俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

松竹梅

2012-12-03 10:47:32 | Weblog
 昨今のように価格が急騰したらこのセオリーは通用しないかも知れないが、鰻屋では松竹梅の竹が一番よく売れていたそうだ。松では贅沢、梅では貧相と感じさせて竹で稼いでいたそうだ。フレンチレストランではわざと殆んど売れない高価なワインをメニューに載せることによって他のワインを割安と感じさせているそうだ。
 人は概して中間にいると居心地が良い。責任者や末端労働者ではなく中間管理職的なポジションが好まれる。アンケートで「Aか反Aかどちらとも言えないか」と問われると大半の人が「どちらとも言えない」と答えるために三択ではなく五択が使われるようになったのではないだろうか。
 しかし政治においては中間は嫌われる。反○○といった威勢の良い主張が好まれる。これは日本人の好みではなくマスコミによる情報操作にも等しい。マスコミ特にテレビは呆れる程、白黒二分法が好きだ。何でも二極対立に仕立てたがる。これはテレビというメディアの致命的欠陥とさえ思える。
 私のように元々反原発の立場の者にとってニワカ反原発派の主張ほど迷惑なものは無い。彼らのせいでまともな反原発の考え方は中途半端なものとして否定され勝ちだ。ヒステリックな反原発主義者にとっては原発を止めることが最高善だ。そのためにはどんな問題が発生しようとお構いなしだ。そもそもそれによって発生する問題など考えようともしない幼稚な考え方だ。
 反原発か容原発かばかりに焦点を当てずにどうやって具体的に脱原発を可能にするかを真面目に議論すべきだろう。松か梅かではなく竹を選びたい。電力需要や雇用なども踏まえた現実的な対処が必要だ。

ヒートアイランド現象

2012-12-03 10:22:03 | Weblog
 世界気象機関の発表によると今年の1~10月の世界の平均気温は1850年の観測開始以来9番目に高かったそうだ。160年間で9番目なのだから地球温暖化が進んでいる、と信じそうになる。
 このデータはどこを観測したかということが問われねばならない。1850年の時点では日本はまだ開国していないので当然対象外だ。では160年間継続して測量されている観測地とはどこだろうか。多分欧米の主要都市だろう。
 気温の変動を見る場合、地球温暖化以外にヒートアイランド現象も考慮せねばならない。人口密集地ではエアコンやコンクリートなどの影響で顕著に気温が上がっている。因みに東京都心の気温はこの100年間で約3℃上昇しており、この上昇振りは世界平均を大きく上回っている。
 私はこの秋に大阪から伊勢に引っ越した。一番感じることは朝晩が寒いということだ。大阪よりも南に位置ししかも海に近いのに明らかに寒い。これはヒートアイランド現象によって都心部ほど気温が上昇しているからだろう。
 伊勢の例を挙げなくても、関西の主要観測地で夏に一番涼しい土地を知れば都市の温暖化は明らかになる。一番涼しいのは何と潮岬だ。本州最南端の地が夏には関西で一番涼しいのはヒートアイランド現象の影響抜きには考えられない。
 地球温暖化を検証するためにはヒートアイランド現象の影響が少ない都市化していない土地の気温の変動を見るべきだ。しかし残念ながら人口の少ない地域の気温など殆んど測られておらず、主な観測地は都市部に集中している。ヒートアイランド現象の影響の少ない理想的な観測地はスキー場かビーチではないだろうか。