今日8月27日は、「寅さんの日」だそうです。
映画『男はつらいよ』の第一作が、1969年に公開されたということで、この日が記念日になったということです。
というわけで、映画『男はつらいよ50 お帰り寅さん』をみました。
昨年末に公開された、シリーズ50作目にあたる最新作。
前からちょっと気になってはいましたが、この機会に観てみようかということで、レンタルしてきました。
オープニングには、桑田佳祐さんが登場します。
あの「俺がいたんじゃ……」という歌を桑田さんが歌ったことでも、本作は話題になりました。
この人選は、実にぴったりだったと思います。
内容は、脱サラして作家になった諏訪満男(吉岡秀隆)が、伯父である寅さんのことを回想するというもの。
懐かしい面々が、そろって登場します。
あの一家だけではなく、シリーズの過去作品に登場した人物も。そして、ある人物との再会がストーリーの核となります。
もちろん寅次郎本人は出てきませんが、過去映像としては登場。
私はそんなにこのシリーズの作品を観ているわけではありませんが、それらのライブフィルムには懐かしいシーンもいくつかありました。
昔はよかったなどということは言いたくないんですが……ここに描かれているのは、たしかに今は失われたなにかだという気はします。
現代は、すなわち寅さんなき時代です。
先に、桑田佳祐さんのOP起用はぴったりだと書きましたが……このニュースを聞いて私が真っ先に思ったのは、桑田さんがソロで発表した「祭のあと」という歌でした。
それとなくあの娘に聞いたよ
誰が大事な人なのか
心の中じゃ ああ 無理だとしながら
ふられてもくじけちゃ駄目だよ
こんなしがない世の中で
振り向くたびに もう若くはないさと
野暮でいなたい人生を
照れることなく語ろう
悪さしながら 男なら
粋で優しい馬鹿でいろ
ここに歌われていることが、まさに寅さんだと思うわけです。
そういう寅さん的なるものがどんどん失われているのが、この21世紀ではないかと。粋で優しい馬鹿どころか、知恵はあっても人間としてはクズ、みたいな人が大手を振って闊歩する時代になってしまった……と、テレビを見ると思います。
しかし、単に昭和ノスタルジーで終わってしまったのでは、この令和の時代に寅さんが帰ってきた意味もありません。
この、寅さんなき時代に、いかに胸を張って生きていくか――
駆け出し作家の満男にみずからを重ね合わせつつ、寅さんの精神をもってやっていこうと思います。