脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

ポッカリに、ピアノが鳴る。

2019年10月06日 17時13分38秒 | 近況
この賃貸マンションに越してから、1か月経過した。
どうにも、未だ自分の住まいという気がしない。
本宅が別にあって仮住まいしているような、友達のアパートに
でも住んでいるような気分で、実感がわかないでいる。

更地となった実家跡地の脇を、自転車でよく通るが、
自分には、ポッカリと穴でも開いたような風景に見えて、
言葉が浮かばない。まだ建築工事は始まってない。
土地が死んで、喪に服している姿にも見える。

「土地」とは不思議な商品だと思う。消費して摩耗したり壊れた
りすることがなく、商品として転売が可能である。それは何度でも
死んでは、持ち主を換えて再生されるものでもある。土地も家も、
物理的な商品ではなく、実用価値を超える、所有者個人の観念形態
下にある、心情的、愛着的で、関係的で、人間的な何かである。

勿論、土地一般が皆そのような観念形態にある訳ではない。
実用の土地ではなく、先祖伝来の土地とか、人間の顔をした土地と
いうものの本質は、空間的なものであるよりは、経過した時間とか
歴史にあるのだろう。私は我が家の歴史の喪失に、未だ茫然として
いるのである。悲しいとかいうより、ただ茫然と…。

最近、川上ミネというピアニストを知って、よく部屋で鳴らしている。
木住野佳子というピアニストがいるが、タッチや間が似ているが、
ミネさんの方が、より抽象的な音楽性である。とても心地よく響く
ピアノで、一人居の部屋の空間に合っている。

お気に入りの音楽に出会えた時、
とても得した気分と、人生に喜びを感じる。
このブログを読まれている方も、彼女のピアノ、
是非聴いてみて下さい。



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