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たとえ、認知症になっても。
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たとえば、その夜勤の中、入院された閉塞性黄疸の10★歳のおばあちゃん。
認知症のためか、オムツ交換でも、体位変換でも、血圧測るだけでも、なかなか大変。
病棟に来る前、点滴の針を入れるのにも4人がかりだったそうな。
このほっそいお体の、しかもご自分で身体の向きを変えることもできない方の、
どこにそんな力が・・・?と思うほど。
そして、「殺される~」「おじいさ~~ん。助けて~~」と騒がれていた。
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そんなおばあちゃんが、夜中、ふと目を覚まし、点滴の更新にきた私の姿を認めたとき、
「おじいちゃん」
と、優しく声をかけてきた。
(ちなみに、ご主人を○年前に亡くされている)
続けて、こう言った。
「そこにいると、寒いでしょ。
ほら、早(は)よ、こっちきて、眠りなさい」
と、かけ布団をあけて、おいでおいでと手招きをされる。
とても、可愛らしいしぐさだった。
こんな風に、おじいさんおばあさんになっても、そばにいる人を愛して、労(いた)わりながら、毎日過ごしていたのかな・・・と、思わされるほど。
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そういえば、いつぞや入院されていたご高齢の方は、朝目覚めると、必ず布団をたたんだりしていたなぁ・・・
何かをしてもらうと、必ず「ありがとう」と手を合わせて感謝するおばあちゃんもいたなぁ・・・
文句ばかり言う人もいれば・・・
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時折、ご家族のお話も聞くと、「前から・・・でした」ということもある。
たぶん、毎日どう過ごしてきたか、で違うのかもしれない。
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