しばらく前から、ミニキャベツは「パパイヤ」である。
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「パパ、嫌っ!」と、食事でも着替えでもパパを拒否し、ママを求める。
「パパと、ママの扱いが、違う……」と、ミニキャベツのパパは毎日涙ぐむが、そんなことはミニキャベツの知ったことではない。
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が、そんなミニキャベツが、今朝、パパの懐に転がり込んできた。
ニコニコと笑顔で、パパを見上げるのだ。
(モテ期が、来た……!!?)
パパは嬉しくて、ミニキャベツが寒くないよう掛け物をしっかりとかけ、温めてあげていた。
どんなにか嬉しかったことだろう。
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だが、しかし。
その幸せも、長くは続かなかった。
ママが食器洗いを終え、ハイハイしてきた小さなキャベツ姫を抱っこして、寝室に向かうなり、
ミニキャベツはパパを突き飛ばして、ママの元へ行ってしまったのだ。
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パパは泣く泣く、ママの元にいるミニキャベツを見つけ、がっくりとしながら、事の次第を妻に伝えた。
(一方、ミニキャベツは、キャベツ姫と同様、ママにひっつき虫となっており、
可愛らしい声をあげつつ満面の笑みをたたえていた…。)
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将来のミニキャベツよ。
君のパパは、君からどんな扱いを受けようと、君を大事にしているということをゆめゆめ忘れてはいけない。
君がパパイヤだろうとなんだろうと、
パパもママも大事に想っているぞ。
「汝等(なんじら)のうち、
誰かその子パンを求めんに石を与(あた)へ、
魚(うお)を求めんに蛇(へび)を与へんや。
さらば、汝ら悪(あ)しき者ながら、
善(よ)き賜物(たまもの)その子らに与ふるを知る。
まして天にいます汝らの父は、
求むる者に
善き物を賜(たまわ)ざらんや。」
(新約聖書·マタイの福音書 7章9-11節)