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原始人食アップデート4"フルクトース(果糖)"について その2 崎谷先生のメール

2015年10月22日 | 食事療法 ダイエット
 この本を買っている方は、この本の中味の修正点を探してみましょー。────────────────────────────────
■パレオ協会ニュースレター「原始人食アップデート4 "フルクトース(果糖)"について~その2~」
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みなさん、こんにちは。崎谷です。

今回は原始人食アップデート4として「果糖(フルクトース)」についての続編です。
果糖の絶大な健康効果を列挙していきます
1. 果糖は糖よりもミトコンドリアを活性化します(Dietary Fructose and Glucose Differentially Affect Lipid and Glucose Homeostasis 1 ? 3. 1257?1262 (2009).doi:10.3945/jn.108.098186.WHO)。
熱産生・CO2産生が糖より高いため、よりカロリー消費が多い(痩せる)。
またボーア効果という酸素を組織に届ける効率が高くなります(二酸化炭素濃度が高いほど、組織に酸素が行き渡ります)

2.糖(グルコース)と比較して血液中の遊離脂肪酸、インシュリン濃度を下げます(The Journal of clinical endocrinology and metabolism?94, 1562?9 (2009).
)。
遊離脂肪酸が長鎖不飽和脂肪酸のとき(現代人のほとんど)、全身に慢性炎症が起きるだけでなく、エネルギー発電所のミトコンドリア機能にダメージが加わります。
糖もミトコンドリアを活性化させる最重要物質ですが、果糖はさらにそれを上回るということです。

3.糖代謝ができない(糖尿病、ガン、慢性炎症)場合、血糖値を下げ、不飽和脂肪酸の酸化を抑えます。
実際、糖尿病のひとは果糖(フルクトース)濃度が低いことが報告されています(Diabetes Care. 2012 Jul;35(7):1611-20.
)。
まだ他にも素晴らしい効果がありますが、糖にもまさる効果のために、生殖、胎児の発達、精液、羊水にあるメインの糖分は果糖(フルクトース)なのです。

以上は10月9日の糖セミナーでお伝えした内容のダイジェストですが、
このセミナーを受講された会員さまから以下のご質問を頂きましたのでシェアしたいと思います。

(質問)
ローハニーやフルーツは自身の体感通りで理解できましたが、同じフルクトースでも原始人色で否定されていた”AGAVE Nectar”はどーなのでしょう? ?
また、ショ糖ということですが、精製されている”白砂糖"はどうなのでしょうか?
これも原始人色で描かれている”玄米”より”白米”の概念と同じで、精製されていても問題はないとのこてでしょうか??今のところ白砂糖は避けていますが、甜菜糖やステビア等はOKですか?僕らはよくココナツシュガーは使用しています,,
(回答)
アガベシロップ(アガベ樹木の樹液)についても私の考えは180度転換し、OKです(純粋な樹液で変な加工品でない限り)。
この樹液の組成は「果糖+ブドウ糖」ですので、最高の糖質です。
白砂糖も同じく「果糖+ブドウ糖」ですので、優れた糖質源です。
精製するとミネラル分がなどの他の栄養素がなくなるというだけで糖質の成分は変わりません。

またストレスのセミナーに是非ご参加いただき、”何か”をつかんでいただければ幸いです。

原始人食のアップデート質問集 崎谷先生のメールから

2015年10月22日 | 食事療法 ダイエット
 この本を買っている方は、この本の中味の修正点を探してみましょー。
崎谷先生からの原始人食の回答集です。全てが正しいと言えるかは私も言い切れないですが、こういう考え方も有るのだということで読んでくれたらと思います。
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■ パレオ協会ニュースレター「『原始人食』のアップデート3」
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みなさん。こんにちは。崎谷です。
今回もの私のセミナーにご参加できなかった会員様からの質問の回答をシェアいたします。

【質問1】
不飽和脂肪酸(フィッシュオイル、植物油脂)がすべて体に悪いとは思えません。
血液をサラサラに・・とか言われていますのでね。
またオリーブオイルとかヘンプオイルなどもダメなのですね。
ココナツオイルは植物油脂では??
なんとも理解しがたいところがありますので解りやすい説明がいただきたいですね。
【回答】
不飽和脂肪酸が血液をサラサラにすることはありません。
血液サラサラという言葉自体が意味をなさないのですが、
基本的には動脈硬化を起こさない=血流を止めないという理解でよいと思います。
不飽和脂肪酸の酸化が動脈硬化を起こします。
フィッシュオイルに関しては猛毒のため、
血液凝固系に異常が生じるために出血傾向になりますが、
これと動脈硬化とは別問題です(フィッシュオイルの長期服用は動脈硬化を起こす)。
(Kawanishi注 これは、わたしも今、確認中です、動脈硬化が改善してる人がいるので。。。)

また私のプログラムや記事を読み直して頂きたいのですが、
ココナッツオイルは一般にいう植物油脂(シードオイル)ではありません。
ココナッツオイルの成分を一度、ご自分でお調べになった方がよいと思います。
オリーヴやヘンプに関しても一度ご自分で納得いくまでお調べになってください。
情報を日々アップデートしておりますので、可能でございましたらセミナーや総会などにもご参加頂ければさらにご理解が深まると思います。

【質問2】
チーズ、バター、ココナツオイル、塩、はちみつ、フルーツだけだと、タンパク質が足りないのではないでしょうか?
卵はどうなんでしょう?
【回答】
これはあくまでも携帯、非常食という意味合いで必要最小限に絞ったものです。
(卵を持ち歩くことができませんので。。。。)
卵はとてもいいタンパク源です。
良質な飼料と放し飼いで育てられた卵を選びましょう。

【質問3】
私はダイエットしなければいけないので、(現在70㎏女性48歳)
摂取カロリーの20パーセントに当たる約100g、400kcalのタンパク質を摂取しなければいけないが、
それ相当を調べてみたら、ずいぶんと沢山のタンパク質を食事でとらなければならないことがわかった。
例えば、赤身のステーキ300gはかなり多いと思うが、これでも、タンパク質量は60gで、タンパク質の熱量は240kcalしかない。
多くの日本の食事の献立では、1食あたり魚100gとか、肉80gの献立が多いので、とてもこれではタンパク質が足りなさすぎであることがわかる。
例えばかつおはタンパク質が多いと言われているが、100g当たり、タンパク質は25gしかなくカロリーも120kcal位にしかならない。
今まで食べていたタンパク質では全く足りなくて、今までの3倍ほど食べねばならないことがわかり、かなり頑張らないと達成できないことがわかった。
タンパク質100gを摂取可能な一日の献立をお教えしてほしい。
おやつとしてプロテインを飲むつもりだが、これは大丈夫なのか、教えてください。
プロテインはホエイで無味の物を使うつもりです。
【回答】
基本的に原始人食はカロリ―計算や摂取量の計算などしなくてよいです。
それよりもニュースレターにも書いていますが、何を摂取して何を避けるべきかに留意しましょう。それだけで十分痩せます。
そうすると自然に体が何を欲しがるかが分かってきます。
この感性を取り戻すために原始人食を提唱しています。
ホエイプロテインを使用してはいけない(アミノ酸組成がよくない)ことは再三申し上げているところですので、いま一度復習をお願いいたします。

情報をニュースレターやセミナーという形で日々更新していきますので、
よく注意してみておいて頂ければ幸いです。

飽和脂肪酸が悪者とされた背景 崎谷先生の話の理解へ

2015年10月22日 | 食事療法 ダイエット
 
 
http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702304555804579546852248520032
THE WALL STREET JOURNAL.のライフのコーナーで、飽和脂肪酸の話が書かれていました。
先日の崎谷先生の話がちょっと見えてくる気がしました。
この記事の冒頭の記載で、私的にはなんでこうなってきたのかがわかりました。信じ込まされていることっていっぱい有るのは医学の世界でも何度もあることですから、これも信じ込まされることになるかも知れないって思いながら読むようにいしていただければと思います。
以下抜粋です。参考になれば幸いです。

「飽和脂肪酸は心臓疾患の原因にはならない」――。2014年3月に発行された医学専門誌アナルズ・オブ・インターナル・メディシンに掲載された研究はこう結論づけている。それは本当だろうか。何世代にもわたり、バターやチーズ、赤身の肉に含まれる飽和脂肪酸は血栓の原因になるためなるべく摂取しないほうがいい、というのが食事に関するアドバイスの重点だった。食事に気をつけている多くの米国人にとって、サーロインではなくチキンを、バターではなくキャノーラ油を選ぶことは習性になっている。
 だが、この新たな研究の結論は現代の栄養科学に詳しい人にとっては驚きではない。こうした脂肪が疾患の原因になるという確固たる証拠はこれまでもなかった。私たちはただ信じ込まされていただけだ。個人の野心やいい加減な科学、政治、先入観などによって、過去50年の間に誤った栄養政策が取られてきたためだ。

関連記事
* 米国で「除外ダイエット」が流行、食品過敏症の特定にも寄与 <http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702303595604579514541775054348>
* 高タンパク質ダイエットのリスク―長期的にダメージも <http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702303565804579432310639070136>
* 米国の食品ラベル、新表示方式に―不健康な成分を浮き彫りに <http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702304227204579410232516984214>
* 米国民のカロリー摂取量が減少―健康志向を反映 <http://jp.wsj.com/articles/SB10001424052702303919304579326051275469682>

 飽和脂肪酸を悪者とする考えの起源は1950年代にさかのぼる。ミネソタ大学のアンセル・ベンジャミン・キーズ博士が飽和脂肪酸はコレステロール値を上げ、その結果、心臓疾患の原因になるという説を主張したのが始まりだ。とのこと。

 それに批判的な人々は、キーズ博士は研究を行う際に、いくつかの基本的な科学規範に違反したと指摘している。例えば、研究対象の国を無作為に選択するのではなく、自説を裏付けるような国だけを恣意的に選択したというのだ。つまり、ユーゴスラビアやフィンランド、イタリアを対象に含め、オムレツをよく食べるフランスや、脂肪をたくさん摂取するが心臓疾患の発症率が低いスイスやスウェーデン、西ドイツを除外したという。キーズ博士の研究対象の中心となったのはクレタ島の農民たちだった。地中海料理として現在知られている食事は大部分が彼らの食事をベースとしている。彼らは年老いても元気で、ほとんど肉やチーズを摂取しない。

こういう指摘がされている研究と言うことが、いつの時代でも繰り返されているのですね。。。
是非元の記事も読んでください。

 当時でさえ、飽和脂肪酸をあまりとらない食事法が招きかねない予期せぬ結果について警告する科学者はいた。そして現在、私たちはその結果に直面している。
 
その1つは、私たちは今、脂肪の摂取量を減らす一方で、炭水化物を多く摂取していることだ――1970年代初頭より少なくとも25%多い。政府のデータによると、飽和脂肪酸の摂取量は11%減少した。つまり、肉や卵、チーズの代わりに、パスタや穀物、フルーツ、イモのようなデンプン質の野菜を摂っているのだ。
 驚くべきは、どんな種類の炭水化物を摂取するかは関係ないことだ。精製されていない穀物も同じだ。全粒粉のオートミールを朝食に食べすぎ、全粒粉のパスタを夕食に摂りすぎ、その間にフルーツを食べると、結局は卵1個とベーコンの食事よりも不健康な食事になる。脂肪が肥満や糖尿病の原因になるわけではないのだ。
 2番目に大きな予期せぬ結果は、私たちは以前よりも植物油を摂取していることだ。AHAが1961年に「健康な心臓」のために、飽和脂肪酸ではなく植物油を摂取するよう国民に勧めた後、米国民の食事は変わった。1900年にはほとんどゼロだった植物油の摂取量が現在は摂取カロリーの7~8%を占めるようになった。この1世紀の間にこれほど摂取量が増えた食品はない。
 初期段階の臨床試験では、植物油の摂取量が多い人は、がんの発症率が高いだけでなく、胆石になる率も高いことが分かった。さらに驚くべきことに、暴力的な事件や自殺で死亡する可能性も高い。米国立衛生研究所(NIH)はこれらの発見を受けて、1980年代に科学者を何度か召集し、こうした「副作用」の原因を説明するよう求めたが、科学者は説明できなかった。(専門家は現在、特定の精神的問題は
食事を原因とする脳の化学物質の変化に関連しているのではないかとみている。例えば、脂肪酸のアンバランスやコレステロールの減少といったことだ)
 飽和脂肪酸の摂取量を減らすことは女性の場合、特に害がある。ホルモンの違いにより、晩年に心臓疾患にかかりやすく、心臓疾患の発症の仕方も男性とは違うからだ。
 
飽和脂肪酸の摂取量を減らしている女性の場合、心臓疾患にかかるリスクが高い。この食事法では特に「善玉」コレステロールの値が急落するためだ(男性も減少するが女性ほどではない)。皮肉なことに、フルーツや野菜、穀物の摂取量を増やすことに励んできた女性は、今や男性よりも高い肥満率と心臓疾患による死亡率に苦しんでいる。
 肉や卵、乳製品の摂取量を減らすための、この50年間の努力は悲劇的だ。キーズ博士の説を証明するために多額の資金が費やされたが、その食事法による恩恵は何も示されなかった。飽和脂肪酸にまつわる仮説をいったん寝かせ、国民の健康を悪化させている別の犯人を探すときがきた。
151014原始人食編 崎谷先生の話