気になるニュースはたくさん有りますが、その中で2つのニュースを考えてみました。
一つ目は実店舗の減少について。全国の小売店が減りつつあり、その減少傾向に歯止めがかかった様子が無いという事です。
寝具店数のピークは1982年(昭和57年)で、全国で22,136店舗あったそうです。店舗の減少は、寝具店に限った事ではない。家具店や呉服店でも同様のようです。一方大型店である大塚家具さんも苦しんでいるようですね。大型店同志の戦いも熾烈だ。そして最大の脅威はネット販売かもしれません。根本的原因は少子化かもしれませんね。
同じ年(1982年)に弊社も中央店を出店しました。爺32歳の時です。本店・中央店各40坪程度という小さな寝具店であったが、その当時は団塊の世代によるブライダル需要というBIGマーケットが存在し拡大していた頃だ。さらにその後はバブル経済も有、昭和50年頃から平成の初めは、今から思えばそれなりに(それ以上に)売れた良き時代でした。
1965年前後のWatakei旧店舗
現在の店舗(夜間)
当時、碧南市内では確か13店舗の寝具店があり、およそ人口5,000人余で1店舗といったところでした。25年後2007年では8,768店舗、これはおよそ人口15,000人余で1店舗といった計算になる。通産省発表のデータでは、2年前の2014年で5,036店舗となった。一年で500店舗強が減っていることから、今頃は4,000店舗程度だろうと推測されます。現在市内に5店舗あるが、このままでは、碧南市内で必要とされる寝具店は2~4店舗になってしまう。さらにインターネット通販等を考えれば、5~10万人で1店舗もあればOKなのかも知れない。となれば、市内で寝具専門店は2店舗もあれば事足りる勘定となります。
寝具業界自体が縮小しているのか、あるいは、時代の変化に追いついていないが故からか、多くの寝具店は苦しんでいる。売上を伸ばしている店舗も少なくはないが、実店舗での従来通りの販売形態では、時代に会わないからこそ激減しているのだろう。その分ネット販売や異業種の参入が激増しているのも事実ですね。
販売指標として、例えば業界を代表するN社の売上は、かっては900億円程度だったと思うが、今では360億余とのことです。実に半分以下(約4割)と減っている。しかも従来の小売店等の販売チャネル以外へと、盛んに取引先を増やし、また、有名なスポーツ選手をTV宣伝等に起用していてこの数字だ。この間に、武井商事(シャルマン)、松本繊商、泰道リビングなど寝具業界では大手の問屋メーカーが倒産したり吸収合併されたりしている。やはり、マーケット自体が縮小しているから、従来の一般小売店は生き残るのは非常に厳しいと言わざるを得ません。
二つ目のニュースは日経MJの「アパレル業界を救う!? SNS発カリスマ店員」という記事です。
SNSで人気のカリスマ店員さんは、フォロワーさんが10万人以上いるそうです。スゴイですね。アパレル業界・ファッションの世界だからこそできるのかも知れません。残念ながら、寝具業界にはそんなカリスマ店員さんはいません(と思う)。
ファッションの世界では、古着もそれなりの価値があります。だが、アイダーを除けば、古い寝具には価値ありません。有るとすれば、骨董品的な価値が少しはあるかなという程度ですね。
寝具を工夫無く単に専ら売る店という寝具専門店は、ひょっとしたら終わろうとしているのかもしれません。寝具の場合、ファッションとは違った眠りのコーディネイト(眠りの処方箋)が必要なんだと思います。身長に合った長さの布団・ベッド。体型に合った硬さの敷寝具。暑がり・寒がりなど、体質に合った保温力のある寝具など…。一人一人に最適な寝具の組み合わせ(は、もちろん1人ひとり違う)を提供することのできる「店」であり上質な眠りを提案できる「店員」が必要だと思います。
分かり切った商品なら、ネットで用は足りるかもしれません。お客様はどう寝具を選んだら良いのか分からないのかもしれません。自身の眠りの隠れた要望・問題点を意識できないのかもしれません。それらを聞き出すことも大事な仕事です。問題点を解決するようにしてこそ信頼される店員になれます。実際に横たわってみれば、お客様の体が納得すると思います。単に利益追求だけなら、儲けの良い商品か、セルフサービス的に販売できる商品を薦めれば良いでしょう。
眠りにこだわりを持たれた方や、問題のある眠りを解決したい方には、最適な商品を提案しなければなりません。必要とあらば、別注品をお作りし販売することにもなります。それなりにお金も時間も掛かります。分かっていても、総てを別注でオーダーできるのは、極々一部の方でしょう。大方のお客様は、既製品の中から選ばれます。だったら、最適品を最適な組み合わせでご案内する必要が生じます。アパレル業界・ファッションの世界では、それこそパッと見の世界ですが、寝具業界は、じっくり確認してもらう世界だと思います。店員さんに求められるスタンスが違うのではないでしょうか。
老若男女、一人ひとり体格が違います。身長が違い、体重が違い、暑がり寒がりと体質が違います。眠りは十人十色、皆違います。別注品も良し、既製品であっても最適品であれば良いのです。あのスポーツ選手が宣伝するからといって、貴方に合う寝具かどうかはわからないですね。試し寝がどうしても必要ですね。この点は、ネットでは十分確認できないところです。
……
弊店でもインターネット販売をしているが、楽天・アマゾン・ヤフーなどのモールに出店している訳ではない。自社HPのみの販売であるから、売上は微々たるものです。だが、確実に増えています。
一方で、電話やメールでのご相談も多くなりました。その殆んどは、自分に合った寝具選びのポイントや寝具の使い方です。体型体調が一人ひとり異なることから、具体的な眠りの相談をされます。だが、言葉だけのやり取りには限界があります。腰痛の話となれば、医師でないし、レントゲンなどが有る訳ではないから、どの寝具が最適かは簡単に答えは出せません。時には、お客様の姿勢の分かる写真を送って戴いて、具体的なご質問に答えることもあります。売上に結びつかないことの方が多いが、爺に質問してみたいと思われる方がいることは、嬉しいことです。爺を必要と思って戴けたからこそのメールや電話だと思います。
「商いは売ってナンボ」の世界です。たくさんのご相談を受けるのも嬉しいのですが、現実的にはそれ以上に嬉しいのが、このブログやHPを見て県内や時には県外から「わざわざご来店」戴けて、お買上げ戴けるお客様が少しずつ増えているということです。 「具体的に、私に合う寝具を買いたい。どれが、本当に私に合うのかを知りたい提案して欲しい」という言葉です。その裏に「失敗したくない」という言葉も隠れています。
詰め物(ウレタン等)で誤魔化された、豪華でラグジュアリーなベッドマットの模式図
売り場で横たわった時、「なんて気持ちの良いマットだろう」と感激して購入したマットが、実際届き一晩寝てみたところ、最悪の朝を迎えられた方も・・・。購入店に相談されたが、ダメでした。しばらくすると体が慣れて気持ち良くなると思って(言われて)使い続けたが、結局何も変わるものはなかったそうです。(店頭での僅かな時間で気持ち良いと思う)パット寝の良いマットに選択を誤った結果でした。そんなお客様が、Watakeiにご相談方々ご来店戴いています。一昨日の納品のマットも、そんなお客様でした。(キングスダウンから日本ベッドのシルキーへ)
「田舎のふとん屋の爺」などと名乗らず「りゅうちぇる」ならぬ「じいちぇる」とでも改名しようか(アホか!)。
そしてカリスマ店員ならぬ「枯れスマ店員」としてデビューしよう!(消えろ!)
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