式が入り混じったムデハル様式で建築されたアルカサル。
どこかしら宇宙を感じさせるイスラムの幾何学模様で彩られた玄関の碑文を見上げます。





碑文にはこう刻まれています。曰く
“最も高位の 最も高貴な 最も強力で 最大の征服者 
神の恩寵により カスティリアとレオンの王ドン・ペドロが 
セビリア暦1402(西暦1364)年 この王城と宮殿と玄関を建設させた”

(青池保子「アルカサル-王城-」13巻より引用)






群雄割拠のイベリア半島で他国を圧倒する戦果を上げ、西ヨーロッパの覇者としてその名を轟かせていた齢三十の若き王。
ドン・ペドロが生涯で最も自信と誇りに満ち、絶頂期にあった頃に完成したアルカサルの宮殿と玄関は、その栄光を象徴するかのような最光輝を放つ中天の太陽に照らされて600年前と変わらぬ姿でそこに在りました。
…ただし、中天に登り詰めた太陽は、後はもう沈んでいくことしかないのですが…



…暫し感慨に浸ってしまいましたが、ここはまだアルカサルの入り口です。さあ、玄関をくぐってドン・ペドロの宮殿に行きましょう。

20:アルカサル-王城- “残酷王”の宮殿に続く