肝臓病と共に生きる人たちを応援します

肝臓友の会との関わりで成長した肝臓専門医のブログです。2017.2.12より新規開始しました。

函館の夜景とメダル

2011年10月17日 | 花、植物、風景

函館の夜景を見てきました。メダルを作ってみたいという人がいたので、やってみました。作るとおもしろいなあと思いましたねえ。これは、やり始めると集めたくなりますねえ。
教会のライトアップはこれまたきれいですよねえ。
 
 函館山ロープウエイのメダル
 
 ハリストス正教会

函館 29名受診 江差 26名受診 肝がん検診終わりました

2011年10月16日 | 肝がん検診

10月15日土、函館は、雨曇りって感じの天気ですが、30名の受診予約で、がんばります。
29名の受診で肝がんの疑いの方はいませんでした。B型肝炎や自己免疫性肝炎の治療での検討が必要な方がいました、かかっている先生にお願いできそうでよかったです。

10月16日日、江差は朝雨がひどかったのですが、9時からは晴れてくれてよかったです。しかし、奥尻からの受診者の方はフェリーが欠航して大変そうでした。29名予約で、26名の受診でした。
B型肝炎のキャリアの方が多かったです。肝がんの疑いの方が一名いました。大丈夫とは思うのですが。

写真は五稜郭タワーから見た五稜郭です。

朝市のイカそうめん あじさいの塩ラーメン

2011年10月15日 | 

函館ホテルの朝食でイカの刺身がでたのですが,函館の朝なのに朝イカじゃない感じ、せっかく函館に来たなら朝イカをくわなくてはと函館の朝市にいって、きくよ食堂でイカそうめんたべてきました。おひるは、五稜郭行った帰りにあじさいの塩ラーメン。写真とってきました。たべる前にとったからきれいです。
 

北海道でがん対策条例制定に向けて 思いと動きを!

2011年10月15日 | 肝炎救済に関連して
sinさんからがんばってくださいと激励がありました。
北海道の対策もどんどん要求していかないと文章だけのものになってしまいそう。みんなで働きかけていきましょう。意見をどんどん出していきましょう。是非参加できる人は出て行きましょう。

北海道でがん対策条例制定に向けて、以下の資料が提示されています。
  http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kak/gan/gan_jyourei-soan.pdf

 ○北海道がん対策推進条例(仮称)制定に係る地域意見交換会を開催します。 New!
  http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kak/gan-jourei.htm

 ○北海道がん対策推進条例(仮称)素案に対するご意見を募集しています。(募集期間:H23.9.16~H23.11.11)
  http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kak/gan-jourei.htm

がん対策条例に、肝炎ウイルス・肝がん検診の内容を盛り込む運動をしていきたいと思います。
できることを淡々と行きましょう。
大阪での例ですが、以下のようなことが行われています。
もっともっといい制度が作られるよう、頑張っていきましょう。
■大阪府では、
1)2011年度がん対策(肝炎対策含む)事業予算(大阪府)
http://ganseisaku.net/practices/archives/budget/gan_local/gan_torikumi.html/27_osaka_budget_2011.pdf
 (1)組織型検診(対象者リストの管理と受診勧奨)をすすめるために
 2011年度予算 75百万円
http://www.pref.osaka.jp/yosan/cover/index.php?year=2011&acc=1&form=01&proc=6&ykst=2&bizcd=20111098&seq=1
 (2)システムづくり
http://nikkannkyou.web.fc2.com/data/osaka/11214hu_gan_lec.pdf
 (3)がん予防対策重点プロジェクト事業(2011年度大阪府事業)
 http://www.pref.osaka.jp/sesaku/index.php?kjcode=20111098&status=jigyoList
  イベント具体例:がん予防キャンペーン(10/9)
           なんでも がんでも 情報は力!展(12/3)
           他に、がん(部位別)医療講演会など啓発活動

2)大阪市でのがん検診(肝炎ウイルス検診を含む)の議論議事録
  大阪市生活習慣病検診委員会 会議要旨(2010/11)
 http://www.city.osaka.lg.jp/kenkofukushi/cmsfiles/contents/0000019/19344/HP2yousi%5B1%5D.pdf

3)がん・肝炎対策=大阪での今後の取り組み
  日本医療政策機構 2011年がん対策サミットでの報告から
http://ganseisaku.net/impact/events/gan_summit/gan_summit_2011/index.html/716_11_morimoto_hamamoto_kawai.pdf

4)がん登録から明らかになった(成果)
 肝炎ウイルス感染者集積地域が明確に
http://ncrp.ncc.go.jp/cancer_reg.htm#11
 肝炎ウイルス検診→肝がん検診(エコー検査など)
http://ncrp.ncc.go.jp/cancer_reg.htm#10

5)大阪 検診の課題(大阪府立成人病センターがん予防情報センター)
http://www.mc.pref.osaka.jp/ocr/training/text/nakayamadr.pdf

B型肝炎の臨床経過と治療、C型肝炎のテラビック インターフェロンの反応評価

2011年10月09日 | 学会研究会報告新聞記事など
いつも、勉強になる先生方の話を聞く機会があったのでメモを残しておきます-。
 八橋先生、泉先生、奥新先生の話を抜粋

○B型肝炎の臨床の話八橋先生が自験例でまとめて話してくれたのでとても勉強になりました。
DNAやcr抗原が陰性化したあとs抗原の定量がs抗原陰性化が核酸アナログの中止基準になり得ること。
そのためにペガシスなどのIFNが核酸アナログより有用であることがわかってきていると。
核酸アナログよりペガシスの方が、s抗原の陰性化率は二倍早まる
併用できたら月一でも使って免疫を賦活(不活って書いていました)することが、治癒方向へ向かわせることが出来そうな感じがしてこれはいい治療になるなあと思った私でした。、
できれば2年くらい使えるといいと思うとのこと。
s抗原の陰性化は定量で1000を切ってから11年、100切ったら5年くらいで起こってくると
核酸アナログの中止基準としては、s抗原が80を切るくらいが妥当そうだと言う先生方もいる。
最終的にはs抗原を計り続けることが、治癒方向に入った患者さんを見る上で大切なようです。毎月測っても保険上は切られないので測るべきなんだろうなあ。

○泉先生から 
テラプレビルは、再燃例にはよく効く。しかし前回治療が無反応に近い人は、耐性ウイルスが出て効果がなった場合には,次のTMCの効きが悪くなる可能性があり、1回で直せる確率の高い例や、待てない人に使うという感覚が合っている気がしました。無反応の人や待てる人は、その次のTMCを待った方がいいかもしれないという感じがしました。
IL28bを測れない施設では前回のIFNの反応性を見て考えるのが現実的であることも話してくれていました。

○ベータの二回打をしている奥新先生の話
フエロンとレベトール(フェロンレベと書いてたところフェロンでなくてフエロンでした)を先行2週間して、2.5LogIU/ml下がらないと、消えてこない。これが1つの基準となり得ると言う話。これで、その後ペガコペを24週で6割がSVRになっている。72週間は必要としていないのがすごいなあといつも思います。

Peg-IFN α2a(ペガシス)で肝がんが消える!人がいる 肝臓学会誌から

2011年10月09日 | 学会研究会報告新聞記事など
学会誌の肝臓で、岡博子先生が報告していたのですが、直接話が聞ける機会があって、聞いてみたらびっくり。
肝がんの進行例で、もう他に治療もないかとC型肝炎があるからとペガシスを180で隔週、90で隔週投与した人たちの中から肝がんが消えて来て、再発の仕方もゆっくりになっているようだとの報告がありました。
最近では4例中、3例にそのような効果が出てびっくりという話でした。それも70代の高齢の方での話で副作用も出ないし体調がよくなる人もいてずっとして行けたらいい感じがしますと。
抗腫瘍効果が期待できる人がいると言うことを証明できそうな話で、今後の蓄積に期待して行きたいです。
いつまで継続したらいいのかなどは、フロアの先生方の反応もいろいろでおもしろかったです。

函館 江差 肝がん検診受付延長

2011年10月05日 | 肝がん検診
しめきりを10月7日の金曜日の昼までに延ばしました。
受診希望の方は、お電話ください。

会場の確保の関係で、例年江差函館の順番で土日で行っていた江差函館の肝がん検診ですが、今回は、土曜日午後に函館、日曜日午前に江差となります。

お間違いのないようよろしくお願いいたします。

10.渡島桧山地区 江差肝がん検診 9月15日から受付開始
○検診日 2011年10月16日(日)午前9時~午後2時まで
○検診場所 江差町保健センター
 住所 桧山郡江差町字中歌町193-1
 電話 01395-2-1020

11.渡島桧山地区 函館肝がん検診 9月15日から受付開始
○検診日 2011年10月15日(土)午後1時~午後5時まで
○検診場所 函館市亀田福祉センター
 住所 北海道函館市美原1丁目26番12号
 電話 0138-42-7023

○検診費用 対象者 6000円 当日承ります。
○検診内容 問診、採血、腹部エコー、肝臓専門医による療養相談
○予約が必要です。先着50人 
 申し込み締め切り 2011年9月28日(水)延長して10月7日金正午まで
  受診のお勧めの封書が送られた方は返信ハガキで、そうでない方はお電話にてご連絡ください。留守電にて対応しています、平日の日中に連絡の取れる電話番号とお名前を録音下さい。
のちほどこちらからご連絡いたします。
 お問い合わせ先 肝がん検診団 事務局
  電話番号 011-350-1008
  受付時間 午前9時~午後5時 留守番電話対応(月土日祝日休み)
 折り返し受診時刻などの記載した予約票はがきを発送します。万が一10月13日までに届かない場合には事務局に再度お電話ください。

肝臓よろず勉強会 第2回 静岡 10/2作成10/4修正

2011年10月02日 | 学会研究会報告新聞記事など

静岡の伊東先生が中心となって行っている勉強会に参加してきました。
会場へ着いて、あれ、看板がないと気づき、あー、間違ったと気づいて、伊東先生に電話してしまいました。いいよ乗っけちゃると、待っていたら迎えに来ていただいてしまいました。ついでに世話人会も出て行けやって、ひえー、オブザーバーとして参加してきました。相変わらずの伊東先生のテンション、迷惑な人もいるかもしれないけど、好きな私です。って、この勉強会は伊東先生の人柄でつながっているという、とっても不思議なありがたい勉強会です。自分が知らないこともいっぱいあって、それを伊東先生が質問しながら、おーそこまで聞いてくれますかって感じで、臨床に役立つ知識を少しでも多く引き出そうって感覚が、私はとても好きです。もちろん難しくて私には理解不能なこともありますが、いろんな研究があって、頑張っている先生方がいて、医学は進歩してるんだなあット、実感する瞬間。じつにいい感じです。
北海道から来るには遠いですが、ありがたく参加しています。

今日のメモはさらにメモ的で、内容が知らないこといっぱいあって、かなり、アバウトです。。。間違いもあると思うので、気を付けてください。って、それならのせないでーって言われそう。ご指摘いただけたら、ありがたいです。
随時修正中です。2011.10.4修正

第2回肝臓よろず勉強会
1)輸血と肝炎ウイルス
旭川医科大学病院臨床検査・輸血部 部長 紀野修一先生
輸血と肝炎ウイルス
輸血の歴史
1964年 ライシャワー事件
1985年 薬害エイズ
1997年 輸血同意書の義務化
2003年 改正薬事法 生物由来製品および特定生物由来製品

年間11人くらいは輸血の保管検体にウイルスの核酸が検出される
今感染する可能性があるのは、B型とE型が多い

輸血前の検査
 輸血を受ける人の検査 
B型肝炎 HBs抗原 HBs抗体 HBc抗体 
C型肝炎 HCV抗体 HCVコア抗原
HIV   HIV抗体
レセプトに輸血前検査OK、感染リスクを考慮して
冷凍保存してる 旭川医大は2年分でいっぱいになるので古いのは棄てる
輸血前検体は90%以上の施設では保存してる。2年以上保存が90%以上

北海道では、E型肝炎のNAT検査をしてる
感染被害救済制度の第一号は北海道のE型肝炎

旭川医大での輸血前検査での感染 
HBs抗体陽性、HBc抗体陽性が60歳以上では4割前後
HCV抗体陽性は、60歳以上は8%位いる
C型の半分はB型の既感染がある。

旭川医大での場合
説明と同意をとってから行う輸血前検査 コストを取るためには必要
1カ月後と2ヶ月後ダイレクトメールで送って検査に来てもらう
実際に受けてくれているかアンケートをとった 回答率50% 8割くらいの人は受けてくれている。

日赤も何でも輸血のせいにされるので、調査した 既感染など元々ある人既感染の人もおおい

輸血前後で報告していなかったせいで感染してる報告がある。留意しないとならない事項ですね。

輸血後肝炎は低下しているが、なくなることはない。
早期発見のために保管と前後の検査
HBc抗体陽性の献血者をどうあつかうか、排除すると血液が足りなくなるかも

献血の年齢30歳以上が支えている、若い人が減っている。

2)鉄代謝は肝臓病治療の要
三重大学医学部付属病院 消化器肝臓内科 藤田 尚己先生
C型肝炎は特異的に鉄がたまる。除鉄瀉血効果がある。
肝内鉄量もB型よりC型が高い
Fenton反応 非常に有毒性の高い反応8OHDGの発現が強い。
女性の方がフェリチンも低いので発がんも少ないのではと

鉄を抜くときは、鉄制限食の徹底が必要
鉄不足になっていると鉄吸収がよくなるので、鉄制限はしっかりしないとならない
hepcidinが分泌すると鉄吸収が抑えられる。それが下がるので吸収がよくなっていることがわかってきている。
日本人1日10mgとるが、制限では7mg位に押さえる。
発ガン率も抑えられる。

フェリチンが上がるとも増えるのだが、鉄過剰に対して出てるのかというと
ウイルスが消えるとhepcidinは回復してる。SVRにならなくても下がる症例がいる。
フェリチンとhepcidinの比をとるとわかりやすい。
鉄過剰がよくなっても、ウイルスがいるとhepcidinが減る。

20歳から82歳女性瀉血してる30人くらい 伊東先生
肝硬変でHb10超えてたら、100gくらいを週一回 瀉血2500円
100抜いて、強ミノC100して帰るって感じでもやってる。

インターフェロン中のhepcidinはまちまち、フェリチンが上がるけどとのこと

3)自己免疫性肝炎 治療対応の実際
東京慈恵医科大学 内科学教授 銭谷 幹男先生
10%はミトコンドリア陽性になる
非定型例 二つ以上の病像がみとめられる

日本では1割くらいは診断できない 治療方針も決めかねることがある。
オーバーバップ(二つ以上の自己免疫疾患を合併する場合)はPBCがほとんど 自己免疫肝炎の6%だったかな。
PBCの2割くらいは自己免疫性肝炎を合併すると
簡易版スコアリング 2008年 これはPBCも含まれる
PBCはステロイドが骨折しやすくなってしまうので治験が中止された。
PBCでも慢性活動性肝炎で進行性があればステロイドで介入した方がいい

オーバーラップは、ほぼPBCとしていいだろうという結論を出している先生もいる。
PBCの炎症が強いパターンという感じ ステロイド介入がのぞましい。
PBCの肝炎がたはステロイド介入していいと考えていいだろうと
ステロイドの使い方は決まっていない

ウエブ上で公開していて、計算式で出るようになっている。が、世界では使われていない、是非使ってみてください。

具体的な治療のポイントは
使ってALTが20以下になるのは滅多にないのでそれは自己免疫肝炎だろうと
欧米ではIgGを減量の基準にしている。
これが正常化したら下げている。1年以上IgGとトランスが基準値以下なら切る基準。
自己抗体は、結果を見てるから最初は出てない、1年診ているとほとんど出る人は出る。原因がわかるものは。。。
2011年肝がん研究会で全国集計したら1000例超えて、発がんも経過が長くなると出てきている。

4)肝癌培養細胞系が肝癌発生や治療にもたらすもの
久留米大学医学部 病理学 教授 矢野 博久先生
試験管内では
ペグイントロンに浸した場合 細胞により感受性が違う
フェロンが一番強い増殖抑制作用がある ペガシス一番弱かった
S期に停止することが多い

生体内では
HAK1Bが感受性高くマウスに増殖がいいので使った
ペグイントロンでは人の三分の一から10倍ずつ増やしてみた。毎日打った
イントロンも使ってみた
腫瘍の増殖が半分くらいになった。100倍になると腫瘍がどんどん無くなった。
アポトーシスが誘導される。
ペガシスは臨床量で半分くらいになってた。週2回打った
フェロンは腹腔内投与で静注に匹敵する。
増殖の低下はあまり見られなかった。濃くすればでてくるが。

5)B型肝炎と免疫治療 歴史と今後の展望
名古屋大学医学部保健学科 検査技術学専攻 基礎検査学 石川哲也先生
今後の目標
Drugfreeを目指す
肝移植後のHBIGからの離脱をめざす

写真は、お城と帰りの京急ののりばにいたキャラクター、携帯電話のキャラクターだと思うんだけど。
 

B型肝炎訴訟追加提訴 道新2011.10.1

2011年10月01日 | 肝炎救済に関連して

追加提訴して、1191人。国が45万人と推測してくれていますが。こんなに救われるなら、苦労はしないです。国が除外条件を提示してるおかげで10万人は超えないでしょう。被害受けても救われない人の方が圧倒的に多い、感染の危険にほとんどすべての国民がさらされたのに、国民は自分は大丈夫と思い込んでいるのかな。。。ウイルス検診を受けていない人、一度受けて欲しいです。議員さん達からまずはじめて実感を持ってもらえたらいいのかな。
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毎日新聞 道内版 2011.9.25 新聞記事写真追加1日更新

2011年10月01日 | 肝炎救済に関連して
大きいのでサムネイル版にしていますクリックすると大きくなります。

以下は引用です。内容的には正確じゃない部分もありますが、思いは伝わる内容にしていただけたと思います。
ネット上の原文はこちらこちら

HOTほっとトーク:全ての患者の救済を 川西輝明所長に聞く /北海道
 ◇知らずに感染も B型肝炎訴訟和解、国の継続支援必要--札幌緑愛病院肝臓センター・川西輝明所長に聞く

 今月16日、札幌地裁で全国初の個別和解が成立したB型肝炎訴訟。予防接種時の注射器使い回しで感染が広がった国内最大規模の医療訴訟は、集団提訴から3年余でようやく救済が始まった。今後は、予防接種の証明が難しい患者らの個別和解や、肝炎患者に対する恒久対策の実現が課題となる。求められる対策は何か。北海道原告団代表、高橋朋己さん(58)の主治医でもあり、数少ない肝臓の専門医として原告団の支援を続ける札幌緑愛病院肝臓センター所長、川西輝明医師(45)に聞いた。【構成・金子淳】

 <6月28日。B型肝炎訴訟の原告・弁護団と国は基本合意書に調印し、菅直人首相(当時)が首相官邸で原告団に謝罪した>
 政府として謝ってくれて、患者さんたちの気持ちが落ち着いたし、良かった。ただし、合意書の中身については、重症な人は(和解を)急ぐとか、感染しているが発症していないキャリアーの助成制度をもっと盛り込めれば良かった。
 キャリアーでも通院していなかったり、感染を知らない人がたくさんいる。とにかく早く見つけてあげるのがこれからの課題。発症するのは1~2割と言われているが、知らないうちに肝がんになって亡くなる人もいる。発症のタイミングが分からなければ予防や治療ができない。
 CMでも何でもいいから「肝炎の検査受けましょう」と早く広報していかないと、救える人も救えなくなる。自分は関係ないと思っている人が多いので、会社の健診などに組み込んでほしい。全ての国民が一度は受けるようになれば、何万人という人が救われる。

 <個別和解では、接種痕や記録がなく予防接種の証明が難しいケースも予想される。基本合意では、こうした場合は医師の証言などから「総合的に判断する」と明記されたが、国や司法の判断はこれからだ>
 そもそも予防接種を受けていない人はほとんどいない。接種痕は必ず残るわけではないので、国はもっと譲歩すべきだ。裁判を起こさなくても、申請すれば救済されるようにした方がいい。医者にとっても証拠資料作りなど治療以外の業務が増えてしまう。例えば、100人の中に1人ぐらい予防接種ではない人が交ざっていたとしてもいい。一人も混ざらないように基準を厳しくして20人が漏れるのでは意味がない。
 感染予防の点から言えば、予防接種以外の感染者も対策を取らなくてはならない。患者を減らすことで感染リスクも減る。治療法やワクチンの開発などにも、国はしっかりと支援を続けてほしい。

 <集団訴訟の原告数は約1000人。国は被害者数を約45万人と推計し、救済には増税が不可欠と主張する>
 B型肝炎のほとんどは医療によって広まった。自分が原因ではないのに治療費を負担しなければいけないというのがおかしい。
 今は慢性肝炎や肝硬変、肝がんになった人たちが頑張っているが、そのおかげで救われる人たちが問題に気づいていない。「肝炎患者のせいで税金が高くなる」と思われてしまうと、本当は自分たちのためになることなのに「(対策は)必要ない」という世論になってしまう。
 原告さんがあんなに「増税の理由にしないでくれ」と言っているのに、国が「増税しないと対策が取れない」と言うのは、やっぱり誠意がないと感じる。

 <医師として高橋さんらの治療を行う傍ら、原告団とともに和解協議や抗議活動などにも積極的に参加。ブログ(http://blog.goo.ne.jp/ryokuai_2007)での情報発信も欠かさず、原告団を支えてきた>
 患者さんと長く関わるうち、安心して治療や生活を続けるには訴訟も一つの手段だと思った。自分にできるのは、原告が病気のことを心配しなくても済むようにサポートすること。高橋さんは体調もしんどいはずなのに、笑顔で頑張っている。原告さんはみんな最初は自分の生活を何とかしたいと思って訴訟を始めたかもしれないが、もっとたくさんの人を救うために頑張ろうとスイッチが入った。だから力がある。

 <へき地医療を志して医師になったが、研修医時代、配属された肝臓病棟で1週間に5人が立て続けに亡くなり、専門医になろうと決めた>
 こんなに悲惨な病気があるんだと突き付けられた。専門医が少なく、全道各地から札幌に患者さんが集まってくる。ある意味で無医村と同じで、医者が足りない病気だった。肝臓は診断してから亡くなるまで20~30年、患者さんと付き合っていく。こんな病気ってそうないんですよね。
 息子のように思ってくれる患者さんたちもいて、その人たちが「おれみたいにしんどい思いをする患者さんのために頑張ってくれ」とか「自分を実験台にしてもいいからいい治療法を作ってくれ」と言い残して死んでいく。だからこそ、治療面ではもちろん、生活面でも支えていけることはどんどんしていかなくてはいけない。亡くなった人たちの遺言で動かされているような感じですね。

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 ■ことば
 ◇B型肝炎
 血液を介して感染するウイルス性肝炎で、幼少時に感染すると持続的にウイルスを保有するキャリアーになる可能性がある。発症すると慢性肝炎から肝硬変、肝がんに進行する恐れがあり、決定的な治療法はない。注射器の使い回しのほか、母子感染や輸血などでも感染することがあるが、通常の日常生活で感染が広がることはない。
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 ■人物略歴
 ◇かわにし・てるあき
 1966年、札幌市生まれ。北海道大卒。勤医協などを経て07年から現職。シンガー・ソングライター「あき」の名前で訴訟の応援歌なども制作している。