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太陽系のハビタブルゾーンに惑星が少ないのは木星が原因かも

2020年08月09日 | 太陽系・小惑星
惑星の表面で水が液体の状態で存在できる領域“ハビタブルゾーン”。
これまでに4000個以上も発見されている太陽系外惑星に目を向けてみると、“TRAPPIST-1”のようにハビタブルゾーンを複数の系外惑星が公転している惑星系が見つかっているんですねー
でも、太陽系のハビタブルゾーンを公転しているのは、生命の存在が知られている唯一の惑星“地球”のみ…
なぜ、太陽系のハビタブルゾーン内を公転する惑星は少ないのでしょうか?
どうやら、木星の強い重力が関係しているようです。


太陽のような恒星ではハビタブルゾーンに最大6つの惑星が存在できる

みずがめ座の方向約40光年彼方に位置する赤色矮星“TRAPPIST-1”。
この恒星系では、地球に近いサイズの系外惑星が全部で7つも見つかっていて、その中の3つの惑星“TRAPPIST-1 e”、“TRAPPIST-1 f”、“TRAPPIST-1 g”はハビタブルゾーン内を公転していると見られています。
“TORAPPIST-1”で見つかった7つの系外惑星(TRAPPIST-1b~1h)と地球を比較したイメージ図。(Credit: ESO/M. Kornmesser)
“TORAPPIST-1”で見つかった7つの系外惑星(TRAPPIST-1b~1h)と地球を比較したイメージ図。(Credit: ESO/M. Kornmesser)
一方、太陽系ではハビタブルゾーン内を公転しているのは地球だけです。
恒星のハビタブルゾーンに存在できる惑星の数には、どんな法則があるのでしょうか?

今回、この謎を解くため研究を進めたのは、カリフォルニア大学リバーサイド校の研究グループでした。

研究グループでは、恒星を周回する様々なサイズの惑星を再現できるシミュレーションモデルを作成。
重力による相互作用により、惑星の軌道が数百万年以上の時間をかけて変化する様子を調べています。

その結果示されたのが、一部の恒星ではハビタブルゾーンに最大で7つの惑星が存在できる可能性があるというものでした。

太陽を含むG型の恒星の場合だと、最大で6つの惑星がハビタブルゾーンを周回していることも考えられるようです。

さらに、今回のシミュレーションでは、それぞれの惑星の軌道が円(真円)に近く、木星のような巨大惑星が存在しない場合に、複数の惑星がハビタブルゾーン内を公転したそうです。

このことから考えられるのは、太陽系のハビタブルゾーン内を公転する惑星が少ないのは、木星の存在にあるということ。

木星の質量は、太陽系の他の惑星の合計質量に対して約2.5倍もあるんですねー
この質量からくる強い重力の影響によって、ハビタブルゾーンに存在できる惑星の数が制限されたというわけです。
“TRAPPIST-1”で見つかった系外惑星(上)と太陽系の水星から火星まで(下)の公転軌道を比較した図。“TRAPPIST-1”では3つの系外惑星(TRAPPIST-1e、f、g)がハビタブルゾーンに存在すると考えられている。(Credit: NASA/JPL/Caltech)
“TRAPPIST-1”で見つかった系外惑星(上)と太陽系の水星から火星まで(下)の公転軌道を比較した図。“TRAPPIST-1”では3つの系外惑星(TRAPPIST-1e、f、g)がハビタブルゾーンに存在すると考えられている。(Credit: NASA/JPL/Caltech)
太陽系形成の初期に木星が内部太陽系へと移動したという“グランド・タック・モデル”と呼ばれる仮説があります。

このとき、惑星同士の重力が強く影響し合って互いの軌道が重なり、誕生して間もない岩石惑星間で激しい衝突が何度も起こったと考えられています。

衝突で生まれた破片の多くは太陽に引きつけられて飲み込まれ、内部太陽系には惑星がなくなってしまうんですねー

そして衝突の後には、惑星の残骸が散らばって混沌とした状態に…
そこから“第2世代”の惑星が内部太陽系に生まれることになります。

現在、木星が外部太陽系にあるのは、隣にある巨大なガス惑星の土星に引っ張られた結果で、木星が太陽から遠く離れてしまったことで、地球など今ある内部太陽系の岩石惑星が誕生したと考えられます。

現在、研究グループでは、地球からおよそ27光年先に位置する“りょうけん座ベータ星”を有望な観測対象の一つとしています。

“りょうけん座ベータ星”は太陽によく似た恒星で、過去の観測データの分析によると、主星から10天文単位以内に土星よりも質量が大きな系外惑星は存在しないことが分かりました。
1天文単位は太陽~地球間の平均距離、約1億5000万キロに相当する。


今後の観測によって期待されるのは、ハビタブルゾーン内を公転する複数の系外惑星が発見されること。
さらに、太陽系に似た恒星系が見つかれば、なぜ太陽系のハビタブルゾーンには地球しか存在しないのか? っという謎の解明に近づけるかもしれませんね。


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