現在、歯が一本抜けてしまい、歯医者に通っているが、
「歯」というものの根源性については、世にあまり語られていない。
動物と植物を分けるもの、その最大の一つは「歯」だと思う。
乳房を吸う乳児に歯が生えると、乳児は幼児に成長する。
歯は、対象を破壊して身体に取り込む行為を可能にする。
だから母親は、歯の生えたわが子に乳房を与えることを嫌う。
何よりも、噛まれると痛いからだ。
歯は我々に、「破壊(喪失)」と「享楽(滋養)」を教える身体器具で
ある。この両義性にこそ、おそらくエロスの根源がある。
エロスとは、「死(破壊)」への欲動を胚胎しつつ、享楽を伴うもの
である。それは「性」そのものであり、さらに「生」として昇華
いゆく処に、動物も人間も、生きる命の営みを続けていく。
少し不謹慎に聞こえるかもしれないが、
現今の原発事故や震災に、何か「エロス」に通じるものを感じた方
はいないだろうか? 生と死の狭間に置かれた人々には、根源性で
あるエロスは、滲み易いのだ。
原子力は、科学の「火」であり、「歯」である。つまり文明破壊と
文明の享楽を可能にする。原子力技術という「歯」を使用して、
ウランという地球資源を噛み砕き、電気を享受してきた訳である。
21世紀のフクシマで、我々は「乳房」を噛み千切ってしまった
とも言える。
同じ喩えなら、火力発電等でも当て嵌めることが出来そうだが、
放射能災害がもたらす甚大で重篤な被災とは、位相が異なる話である。
原子力発電とは、歯の生えた子供に、乳房を含ませているようなもの
であり、先進的ではない、その退嬰性と危険とを指摘したいのである。
(また、この乳房に群がる原子力利権屋たちも問題なのであるが。)
歯の生えた子供に乳房を与えてはいけない。母子密着の近親相姦的な
閉鎖空間に再び、子供を後退させてはならないのだ。何よりも子供は、
やがて乳房に噛み付いて、「母」という大地を破壊しかねないからだ。
文明の「歯」を用いないエネルギー、太陽光がその代表例だろう。
人類が進歩するということは、原初の自然から直接豊富に、最大可能
な恵みを享受する生活の、その実現性の度合いだと思う。
「歯」による進歩史観の終焉と、太陽の乳房を取り戻す可能性にこそ、
我々の新たな人類史再生と文明再生への試金石がある。
「歯」というものの根源性については、世にあまり語られていない。
動物と植物を分けるもの、その最大の一つは「歯」だと思う。
乳房を吸う乳児に歯が生えると、乳児は幼児に成長する。
歯は、対象を破壊して身体に取り込む行為を可能にする。
だから母親は、歯の生えたわが子に乳房を与えることを嫌う。
何よりも、噛まれると痛いからだ。
歯は我々に、「破壊(喪失)」と「享楽(滋養)」を教える身体器具で
ある。この両義性にこそ、おそらくエロスの根源がある。
エロスとは、「死(破壊)」への欲動を胚胎しつつ、享楽を伴うもの
である。それは「性」そのものであり、さらに「生」として昇華
いゆく処に、動物も人間も、生きる命の営みを続けていく。
少し不謹慎に聞こえるかもしれないが、
現今の原発事故や震災に、何か「エロス」に通じるものを感じた方
はいないだろうか? 生と死の狭間に置かれた人々には、根源性で
あるエロスは、滲み易いのだ。
原子力は、科学の「火」であり、「歯」である。つまり文明破壊と
文明の享楽を可能にする。原子力技術という「歯」を使用して、
ウランという地球資源を噛み砕き、電気を享受してきた訳である。
21世紀のフクシマで、我々は「乳房」を噛み千切ってしまった
とも言える。
同じ喩えなら、火力発電等でも当て嵌めることが出来そうだが、
放射能災害がもたらす甚大で重篤な被災とは、位相が異なる話である。
原子力発電とは、歯の生えた子供に、乳房を含ませているようなもの
であり、先進的ではない、その退嬰性と危険とを指摘したいのである。
(また、この乳房に群がる原子力利権屋たちも問題なのであるが。)
歯の生えた子供に乳房を与えてはいけない。母子密着の近親相姦的な
閉鎖空間に再び、子供を後退させてはならないのだ。何よりも子供は、
やがて乳房に噛み付いて、「母」という大地を破壊しかねないからだ。
文明の「歯」を用いないエネルギー、太陽光がその代表例だろう。
人類が進歩するということは、原初の自然から直接豊富に、最大可能
な恵みを享受する生活の、その実現性の度合いだと思う。
「歯」による進歩史観の終焉と、太陽の乳房を取り戻す可能性にこそ、
我々の新たな人類史再生と文明再生への試金石がある。