さすらうキャベツの見聞記

Dear my friends, I'm fine. How are you today?

頭突きをするキャベツ(2)

2008-12-23 23:46:54 | Tuesday 病院
(続き)


 Oさんは言いました。
「OK、OK」

私たちは、口々に言いました。
「ごめんなさい、採血をさせてくださいね~」
「ちょっと痛いですけれど、少し辛抱してくださいね」

Oさんは、ぱっちりとした目をこちらに向け、はっきりと答えました。
「OK、OK」


              ***********


 かくして、一人がOさんの腕を抑え、キャベツが刺そうとしました。


 ・・・しかし、ここでやはりOさんは腕を動かしました。
 80過ぎだというのに、60代と言っても違和感のなさそうな若々しい、力の強いOさん。
 そして、血管の細いOさん。
 ・・・ほんの少しでも動かれたら、漏れること必須・・・。


 そんなわけで、

「やっぱり、私のほうが抑えますよ。多分、私のほうが力が強いと思いますし

 と、選手交代。


                 

 お次は、
 キャベツが、Oさんの片腕のひじ側と手首側をしっかり両手で押さえ、
 もう一人のNsが刺そうとしました。


                
         

 すると、Oさんが、もう一つの腕で、そのNsを殴ろうとしました。
 キャベツは両手を離せません。

 キャベツは腕で、そのOさんの腕を阻止しました。


       **********


 次の瞬間、
 もう一人のNsが、再度、手を近づけました。

                       

 すると、Oさんは、そのNsを凝視し、
 自らの頭でそのNsを打とうとしました。



         いけない!!!



 キャベツは、両手を離せません。
 かろうじて届いた腕も動かせません。


 (このままだと、あぶない!!) 

 逡巡する間もなく、
 キャベツは、Oさんの頭を自分の頭で抑えました。


       手には手を。

       頭には頭を。


 Oさんの頭を抑えるために、キャベツの反対側の足も、ぎりぎりと床を踏みしめています。




 「それじゃあ、取りますね~~」


 かくして、Oさんとキャベツの渾身の力比べが、繰り広げられる中、

 もう一人のNsが、無事に採血を取ることができた、とさ。



 めでたし、めでたし。



 ふぅ・・・



 Thank you



(追伸-もちろん、Oさんにたんこぶはできていません・・・頭を抑えただけです。念のため)




                **********


<注意>
 というわけで・・・採血やサーフロー(点滴のための針)を入れようとするとき、動かすと、漏れたり、もう一度刺さなくてはならないこともあるので、お願いです。
 動かさないでください。

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頭突きをするキャベツ(1)

2008-12-23 23:00:25 | Tuesday 病院
・・・(注)スラムダンクではありません。


                     


昨日のこと。

ことの始まりは、急変・ステルベンの続く、忙(せわ)しない状況での、Drのひとことでした。




「あ、Oさんのレントゲンと採血オーダーしておいたから、よろしく。外注で」

「先生、今ですか?」

「うん。できるだけ、早く」






 え~~っと、ここで少々説明させていただくと。
・・・外注、というときは、外部の施設に採血を見てもらうわけで、一日に「○時便」というのに、間に合わせなければなりません。
 加えて、次の日は、祭日のため、外注を送ることができません。
さらに加えて、外注の場合、結果が返ってくるのに数日かかるのです。

 このとき、すでに12時を回ったころでした。
 この次の便は、「(午後)3時便」。
 これを逃すと、もうダメ。
 加えて、この日は、午後に研修(それも、一応伝達(講師?)役)があり、


 ・・・今、やらなきゃいけないじゃん。
 ですが、病棟はそのとき、とても大忙しでした。

 ある人は、急変のため、ベッドごと部屋移動をして、プレドパ(昇圧剤)を使い始め(朝一番)、
 ある人は、今か今かと皆が見守る中、SpO2 80台 1)の低飛行を続け、
 そんな中、別の個室の方が、すとーんとHR=30台に落ち、そのまま・・・。

 研修行きのキャベツは、この日の受け持ちが、軽い患者さんばかりだったので、
 他の人が忙しい中、その分、外回り 2)の最中でした。

 ・・・しかも、Oさん・・・

「OK,OK」
というOさん。
「すみません、採血してもいいですか?」
と問えば、
「OK,OK。問題なし」
と答えるOさん。そして、直前で腕を震わせて、採血をさせてくれないOさん。

  とりあえず、10数人分の口腔ケアと吸引を済ませて、経管栄養のボトルをつなげたあと、採血の準備をし、キャベツはOさんの元に行き、そして、・・・撃沈しました。


 やはり、一人では不可能だ。



 そんなわけで、もう一人のNsの加勢を得て、再度Oさんの元へいきました。


        ****************


(続く)

【注】
1)SpO2

2)他の患者さんの点滴の更新やら、ナースコール対応、口腔ケア、吸引、経管栄養をつなぐ、などなど。

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