脂肪肝の名称が偏見を生みやすいと言うことで、太っているとかノンアルコールという表現は使わないように名称を決めたようです。
新たな名称としてNAFLDはMASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)へ、NASHはMASH(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis)となっていくようです。以下は現在の分類の図です。
以下ケアネットさんからコピペです。
NAFLD・NASHが名称変更!?新しい名称は…
「非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD:nonalcoholic fatty liver disease、わが国ではナッフルディ、ナッフルドと呼ばれる)と非アルコール性脂肪性肝炎(NASH:nonalcoholic steatohepatitis 、ナッシュ)が名称変更される」と、先日開催された欧州肝臓学会国際肝臓学会議(EASL-ILC)2023で発表された。以前から欧米ではNAFLDやNASHという用語が患者への偏見になるという声が上がっていたようで、今回、米国・シカゴ大学のMary E. Rinella氏らは論文などの趣意に関する専門家や患者支援者が命名法や定義の変更について支持しているか否かを調査した。その結果、改名に際し“metabolic”(代謝性)という用語を含めることが求められ、新たな名称としてNAFLDはMASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)へ、NASHはMASH(metabolic dysfunction-associated steatohepatitis)への変更が望ましいことが明らかになった。Journal of Hepatology誌オンライン版2023年6月24日号掲載の報告。
調査は肝臓病に関する大きな3団体が主導し修正Delphi法を用いて行われ、命名プロセスとは関係のない専門家からなる独立委員会がこの頭字語とその診断基準に関する最終勧告を作成した。
主な結果は以下のとおり。
・本研究では56ヵ国から236人が参加し、4つのオンライン調査と2つのハイブリッド会議にて調査が行われた。
・オンライン調査の回答率は、それぞれ87%、83%、83%、78%で、回答者の74%は現在の命名法には名称変更を検討するに足るだけの多くの欠点があると感じていた。
・「ノンアルコール」「太っている」という言葉は、各回答者の6割超が“非難されている”と感じていた。
・Steatotic liver disease(SLD)は、脂肪肝のさまざまな病因を包含する包括的な用語として選択された。また、steatohepatitisという用語は、保持すべき重要な病態生理学的な概念であると判断された。
・NAFLDに代わる名前として選ばれたのは、代謝機能不全に関連した『metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease:MASLD』だった。
・その際、5つの心臓代謝危険因子のうち1つ以上を含むように定義変更することで合意が得られた。
・代謝異常がなく原因不明の患者は成因不明SLDとみなすこととなった。純粋なMASLD以外で1週間あたりのアルコール摂取量が多い(女性:140~350g/週、男性:210~420g/週)場合は『MetALD』(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)と呼ぶよう、新たなカテゴリーが新設された。
研究者らは「新しい命名法と診断基準は広く支持され、偏見を与えるものではなく、認識と患者の識別を向上させることが可能だ」としている。
医療におけるスティグマと言えば、昨年には日本糖尿病協会が「糖尿病」の名称変更を検討する方針を示し波紋を呼んだ。当時、ケアネットが会員医師に対して名称変更の賛否についてアンケート調査した結果、6割の医師が反対票を投じた。NASH/NAFLDも糖尿病や循環器領域などの代謝系疾患の合併頻度が高いことから、さまざまな診療科で新たな用語を浸透させる必要があるだろう。この結果を受け、今後の日本での動向が気になるところである。
(ケアネット 土井 舞子)
原著論文はこちら
Rinella ME, et al. J Hepatol. 2023 Jun 20. [Epub ahead of print]