Megadeth - Dystopia
今回は、音楽記事です。最近このカテゴリーではスラッシュメタルバンドを扱っていて、アンスラックス、スレイヤーときました。この流れで、今回はスラッシュメタル四天王の一角である......
過去記事です。
先日ジェネシスの記事を書き、そこでNeedles & Pins という曲のことを書きました。
この歌は、メガデスの Use the Man という曲の冒頭部分に引用されています。
そんなことをふと思い出したので、メガデスの記事を振り返ってみました。
動画を載せようと思ったんでですが、公式チャンネルにあるリマスター版ではどうやらその部分がカットされているようで……代わりに別のバージョンを。
先日記事を書いたラモーンズがこの歌をカバーしています。
Ramones - Needles And Pins (1978) | LIVE
プログレ、パンク、メタルと、ジャンルの違う三つのバンドが、この曲にからんできます。
古典期ロックンロールというのは、ロックンロールが帰る場所であり、それがつまりは魂ということなのです。
ついでに、メガデスのその後について書いておきましょう。
元記事ではDystopia というその当時の最新作を紹介しましたが、その後メガデスは新譜を発表しています。
昨年発表されたそのアルバムのタイトルは、The Sick, the Dying ... and the Dead!
コロナ禍にウクライナ戦争という状況を考え合わせると、不穏なタイトルです。
そういう時代を踏まえた作品ではあるでしょう。
たとえば Dogs of Chernobyl という曲が収録されています。タイトルを訳すれば「チェルノブイリの犬」。これはやはり、チェルノブイリの現状を考えざるを得ません。
Dogs Of Chernobyl
そして、コロナ禍という状況。
元記事を書いたのは2020年で、新型コロナパンデミックの初期にあたります。
メガデスの来日公演が延期されたということがあって、記事の最後に、いつかその雄姿をみせてくれるだろう……ということを書きました。
それは実現し、メガデスは今年来日を果たしています。
しかし……そこに、“デイヴJr”ことデヴィッド・エレフソンの姿はありませんでした。
メガデス不動のベーシストとしてムステインの右腕的な存在であったエレフソンですが、未成年の女性と不適切な関係というスキャンダルがあり、バンドを解雇されています。
エレフソンの側は、合意の上だったし相手が未成年とは知らなかったと主張しているようですが、その手の話には厳しいいまの時代、ムステインとしてもノーリアクションというわけにはいかなったのでしょう。
エレフソンは去りましたが、その代わりに日本では再会劇も。
かのマーティ・フリードマンがゲストとして参加しているのです。
その様子を紹介する動画がありました。
豊洲PITの逆でデイヴと再会した際の様子をおさめた貴重な映像。
MEGADETH公演の裏で起きた奇跡の瞬間!Dave MustaineとMarty Friedmanが再会!!
武道館でのパフォーマンスもちょっとだけ観れます。
24年ぶり待望の共演!MEGADETH×Marty Friedmanが魅せた大熱狂ライブ!【LIVE AT BUDOKAN】
ちなみにこの動画は、マーティさんがかつて出ていた『ロック・フジヤマ』というテレビ番組がYoutubeに開設したチャンネルです。個人的な話ですが、この番組を私はよく観てました。この番組は、それまでちょっと敬遠していたメタルの方向に興味をもつきっかけでもありました。
また、メガデスは来日公演に先立って、こんな動画も公開しています。
題して「ゴジラVSヴィック・ラトルヘッド」。
Megadeth - We're coming for you, Japan!
メガデスのマスコットキャラ、ヴィック・ラトルヘッドがゴジラと戦うというストップモーションアニメです。
ここで使われているヴィック・ラトルヘッドは、今年発売されたばかりのデフォルメフィギュア。ちゃっかりその宣伝も兼ねているところが商売上手(笑)。
せっかくなので、メガデスの動画をいくつか。
元記事でちょっと言及したアルバムPeace Sells ... But Who's Buying? に収録されている Peace Sells のライブ動画です。
Megadeth - Peace Sells (Vic and The Rattleheads - Live at St. Vitus, 2016)
「知的でシニカル」を感じる曲としてもう一つ、Kill the King。レインボーのカバーではなく、メガデスの曲です。
Kill The King
“王殺し”というモチーフと、渇いたシニシズム……インテレクチュアルスラッシュメタルの面目躍如といえる一曲です。
この感じでもう一曲、「狂乱のシンフォニー」。
Megadeth - Symphony Of Destruction
この歌なんかは、現在の世界情勢に重ね合わせて聴くこともできるでしょう。
メガデスはずっとそういう歌をやってきたのであり、そして世界のほうもあまり変化していないということなのです。
マーティー・フリードマン在籍時の代表曲の一つ、Hangar 18。
Megadeth - Hangar 18
やはりマーティ在籍時の Holy Wars ... The Punishment Due。
Megadeth - Holy Wars...The Punishment Due
現在の世界と重ね合わせられるという点では、この歌もそうです。
上記二曲が収録されているのは、Rust in Peace というアルバム。Rest in Peace をもじって「平和のなかで錆びついている」というこのタイトルは、まさに“知的でシニカル”そのもので、腐敗していく平和とエントロピーの蓄積が云々といったことをモチーフにしているわけですが、実際に平和が破れて戦争という事態が生じたときには、そんなこともいっていられない。錆びついてたって平和のほうがいいんじゃないか……といったことを考えさせられるのです。元記事の話に戻ると、Dystopia という作品とそれに続く最新作は、そういったことが背景にある気がします。仮想の存在であった悪が顕現すれば、もう冷笑もしていられないのです。