「旅」と言うほどではないが、結婚記念日と言うこともあって、近場の西浦温泉へと行ってきました。
以前、この旅館の会長さんに、弊店のオリジナル枕を購入して戴いたことがあったので、お礼方々行ってみることにした。
行ってみて判ったことだが、残念なことに、この旅館は売却されることになり、会長さんは心労で入院されているとのことだった。
渥美半島から奥にうっすらと鳥羽の山々が見える 沈みつつある夕日
西浦温泉でも老舗であり、私たちの部屋は、旅館の中で最高の眺めの部屋でした。
夕日は旅館が自慢するように、大変素晴らしいものでした。
何故、この旅館が人手に渡らなければならなかったのかはいろいろ理由があったことでしょう。客として見て、これはイタダケナイ所を少しばかり書かせて戴きます。
確かにその旅館で一番最高の部屋であり、調度品も螺鈿の家具などが誂えられていた。しかし、戸の建付けが悪く、折からの強風のため、戸がガタガタと揺れ今夜は寝れるのかと心配した。風も日没の頃には収まり、やれやれと言ったところだった。眺めは本当に素晴らしかった。
お茶を飲もうとしたら、「いつのお茶?」と言いたくなるような、茶色に変色したお茶葉が入っていた。抹茶の生産日本一の西尾と言う茶どころに近いのに残念だ。
テレビは、24インチのアナログのブラウン管TV。普段大画面のTVに見慣れているので、十数年前にタイムスリップしたようだ。
あまり代わり映えのしないお決まりの夕食であったが、新鮮な素材で有ったことだけは良かった。だが、ワインを頼もうとしたが赤白各1銘柄しか無かった。ビールと日本酒はそこそこ有ったようだが・・・
食事が終って部屋に戻ったら、寝具が敷かれておらず、フロントに電話したら慌てて掛かりの人が来て、床の用意をしていった。
いつものように、寝具のチェック!
珍しく羊毛のふとんであった
掛(品票が取れていたので推測)敷ともにウールマーク付きの寝具であった。WOOL100%だから、気持良く寝れた。安物の羽毛ふとんよりは「マシ」ではあるが・・・随分使われたようで、シワシワな掛けふとんであった。
カバーの生地はTC(テトロンと綿との混紡)であったので、肌触りが気になった。
朝食が戴けなかった。他の泊まり客のたぶん3倍近い料金を払っているにも関わらず、普段の爺婆の朝食と同程度か、逆に見劣りのする程の内容だった。
鍋の取っ手を持ったら、外れて危うく火傷をするところであった。飯も不味かった。
基本的に何がいけなかったのか・・・。
個人客相手の企画でありながら、実態は団体客相手と変わらないという点であろう。
ネットから直接当旅館のHPで予約を入れたので、抽選ではあるが婆にはお煎餅1袋・爺には夕食時に日本酒が1本サービスと言うことだった。
そんなサービスより、美味しいお茶の1杯、カミソリや綿棒・ドライヤーなどのアメニティがキチンと備えられた方が良いと思う。大浴場には用意されていたが。・・・これらも団体客しか考えていない証のように思える。
窓ガラスも手垢がいっぱいであった。良い景色も台無しである。
20年ほど前に、違う旅館だが、爺婆二人で西浦温泉に泊まったことがあった。
その時は、窓ガラスが割れていて、ガムテープでベタベタと張ってあった。夜半に風が強くなり、窓ガラスが飛びそうであった。フロントに電話したら、新しいガムテープを持ってやって来た。その旅館も老舗であり、現在もラジオ新聞での宣伝はよく見聞きする。
時代が変わっているにも関わらず、殆どの旅館が未だに、料理と景色のみを売りにしている。
快適に過ごす。快適に目覚める。そんな当たり前がキチンとなされていないのは残念だ。
ようやくホテル業界の一部に、寝具(ベッド)に目が向いてきたが、旅館等は全く「気持良く眠る」ことに意識が無いようだ。もちろん伊豆などの老舗旅館には、素晴らしい寝具が用意されているところもあるのだが・・・。
ある意味、旅をするのは「非日常的体験」を求めている。なのに、日常より質の落ちる体験をさせられると、客は悪い評価をせざるを得ない。
安さも大切だが、わざわざ其処に行きたいと思わせる旅館・温泉地になって貰いたいものだ。
また、他県の方にしたくなるように!