ただいま、「モンゴメリーと花子の赤毛のアン展」が、大丸心斎橋店で開催中、
墓参りの後に大急ぎで行ってきました。
モンゴメリーと花子の赤毛のアン展〜カナダと日本をつないだ運命の1冊
作家として、牧師の妻として、そして母として人生を生きた
ルーシー・モード・モンゴメリと、同時代に生き、戦前戦後の
激動の時代に命がけで「赤毛のアン」を翻訳した村岡花子の
情熱と人生を振り返ります。年齢を問わず、多くの人々の心を
とりこにしてきた「赤毛のアン」の魅力を、読者の皆様が持つ
それぞれのアンの気持ちでお楽しみください。
展覧会内容
http://www.anne-ten.com/naiyo2.html
※この後も全国を巡回するようです。上のURLで詳しく
観覧料は800円、エ・・ 無料じゃないのか 仕方がないなぁ・・
展示室に一歩入ると 薄暗ら~い展示室。
展示物は ふるーい本に、ふっるーい、モンゴメリーの写真。
ただただ古ぼけた、どっこまでーも ただ、ジミィーなだけの展示物。
誤字を直した跡がやけに目立つ、説明パネル。
どのパネルにも誤字の修正があるの・・・
最初からよく確認しとけよ、みっともない!
・・・・・・・
何? これ? ジミッ! クラッ!
私は展覧会に大きな勘違いをしていることに気がついた。
展示室には未来が輝くような「赤毛のアン」の世界が広がって
いるもんだと思いこんでいたんだよー
(すいません、私がかってにそう思い込んでいただけ・・・・)
虹が!
そう、上の画像のような、緑の切妻屋根の家、輝く湖水に、緑あふれる景色
プリンスエドワード島の美しい自然・・・・
がっ! そんなもん、どっこにもないやん!
ここの展示はあくまでも、モンゴメリーの人生と、作家としての
足跡をたどるものだった。そうだったのか・・・
しもたー 800円もして高かった・・・
と大きく後悔しながらも、静かに展示物を見て回った。
モンゴメリーは真面目に働き、育ての祖母の為に結婚も遅らせたような
女性だったが、ファッションが綺麗な服が大好き、写真を撮るのも、猫も好き!
美しい物、可愛い物、大好きな物を一杯集めた、彼女が作った
スクラップ帖にはすっかり見とれてしまった。
文句を言いつつも、私はこの頃にはもう 夢中になって
モンゴメリーの世界に入り込んでいった。
洋服が大好きなモンゴメリーは、デザインを凝らした様々な服を
着込んで写った、大きなパネルが飾られていたり
復刻された、彼女の純白の結婚衣装の美しいことといったら・・・
パールのビーズが胸もとに何重にもつけられ、レースの飾りは繊細で、
この衣装を身に纏った彼女は、どれほど幸せだったのだろう。
同じ女性として、とても共感できる、素敵な人だと思った。
そして、彼女は「赤毛のアン」を執筆することになる。
すでに私の若い時に全作を読んではいるが、もう一度 読み返したい。
強くそう思ってしまった。
次は村岡花子の展示へと変わる。
花子の過ごした東洋英和学院の授業や、食事、教師生徒達写真が多数。
裕福ではない家から、このまさに異世界に入った花子は
幼いながら どれだけの多くの事と、向き合い、戦ったのだろう。
その中で、柳原曄子・白蓮と出会う。友情に満ちた二人の手紙に、
お互いの深い思いやりを感じた。
働く中で「女性の地位向上のために尽力しなさい」と、有名な女性から
花子が助言されたのが100年も前の話し。 ところが
100年たっても、この国の女の地位は何も変わっていないじゃないか。
男達の石頭ぶりにはまったく閉口する、相変わらずこの国は
女をバカにしたままだと、最近の女性蔑視事件の数々を思い出し、
呆れ、嘆息した。
展示の手紙には、不倫の関係であった、村岡と交わした、
熱い情熱的なラブレターもあった。
そして、花子が無くした6歳の幼い息子の名前は、道雄君という。
セーラー服を着た可愛い道雄君の写真には、涙を禁じ得ない
死亡通知の住所が、私が以前に住んでいたことのある
大田区の大森の住所と、とても近いことを知って親近感もわいた。
その後、花子は「子供の為の読物が無い」と意欲的に翻訳に取り組んでゆく。
「赤毛のアン」以外にも、子供なら誰でも知っている、
いや日本人なら誰も一度は読んだ本が展示されていた。
「フランダースの犬」「イソップ童話集」「あしながおじさん」・・・・
みーんな、子供時代に読んだ物ばっかりだった!
何も知らずに、花子の翻訳を読んできたのだな、
影響を受けていたのだなと、とっても嬉しくなった。
暗い、ジミ、と文句を思ってしまったことを、わたしは反省している。
お蔭で、心がとっても軽やかに晴れやかになった
「モンゴメリーと花子の赤毛のアン展」だった。
もう一回「赤毛のアン」を読み直す!そう改めて自分に誓ったのだった。
L.M.モンゴメリ
(1874-1942)
プリンス・エドワード島に生まれ育ち島の大自然と生活を愛しました。物語
「アン・オブ・グリン・ゲイブルス(赤毛のアン)」にも