地球からおよそ10億光年の彼方にある銀河団の中心に横たわる巨大楕円銀河。
この巨大楕円銀河の中心部では、超大質量ブラックホールが存在していて、周囲のガスを集めています。
でも、まるで噴水のように激しく噴き出す現象も起きているんですねー
こうしたガスの噴水が銀河の星の材料を循環させていて、このプロセスは銀河の進化にとって基本的なことのようです。他の多くの銀河でも同じプロセスが働いているようです。
ブラックホールから高温ガスのジェットが噴き出している
今回、研究の対象になったのは、地球からおよそ10億光年の彼方にある銀河団“Abell 2597”の中心に横たわる巨大楕円銀河。
ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのチームが、アルマ望遠鏡とヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLT、NASAのX線天文衛星“チャンドラ”を使って観測しています。
その結果、巨大楕円銀河の中心部に存在する超大質量ブラックホールによって引き込まれた大量の冷たい分子ガスが、噴水のように外へ激しく噴き出すという一連のサイクルがはっきりととらえられました。
ブラックホールに落下する物質は角運動量を持つため、
降着円盤と呼ばれるへんぺいな円盤をブラックホールの周囲に作る。
降着円盤内のガスの摩擦熱によって落下するガスは電離してプラズマ状態へ、
この電離したガスは回転することで強力な磁場が作られ、
降着円盤からは荷電粒子のジェットが噴射しX線などが観測される。
星の材料は銀河内を循環している
この現象は「星の材料になるガスが、銀河中心のブラックホールによって循環する」という、一連のサイクルの一部になるようです。
ブラックホールに向かって落下するガスのエネルギーが噴水の“ポンプ”の動力源になり、高速の高温ガスジェットを放出。
放出されたガスは、銀河を取り囲む球状の構造“ハロー”のガスとぶつかり、冷えて減速すると、銀河本体や超大質量ブラックホールの重力に引かれて、再びブラックホールへと引き込まれていくというサイクルが成立しているんですねー
観測では、太陽30億個分の質量を持つ大量の分子ガスが、巨大楕円銀河の中心10万光年の範囲にわたって細長く伸びていることも分かりました。
高温電離ガスと低温の分子ガスは表裏一体
実は、研究チームではアルマ望遠鏡を使って過去にも同じ銀河を観測しています。
この時、一酸化炭素分子が放つ電波を観測することで、ブラックホールに向かって落下していく冷たいガスの動きを測定。
また、VLT望遠鏡に搭載された可視光観測装置“MUSE”を使って、銀河から飛び出す温かいガスの分布もとらえています。
新しいアルマ望遠鏡の観測では、この高温の電離ガスとほぼ同じ分布を持つ冷たい分子ガスの塊をいくつも発見しています。
そう、アルマ望遠鏡と“MUSE”のデータを使うことで、冷たいガスと熱いガスの特徴を比べながら考察を進めることができるんですねー
“チャンドラ”のデータを使うことで、もっと高温のガスの様子もとらえることができた。
そして、今回の観測によって裏付けられたのが、高温電離ガスと低温の分子ガスが、表裏一体だということでした。
低温分子ガスの周囲を高温電離ガスが殻のように覆った状態で、銀河スケールの噴水の中を移動している。
このガスの循環を包括的に理解できるようになったのは、X線・可視光線・電波を使った多波長観測のおかげです。
今回は“Abell 2597”の観測でしたが、この循環プロセスは銀河の進化にとって基本的なものと考えられます。
なので、他の多くの銀河でも同様に起こっていることなんでしょうね。
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星の誕生を促進させていたのは、超大質量ブラックホールのジェットだった!?
この巨大楕円銀河の中心部では、超大質量ブラックホールが存在していて、周囲のガスを集めています。
でも、まるで噴水のように激しく噴き出す現象も起きているんですねー
こうしたガスの噴水が銀河の星の材料を循環させていて、このプロセスは銀河の進化にとって基本的なことのようです。他の多くの銀河でも同じプロセスが働いているようです。
ブラックホールから高温ガスのジェットが噴き出している
今回、研究の対象になったのは、地球からおよそ10億光年の彼方にある銀河団“Abell 2597”の中心に横たわる巨大楕円銀河。
ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのチームが、アルマ望遠鏡とヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLT、NASAのX線天文衛星“チャンドラ”を使って観測しています。
銀河団“Abell 2597”の中心にある巨大楕円銀河周辺の疑似カラー画像。 (黄)アルマ望遠鏡で観測された冷たいガス、(赤)VLT望遠鏡で観測された暖かい水素ガス、 (紫)X線天文衛星“チャンドラ”で観測された高温の電離ガス。 |
その結果、巨大楕円銀河の中心部に存在する超大質量ブラックホールによって引き込まれた大量の冷たい分子ガスが、噴水のように外へ激しく噴き出すという一連のサイクルがはっきりととらえられました。
ブラックホールに落下する物質は角運動量を持つため、
降着円盤と呼ばれるへんぺいな円盤をブラックホールの周囲に作る。
降着円盤内のガスの摩擦熱によって落下するガスは電離してプラズマ状態へ、
この電離したガスは回転することで強力な磁場が作られ、
降着円盤からは荷電粒子のジェットが噴射しX線などが観測される。
星の材料は銀河内を循環している
この現象は「星の材料になるガスが、銀河中心のブラックホールによって循環する」という、一連のサイクルの一部になるようです。
“Abell 2597”の中心にある巨大楕円銀河(イメージ図)。 中心の超大質量ブラックホールからガスが噴き出している。 |
ブラックホールに向かって落下するガスのエネルギーが噴水の“ポンプ”の動力源になり、高速の高温ガスジェットを放出。
放出されたガスは、銀河を取り囲む球状の構造“ハロー”のガスとぶつかり、冷えて減速すると、銀河本体や超大質量ブラックホールの重力に引かれて、再びブラックホールへと引き込まれていくというサイクルが成立しているんですねー
観測では、太陽30億個分の質量を持つ大量の分子ガスが、巨大楕円銀河の中心10万光年の範囲にわたって細長く伸びていることも分かりました。
高温電離ガスと低温の分子ガスは表裏一体
実は、研究チームではアルマ望遠鏡を使って過去にも同じ銀河を観測しています。
この時、一酸化炭素分子が放つ電波を観測することで、ブラックホールに向かって落下していく冷たいガスの動きを測定。
また、VLT望遠鏡に搭載された可視光観測装置“MUSE”を使って、銀河から飛び出す温かいガスの分布もとらえています。
新しいアルマ望遠鏡の観測では、この高温の電離ガスとほぼ同じ分布を持つ冷たい分子ガスの塊をいくつも発見しています。
そう、アルマ望遠鏡と“MUSE”のデータを使うことで、冷たいガスと熱いガスの特徴を比べながら考察を進めることができるんですねー
“チャンドラ”のデータを使うことで、もっと高温のガスの様子もとらえることができた。
そして、今回の観測によって裏付けられたのが、高温電離ガスと低温の分子ガスが、表裏一体だということでした。
低温分子ガスの周囲を高温電離ガスが殻のように覆った状態で、銀河スケールの噴水の中を移動している。
このガスの循環を包括的に理解できるようになったのは、X線・可視光線・電波を使った多波長観測のおかげです。
今回は“Abell 2597”の観測でしたが、この循環プロセスは銀河の進化にとって基本的なものと考えられます。
なので、他の多くの銀河でも同様に起こっていることなんでしょうね。
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