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忌野清志郎「オーティスが教えてくれた」(Kiyoshiro Imawano, Otis Taught Me)

2018-02-17 15:22:56 | 音楽批評
先日、自転車を盗まれた記事で、忌野清志郎のことを書きました。

せっかくなので、忌野清志郎についてもう少し書こうと思います。

清志郎は、がんとの闘いの末に2009年にこの世を去りましたが、その最後のオリジナルアルバムとなったのが、2006年発表の『夢助』です。

 

このアルバムで清志郎は、自身のルーツの一つであるソウルの方向に回帰しています。

MG'sのギタリストであるスティーヴ・クロッパーをプロデューサーに迎え、ナッシュビルでレコーディングしたということで、このあたりにもこだわりが感じられます。


そんな清志郎のソウルへの思いを歌ったのが、「オーティスが教えてくれた」です。

オーティスとは、いうまでもなくオーティス・レディングのこと。
清志郎も大きく影響を受けた伝説のソウルシンガーです。スティーヴ・クロッパーが所属するブッカーT& the MG′sはオーティスのバックなんかも務めていて、オーティスの代表曲「ドック・オブ・ベイ」はスティーヴ・クロッパーとの共作……そして、清志郎の「オーティスが教えてくれた」は、スティーヴ・クロッパーの作った曲なのです。
その曲に清志郎が載せた歌詞を、一部抜粋して紹介しましょう。


  オーティスが教えてくれた
  遠い国の やせっぽちの少年に
  オーティスが そっと教えてくれた
  歌うこと 恋に落ちること

  愛し合うこと
  君と歩くこと
  笑うこと
  涙を拭くこと
  しゃべること
  信じること
  抱きしめること
  旅に出ること
  叫ぶこと
  愛し合うこと
  戦争をやめること

どうでしょう。
清志郎が歌ってきたことのすべてが詰まったような歌詞じゃないでしょうか。
「愛し合ってるかい?」という清志郎の問いかけが聞こえてくるようです。あの、武道館完全復活祭での、魂の「愛し合ってるかい?」が……

はたしていま私たちは、その問いかけに正面から「YEAH!」と答えられるんでしょうか。
この歌を聴いていると、そんなことを思わされます。

最後に同じく『夢助』に収録されている「激しい雨」という歌も紹介しておきましょう。
こちらは、RCサクセションでギターを弾いていた清志郎の盟友“チャボ”仲井戸麗市さんとの共作曲です。

  海は街を呑み込んで ますます荒れ狂ってる
  築き上げた文明が 音を立てて崩れてる
  お前を忘れられず 世界はこのありさま
  
  季節外れの 激しい雨が降ってる
  歩き出した未来は 冷たく濡れたままでも
  誰もが見守ってる
  世界は愛し合うのか

  Oh 何度でも 夢を見せてやる
  Oh この世界が平和だったころの夢

  RCサクセションがきこえる
  RCサクセションが流れてる


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