寝具業界に入ってすでに45年超となりました。昔は木綿わたの敷き(6.5kg~7.5kg/シングル)を販売すれば事は足りてました。その後ウレタンマットレスが登場し、やや薄く(5kg~6.5kg/シングル)はなったが、基本は木綿わたの敷きでした。
ところが、最近は敷寝具の素材も、ビックリするほど多くなりました。新しい素材もたくさん生まれましたが、「腰痛と敷寝具との関係」に、決着は着いていないと思います。硬い敷きが良い。ソフトな敷きが良い。口では簡単に言われますが、その硬さ・柔らかさが、千差万別、百人百様、数学の答えのように、一つでは有りません。体格や体質、また、好みもあり簡単には参りません。
①【硬い敷】と腰痛 お盆休みで 故郷に帰られた方も多いと思います。故郷などに帰るのは良いが、実家の(敷き)ふとんが合わなくて、腰痛を起こした方も、少なくないのでは・・・。家ではBED。だが、実家へ行けばふとん、そんな方は多々いらっしゃったと思います。そういう爺も、犬の世話で娘の家(爺の生まれた家)で5泊しました。日中は店で仕事でしたが、夜は6畳の仏間(?)にふとんを敷き、TVを見ながら又、本を読みながら過ごしました。
二日目・三日目・四日目・最終日と朝を迎えるたびに「腰痛」に悩まされました。
ふとん屋でありながら、臨時とはいえ「ヒドイふとん」で寝てしまいました。下から、①こたつ敷き②WOOL100%羊毛敷き③ベッドパッド④余った夏掛けふとん⑤ガーゼ敷きパッド、と5枚も敷いたのですが、それぞれが薄く実際の厚さは合計でも約5cm未満。標準的もめん綿の敷きの約半分余です。
爺の部屋
いつもは、ベッド(日本ベッドのシルキーレギュラー)で寝ていることから、お盆休みの5泊は辛いところでした。婆たちに「孫や娘のベッドで寝れば良かったのに…」と言われたが、後で孫たちに「爺が寝たから臭い!」と言われるのも癪に障るので、我慢して寝ていました。
早稲田大学の金岡恒治先生のコラムに、「腰痛改善の可能性があるアクション」として次のように書かれています。
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ベッドを固いものに変える
- 畳に薄い布団を引く
- 横向けに寝る
- ひざの下に枕などを入れて寝る など…
柔らかいマット(敷き)は、「悪」であるという前提での対処法ということですね。多くの方にとっては正しいと思いますが、100%ではないと思います。
以前、腰痛持ちの方の寝方の特徴について書いたことがありました。その時の「膝を立てて寝る」という姿勢は、腰痛と密接な関係があると思われます。そう書いた理由は、爺の長年の接客から得られた「感」であり、所詮、田舎のふとん屋の爺の「たわごと、寝言」です。
話を、爺の腰痛の話に戻します。今回の爺の寝方は、4.「ひざの下に枕などを入れて寝る」以外である1~3の寝方を実践したことによって、腰痛が起きたという結果となりました。何が問題だったのでしょうか? 「膝を立てて寝る」ということは、ある意味「ひざの下に枕などを入れて寝る」と共通する部分があると思います。
つまり、硬すぎたことによって、腰の部分が浮いた状態だったと考えられます。もちろん、それだけで100%腰痛の原因では無いと思われます。
「腰痛には硬い敷き寝具を。」・・・昔から言われています。ですが、本当にこれって正解なんでしょうか。
②【柔らかい敷】と腰痛 柔らかい敷き寝具(ベッド)で、腰痛を起こしたと言われる方もたくさん見えます。しかし、100人が100人柔らかい敷きはダメと言っている訳ではありません。柔らかい敷きが好きという方も多々いらっしゃいます。爺はお勧めしませんが、低反発ウレタンマットが好きという方も、もちろんいらっしゃいます。
一昨日のお客様(30歳代・主婦)は、超スマートな方でした。しかも、側臥(横寝)しかしないと言われます。シルキーマット(ソフト・レギュラー・ハード)を試して戴きましたが、特に肩への圧迫が無く「ソフト」が最適だとおっしゃられ、即決戴きました。 3.横向けに寝る・・・からこそ、柔らかいマットを好まれたのでしょう。
一方、今日の60才台の奥様は、標準的な歳相応な方でした(BMI23ほど)。でも、柔らかいが好きということでした。「シルキーパフ」に横になって戴いたら「これぐらい」と言われます。「腰痛くないですか?」とお聞きしましたが、「無い」とのご返事でした。
柔らかい敷きの代表でもある低反発マットを店頭で試し寝されると、思うに99%の方が寝返りが打ち辛いと言われます。埋まってしまうからでしょう。柔らかい敷が問題となるのは、寝返りの問題(寝返りをしないと腰痛になる・・・試してガッテン)とも密接な関係があると思われます。体重の軽い方は、柔らかい敷きであっても沈み込まなければ良い訳ですね。
誤解されるのが、「柔らかい敷き」と「へたった敷き」だと思います。柔らかいマットであっても、寝姿勢を正しく支持できれば良いのですが、中央部がへたった敷きは、臀部の沈み込みが起こり、ハンモック的な体型で休むことになります。寝具に、何かを載せたら劇的に良くなる(腰痛が軽減される)・・・それは、間違いでしょう。悪い土台、地盤に立派な家を建ててもダメなようなものです。「上に載せるだけ」で多少良くなる(一時良くなる)事はあっても、完全にカバーできることは、絶対ありません。
金岡恒治先生のコラムの中にMRIでの検証の結果、仙骨の角度が問題ではないかと書かれています。(以下コラムより抜粋・太字は爺がしました))
腰の痛みが増す原因は症状によってさまざまです。たとえば椎間板ヘルニアなどは前屈みになった時に痛みが増す一方で、加齢による脊椎の変形に伴う腰痛(変形性脊椎症)は後ろに反った時に痛みが強くなります。このため、中高齢者の腰痛は、腰が反った時に痛むことが多いです。また、若い人でも腰を後ろに反らせると痛みが強くなるタイプの腰痛(椎間関節性腰痛、腰椎分離症など)があります。
寝具の硬さが腰の痛みに影響する
海外で活躍するトップアスリートの多くが、「ホテルのベッドが柔らかすぎて腰が沈み込む」「朝起きた時に腰が痛いことがある」という悩みを抱えています。
これはアスリートに限らず、一般の人でも起こることです。特に腰が反ることで痛みが強くなるタイプの腰痛を持っている人は、柔らかい布団で寝ることでお尻が沈み込み、腰痛が強くなることがあります。このため、腰痛を持っている人は、ベッドを固いものに変えたり、畳に薄い布団を引くこと、横向けに寝ること、ひざの下に枕などを入れて寝ることなどで腰痛が改善されることがあります。
腰痛の原因は、仙骨の角度(又は腰部湾曲の大小)が大きな要素であるならば、体重体型によって一人ひとりの身体の沈み方が違ってくると思われるので、「一律硬い寝具が腰痛に良い」という結論にはならないと思われます。MRIから、腰部湾曲が「0」ではない事が分かります。「0」が良いなら、板の間で直に寝れば良いと言う極論になってしまいますね。
筋肉量は一般人とアスリートでは大きな差があると思います。褥瘡が心配される要介護者には、体圧分散が必要なことからソフトなマットを用意することが多くなります。介護ベッドで背を上げるからか、腰痛を訴えられる方は少ないように、老人の体幹の筋肉の違いも寝姿勢・腰痛とも関係するのではないかと思います。
スポーツ選手を起用しての寝具の宣伝が花盛りですが、スポーツ選手が使う寝具が良い寝具である と言うロジックは成り立たないと思います。
スポーツ選手・一般人・男性女性・若い人老人etc いろんな人はいます。仙骨の角度と腰痛との関係の研究があれば、じっくりと読んでみたいものですね。田舎のふとん屋の爺には、医師ではないのでMRIはありません。
人の凸凹は皆違うと思います。「一人ひとりの体型に合せて、「隙間を埋め腰を支える」ことを考える は当然のことでしょう。
良い姿勢で休む、つまり背筋がピシッとした寝姿勢と言う意味では「硬い敷き」、一方人体の凸凹をサポートするためには、柔らかい敷きで隙間を埋めてやることも重要なポイントだと思われます。
この他にも腰痛の原因は、骨盤のゆがみだと言われる先生も見えます。餅は餅屋、寝具は寝具店。
世の中に「絶対の敷き」はありません。お店でじっくりと相談してみませんか。
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