少し前の記事(4月15日)の日経(名古屋版)35面に載った記事である。
弊店の上得意様のS社長さんの話です。
S社長さんの会社(A社)とある会社(B社)とで大きなプロジェクト(確か約30億円と言われたと思うが・・・)をすることになりました。 ところがB社が倒産してしまったそうです。その後の銀行の態度の豹変に酷く立腹されてました。
S社長は出資した九億円分だけ土地を分けて戴ければ良いと思っていましたが逆に、基幹BKである十●BKからA社の出資分九億円を没収すると連絡があったそうです。更にUF▲からは、融資枠の返上を言われたそうです。B社の倒産で、S社長の会社が連鎖倒産する可能性があると判断したらしく、契約上融資を申し込まれたら融資しなければなりません。そこで、事前に融資を断るために返上を要請して来たらしいのです。S社長の会社は無借金経営で内部保留はもちろんS社長の個人資産も充分あるそうです。一旦没収と言ってきた十●銀行は、先ほどの記事ではないが、S社長に対しての「重要事項説明」がなされていなかった事が判明し、逆に地元のメインの信用金庫からは、倒産したB社の分の融資を受けられ、単独でプロジェクトを進められたそうです。その後プロジェクトは順調に進み、今では大手不動産業者から組みたいという申し出が多数来ているそうです。
銀行は、信用したらいかんよ。・・・その日のS社長の話は、数日前のTV番組での「客家の金言」を思い出す事になりました。
◆信じても信じ込むな
◆口ぞえしても金は出すな
◆うまい利益を得たところには二度と行くな
◆山にはまっすぐな木はない 世の中にはまっすぐな人はいない
◆苦労して金を稼ぎ 楽しく使え
◆勉強するときは 勉強に専念せよ
◆百聞は一見にしかず されど百見は一行にしかず
・・・客家18金言の他にもそんな言葉があるそうです(TV番組より)。一般に言われる客家の金言以外でさえ、実に奥の深い言葉です。 さて、一方の客家の金言18はといえば以下のような言葉が続くそうです。
① 運は親切をした相手の背中から来る
② 許すことを知れば運命は変えられる
③ 退却は重要な才能なり
④ 何を始めるかに最も時間を費やすべし
⑤ ビジネスには大義名分が必要なり
⑥ 準備していなかったチャンスはリスク
⑦ 小さい約束こそが重要なり
⑧ 家族を蔑ろにする者は成功せず
⑨ お金に使われず、お金を働かせるべし
⑩ 50人の仲間が成功の核心となる
⑪ 金鉱ではスコップを売るべし
⑫ 安売りは必ず終わりがやって来る
⑬ 嫉妬は成功の敵、愛嬌は成功の素
⑭ 物事は因数分解して考えよ
⑮ 汗ではなく考えることこそが富を生む
⑯ 笑顔はコストゼロの最良戦略
⑰ 「ありがとう」は必ず声に出すべし
⑱ 欲望に忠実になるためにこそ禁欲的に
どの言葉にも重みがあります。世の中腹の立つことがいっぱいあります。でも、冷静になれば、大方の立腹の原因はたいした問題ではありません。爺の今までの経験からすれば、世の中「捨てる神あらば、拾う神あり」といったところです。逆に、いい勉強になることさえあります。
今回の震災でも多くの事を考えさせられました。当たり前と思っていた事が、あたり前では無く、信じたものに裏切られることもこの穢土では当たり前かもしれない。世のため人のためと言っても、誰もが多かれ少なかれ自己の欲望のために商いをし行動している。社長の立場、支店長の立場、融資係の立場、理想だけではメシは食えない。ひょっとしたら、自分が融資係であったら同じようにせざるを得なかったかもしれない。人にはそれぞれ立場がある。
数年前、祖父の代からの付き合いのある■信用金庫に融資(金利)のことで、騙された(と爺は思っている)ことがある。新規借入金を15%ほど減額したい言ったら、既に予定しているからそのまま借りてくれと言われた。ところが、金利は本融資実行日の金利になると言いだした。実行金利は当初の約束より0.15%UPとなった。一般につなぎ融資の金利がそのまま本融資でも適応されるものだが、■信金にはそういった慣例は無いと言われ、異議は通らなかった。支払日まで数日という事もあって他行に替えることもできない。しかも、5年間は繰り上げ返済をすると違約金が取られる契約でもあった。契約書を細部までよく読むと確かにそう書かれていた。信じた爺が単に馬鹿だっただけだ。だが、心情的には数十万円の違約金を払ってでも、■信金とは縁を切りたかった。■信金の担当者は思いとどまってくれと言ってきたが、違約金を払っても余りある好条件をA信組は提示してくれた。自己資金とA信組からの借り換え融資で、■金庫には全額返済した。以来、■信金とは決済上必要な普通預金1口座のみを残して取引はすべて止めた。
十数年前、某大手メーカー問屋から、店舗を3倍に広げたこともあって、平時の仕入れの5倍ほど取引をすることになった。その時の仕入金の支払いだけは別枠とし、無金利で5年返済といった条件で良いということであった。だが、数ヵ月後、支払いが滞っていると連絡があった。経理担当重役まで連絡が行って無かったのだ。僅かな蓄えではあったが取り崩して全額払った。営業担当の重役からは、支払いは当初の条件通りにして良いからと連絡があったが、全額振り込んだ。担当の営業課長は経理から支払いが滞っていると報告を受けたので、事の経緯を調べることなくいきなり支払いを求めてきた。立場上仕方ない事かもしれない。メチャ腹立たしかったが、いずれ支払わなくてはいけないのだから、それが早まっただけの事と気持ちを切り替えた。謝罪されたが数年わだかまりは消えなかった。でも、営業担当重役さんには、その後もいろいろと気を使って戴いた。そのことは感謝している。
大きな事件・災害などに遭うと、たとえその後何事も無かったようであっても、それ以上に好条件を提示してくれても、見方の根本のところが変わってしまう。以前と同じとはいかない。事件・災害の前後では、こちらの心構えに微妙な違いが生まれているからだ。以来、銀行観・企業観が変わったことは言うまでも無い。個人には「情」があっても、組織には無い。
今回の大震災で、多くの方がいずれ融資を受けて生活の再建をすることになるでしょう。親身に話を聞いて融資をしてくれても、銀行と言えども民間企業である。こちらも身の丈に合ったつき合い方をしないと、何時手のひらを反されるか分からない。反されてもよい付き合い方をしないと、最後は身を滅ぼすことにもなりかねない。口約束と言えども契約である。だが、口約束は常に反故になる。
世は無常である。一時たりとも同じ時間は無い。過去を懐かしく思ったところで過去には戻れない。未来しかないのだ。さあ、元気出して行こう!
Watakeiの存在意義は「お客様の快眠のため」以外の何物でもない。・・・・・・・・・・爺の独り言でした。