西郷隆盛(南州)は素晴らしい詩を残している。そのうちの一つ「天意を識る」の中の一句です。この一句は、現職の頃卒業する生徒が寄せ書きなどを持ってきて何か書い欲しいと頼まれたときに好んで使わせてもらった一文です。
この詩の前に「貧居傑士を生じ/勲業多難に顕る」とある。西郷南州は「偶感」の中で「児孫の為に美田を買わず」と言っている。このような人生哲学を持ち、努力した人だったのだ。
今の時代の親や子供たちを見ていると、こんな西郷南州のような思考は論外みたいに思われる。子供には日常の暮らしの中の普通の仕事すらさせず、欲しいものは何でも買ってあげる。求めるのは少しでもいい大学に入って欲しいと言うくらいだ。逆な面で子供の行き方が間違った方向と気がついても、注意すら出来ない親が多くなったりしている。
最近ホームレスの数が増えていると聞く。その人たちに、介護などの仕事を斡旋してもすぐ止めると言う。辛い仕事はしたくない、ホームレスで食べるものも着るものもままならなくても、気ままに生きておれるだけ良いと考えるのかもしれない。
また、学校を卒業しても就職が出来ない。就職難の時代になっている。かつてのバブルの頃は、引っ張りだこで皆が就職できた。今は違う。大学も出ればいいのではない。何を学ぼうとして進学したのか、目標とした学問にどれだけ成果を上げることが出来たのか。その目標に向かってどれだけ頑張ったか。本当に努力した人には相応の評価がされていると思う。
バブルがはじけ、国際競争の中で日本の企業も苦しい立場になってきている。それだけに経営者も従業員も、今こそ、気持ちを改めて、苦難に立ち向かう覚悟が必要なのでしょう。 受け入れられないことを嘆く前に、自分の人生をどう切り開くかを自分に問い、そのためになさなければならない努力をすることすが必要なのでしょう。