※佐藤毅彦先生の許可を得て写真を掲載しています
平成29年7月30日、高校生・大学生による宇宙団体SPICAの九州支部主催で
JAXA宇宙科学研究所の佐藤毅彦教授の講演会『金星探査機あかつき活躍中 知っているようで知らない妹の姿』が熊本県民天文台のある熊本市南区の塚原古墳公園内で開催されました。
地元で、しかも若い人たちが頑張って開催してくれた講演会、僕も勿論参加してきました!
以下、講演の内容をレポートします。
金星探査機あかつきのスタッフTシャツ姿の佐藤先生、以前は熊本大学の教育学部におられたなど簡単な自己紹介に続いて金星の説明から。
今日は夏休みなので来ている小さい子供たち向けに、飽きないやさしい話をしますとの事。
◎金星と地球は太陽系の惑星の双子星。大きさ、重さはよく似ている。でも、大気は全然似ていない。
◎金星は昔から我々に親しまれてきた星。明けの明星、宵の明星など。
◎金星の大気の最大の特徴、スーパーローテーション。
金星の1日は地球の243日。金星の赤道付近では地面が時速6キロ、歩く程度の速さでゆっくりと動いていることになる。
だが、大気は時速360キロで動いている!地表面の動きの実に60倍の速さ。
(ここで佐藤先生の研究室の若い研究者の方が実際にスーパーローテーションの1/3の速さの大気の流れを再現する風洞に入って悶絶(笑)するビデオ上映等もあり、会場は笑いに包まれる)
◎金星の大気、気温は460℃でピザ窯と同じくらい。金星では何もしなくてもピザが焼きあがる。気圧は地表面で90気圧、水深900mの深海に相当する。
天気は毎日曇り、雲は硫酸、空気は二酸化炭素。
◎その金星の雲の下を知りたい!
特定の赤外線は二酸化炭素による吸収を受けにくいので、大気下層からの赤外線が宇宙に漏れ出してくる。これをあかつきのカメラが捉える!
…佐藤先生の分かりやすく引き付けられる語り口の説明で、会場に来ていた子供たちも興味津々。大人が聴いても高度な内容なのに皆、全く飽きずに喰い付いてきています。
さすが佐藤先生!
あかつき本体を実際に組み立てている作業の様子を佐藤先生がご自身で撮影された秘蔵映像や打上げの様子のビデオを鑑賞したところで一旦、前編終了。
後半に続く!(笑)
後半ではあかつきに搭載されている複数の観測用カメラのしくみをそれぞれ説明。
◎UVI(紫外イメージャ):283nmと365nmの2つの観測波長で金星を紫外線で観測すると、正体不明の謎の模様が見えてくる…
◎IR1(1μmカメラ):金星の地表面からやって来る赤外線を観測すると、夜側の地表では標高差が見える。
金星の地表面のどこかに、突然明るい点が出現して見えないかと期待している。それは、まだ未確認の金星の火山だ。
◎IR2(2μmカメラ):雲頂の凹凸を、明暗で捉えることが出来る。
◎LIR(中間赤外カメラ):サーモグラフィ、熱赤外線カメラ。雲頂の温度分布を調べる。
金星の山地の上空では、スーパーローテーションに流されなず影響を受けない、動かない70km上空までの温度分布が見られることが分かった。
最後に質疑応答。
僕も質問させて頂きました。
Q:佐藤先生の、今後の「あかつき」以降にやってみたい宇宙探査への“野望”のようなものは何でしょうか?
A:次は火星を調べに行きたい。火星に着陸して調べたいです!
私が現役の間には正式にプロジェクト移行までは至らないだろうが、次の世代の人たちの手で、いつか必ず…!
…最後に、熱い一言を戴きました。決して消えることのない素晴らしい情熱、感動しました!!
佐藤毅彦、ありがとうございました!来月、JAXA相模原キャンパス夏の特別公開のあかつきブースでまたお会い出来ればと思います。