Barcelona ~マリナ通りからサグラダ・ファミリアを望む~
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サグラダ・ファミリアの「生誕のファサード」前を通るマリナ通りを歩いて、次の目的地へと向かいます。
地図によるとせいぜい数百メートルしか離れておらず、すぐに着けるはず…
マリナ通りからは、サグラダ・ファミリアがずっと見えています。
そびえ立つ尖塔は、この辺りでは一番の高層建築ですからね。
通りに面したこの巨大な建築物は…
モヌメンタル闘牛場です。
闘牛といえば、スペインのシンボル!
スペインの国技であり、「カルメン」の悲劇的なエンディングの舞台ももちろん闘牛場でしたよね。
…しかし今では動物愛護の観点から、牛を殺して愉しむ闘牛はスペインでも否定されつつあり、既にここバルセロナを含むスペイン北部カタルーニャ州では闘牛は全面禁止となっているのです。
現在、このモヌメンタル闘牛場は閉鎖されて静まり返っています。ちょっと寂しい気もしますが、闘牛で散々弄ばれた挙句殺される牛に心を痛めていたのも事実なので、ここは闘牛の禁止を成し遂げた21世紀のカタルーニャの人々の勇気を讃えたいと思います。
さて、モヌメンタル闘牛場まで来たら、2ブロック先の角を左に曲がると目的地に到着…
やって来たのはここ、
L'AUDITORI(ラウディトリ)。
バルセロナでも最も近代的なコンサートホールで、最新の音響設備を備えています。
バルセロナといえば、ヨーロッパを代表する芸術の都の一つ。
もちろん音楽も盛んで、市内のコンサートホールやオペラハウスでは日夜、演奏レベルが高く素晴らしいコンサートが開催されています。
“なんちゃってクラシック音楽ファン” を自認する僕としても、バルセロナに来たらクラシックのコンサートに行くのが楽しみで、旅行前からコンサート情報を調べて滞在日に開催されるコンサートのチケットをネットで手配しておいたのです。
ボックスオフィスで、日本から持参した今夜のコンサートの予約バウチャーをチケットに引き換えてもらい、さぁホールの中へ…
と思ったけれど、ちょっと早く来過ぎました。まだ開演時間まで2時間もあります。
「しまった、もっとゆっくりサグラダ・ファミリアを見てから来れば良かったな…」などと考えながらL'AUDITORIの周辺を歩いていたら、裏口の前を通る道にトラム(路面電車)が走っているのを発見。
トラムを見たら乗りたくなるのが鉄道好きの哀しい性
(笑)
停留所のチケット自販機もスペインらしく非常に使いやすくて、簡単に乗車チケットを買えたので、次に来たトラムの電車にふらっと乗車。
数十分で終点に到着。
バルセロナのトラムのことは全く調べていなかったので、ここはどこだかよく分かりませんが、スペイン国鉄renfeの近郊電車セルカニアスに接続する郊外の駅です。
「何だか雰囲気が、地元熊本の上熊本駅周辺とよく似てるなぁ…」などと呟きつつ、折り返し電車に乗車。
帰りのトラムの電車からは、夕陽に染まったサグラダ・ファミリアが遠くに見えます。
「ああ、何だか熊本電鉄の電車から熊本城を見てるみたいだなぁ…まさかバルセロナが熊本と似てるなんて本当に意外だなぁ」
(街ぐるみで芸術を愛好しているところや、古い因習に囚われず革新を恐れない基質もバルセロナに似てくれたら、もっと嬉しいんだけどね!)
L'AUDITORIの裏口の停留所に戻ってきたら、ちょうど午後8時。今夜のコンサートの開場時刻です。
近代的なホールにふさわしくコンクリート打ちっ放しのモダンな内装が印象的なホワイエ。
今夜のコンクリートが開催される、2200席を備えたシンフォニーホール
「パブロ・カザルス」。
カタルーニャが生んだ世界的チェロ演奏家であり、スペインの国民的英雄である
巨匠カザルスの名を冠するホールです。
そう言えば日本にも「カザルスホール」があったけど、今はどうなっているのかなぁ…
今夜の演奏は…
マネル・バルディビエソ指揮の
ユース・カタルーニャ管弦楽団によるヒンデミット、スクリャービンなどの演目です。
ユース・カタルーニャ管弦楽団はその名の通り若い音楽学生によるオーケストラのようでしたが、大柄で熊を思わせる堂々たる体躯のマネル・バルディビエソの指揮で若々しい演奏を聴かせてくれました。
「画家マティス」の高揚感はやっぱりカッコイイなぁ…
演奏後はアンコールもなく実にあっけなく終演。
舞台の上で記念写真の撮影に興じたりして、実に微笑ましいユース・カタルーニャ管弦楽団の若き音楽家たちに拍手!
観客もオーケストラ団員の両親や家族が多かったようですね。「パブロ・カザルス」ホールに一人紛れ込んだ謎の東洋人は、実際かなり浮いていたようです。
L'AUDITORIの外に出ると、辺りはすっかり真っ暗。もう午後10時半を回っています。
素晴らしい音楽を聴いてすっかりいい気分になっていますが、ここは芸術の都であると同時に治安最悪の犯罪都市でもあるバルセロナ。夜になって危険度も増している筈、気を引き締めてホテルまで帰らねば…
やっぱりタクシーに乗った方がいいかな…
でも、コンサートホールの前で客待ちしてるタクシーでも安全とは限らないだろうしな…
などと逡巡していると、コンサートの観客たちは皆、平気な顔で夜道を歩いて帰るようです。あまり頑健には見えないご老人や女性も普通に歩いて行くので、地元の人達がこの調子なら安全だろうと思い切って、僕も歩いて地下鉄の駅まで行くことに。
「ああ、大通りのマリナ通りにはこの時間でも人通りが多いし街灯もあって明るいし、これなら地下鉄駅まで歩いても問題無さそうだ…
あっ、そうだ。地下鉄の駅まで行ったら…
夜のサグラダ・ファミリアが見られるぞ!」
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