太宰治の生誕の地・旧金木町の「斜陽館」に初めて行った。40年ほど前の貧乏学生の時、五所川原の町と深浦のキャンプ場へ行ったことがあるが、具体的にどこに行ったかは全く記憶にない。西津軽は初めての旅と言っても過言ではない。
斜陽館全景
津軽の家はほとんどがトタン葺きである。瓦葺きの家は無い(学生の時弘前に一軒だけあったのを記憶しているが、今有るかは分からない)。雪のために瓦は葺けないそうだ。だから、瓦葺きの家を見慣れている爺としては津軽の家は外観がぱっとしない。ところが、「斜陽館」の中に足を踏み入れて、「スゲぇ!」と心底驚いた。爺が学生の40年前、確か斜陽館は旅館であった。斜陽という名前から、古ぼけた小汚い旅館のように思っていた。泊っておけば良かった・・・。本当に後の祭りだ。
「太宰治」という名は、文学音痴の爺ではあったが、知らないことはなかった。だが、学生時代、五所川原や金木町から来た同級生は、「太宰治」を自慢することはほとんど無かった。それどころか、今にして思えば、「太宰治」という名を避けていたようにさえ感じられる。自殺したということが、どこか後ろめたさを感じていたのだろうか。今となっては全く分らない。
二階の洋間(パンフレットから)
「スゲぇ!」と思った「斜陽館」という建物の内部は、大げさに言うならば、特に二階の洋間を見ると、オーストリアのシェーンブルン宮殿を連想させるがごとくであった。部屋数は19部屋とシェーンブルン宮殿の1400の部屋数と比べたら勿論比較にはならない(その肝心な洋間は見とれて終い、写真を撮るのを忘れた)。 だが太宰治の父が、青森県でその当時確か、5指に数えられる程の高額納税者であったと言うだけあって、その贅を尽くした造りに爺は唖然とするばかりであった。
たとえば、斜陽館の窓ガラスはすべて手すきガラスである(と思う)。沢山の見学者がいたが、手すきガラスに気づいた方はほとんどいないだろう。
斜陽館の手すきガラス(2階から中庭を望む) 手すきガラスを通して、庭を見る(西川本家)
その昔、 (故)西川実(にしかわみのる)社長の案内で、近江八幡の西川本家を訪ねたことがあった。実社長が子どもの頃は入室も許されない客間があった。そこにはステンドグラスが細工されていた。
西川本家の客間 極めて珍しいステンドグラスがはめ込まれた窓
ステンドグラスや手すきガラスのガラス戸を見て、流石に430年の歴史のある商家だと感心して見学した覚えがある。
だが、斜陽館は建築物としては、それ以上である。津軽の片田舎にあることに、たぶん多くの人が不思議な感動を覚えるだろう。
左端最後に「斜陽」の文字が見られる。斜陽館の由来だ。
二階の洋間へと
一方「斜陽館」の調度品やふすまの絵や書がまた素晴らしい。階段などは、どこかの美術館のようだ。仏壇がまた素晴らしい。その昔京都から別誂えで注文し製作させたものだそうだ。たぶん今も昔も、買おうものなら、普通の家なら1~2軒は軽く買えるだろう。
津島家の仏壇 真宗大谷派だ。
西川本家は部屋数が10数部屋だと思うが、津島家(太宰の本名は津島修治という)の本家である斜陽館は、その一部屋一部屋が立派であるが故に、西川本家の2倍以上はあるように思えてくる(実際は同じぐらいだろうが)。 戦前、西川 13代当主は貴族院の議長も務めたことがあると聞いている。同じく太宰治の父も貴族院議員もしているし、長兄は県知事と衆参議員の経歴もある。同じようにも見えるが430年続く、質素倹約・質実剛健の近江商人と、主に明治から終戦までの約100年続く津軽の大地主との違いなのだろうか。甲乙つけようとする訳では無いが、歴史の波に乗るのは本当に難しいように思える。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり・・・・」といったところか。
その日の宿は深浦のぺんション おもしぇ である。50代のご夫婦が二人だけで切り盛りしている僅か3部屋のペンションだ。大手自動車メーカーを早期退職して縁もゆかりもないここ深浦にやって来たそうだ。
夕食が大変美味かった。写真を撮るのを忘れて食した。ご主人や奥さんの料理の腕が良いという訳ではない(失礼)。 新鮮な材料であり、まさに地産地消といったところだ。マグロの刺身は深浦の魚港に上がったものだそうだ。地元で捕れたマグロでも値の良い大間に陸揚げされることが多いとか・・・。十三湖のしじみ汁も良かった。
また、その日(13日)は台風並みに発達した低気圧のために大荒れの天気であった。弘前の寺町のお寺の木塀が倒れたと新聞に載っていた。奥羽本線の列車も一時不通になっていた。
残念ながら綺麗な夕日は見えなかった 台風並みの大しけの日本海
天気が良いときっとその景色にさらに感動していたことだろう。
ご夫婦と話し込むほどに、「ふとん屋のおやじ」ということが分って、ご主人から「商売の大切なところは何でしょう」と聞かれた。禅問答なみの一番難しい質問である。答えられれば、爺はもっと商人として大成していただろう・・・。
飯は美味い。景色も良い。あとは気持ちよく寝られれば満点である。ご主人は大きくうなずいていた。
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