笹子トンネルの天井崩落事故は前代未聞の出来事だ。地震も豪雨も無いのにトンネルが勝手に崩壊するなんてあり得ない話だ。
まだ原因は解明されていないが、崩落した天井を支えていた金具のボルトが外れたことが原因とされている。しかしコンクリートに13㎝も埋め込まれていたボルトが簡単に外れるものだろうか。NHKではボルトの老朽化と見ているようだが、私はむしろボルトを埋め込んでいた最上部のコンクリートの劣化を疑う。ボルトが破損していたとか腐食していたとかいった情報が無いからだ。
そう考えて平成11年に出版された「コンクリートが危ない」(岩波新書)を読み直してみた。著者の小林一輔氏は1980~90年代に続発したコンクリート・トラブルを分析した上で「コンクリート構造物が一斉に壊れ始める時期」を「2005~10年頃」と予告している。2年違ったが見事な予言だ。様々な理由が挙げられているが最大の要因は1969~79年にかけて高アルカリ性のセメントが大量に出回っていたということだろう。
コンクリートはセメントと水と小石を混ぜて作られる。ところが石の主成分であるシリカは強アルカリに晒されると溶けてしまう。つまりコンクリートがスカスカになってしまう。
笹子トンネルの開通は1977年だから工事期間は丁度この高アルカリ性のセメントが出回っていた時期と一致する。このセメントで造ったと思われる山陽新幹線の高架橋では多数のコンクリート片が崩落するという事故が起こった。今回の事故も当時の欠陥セメントが原因とも考えられる。
国土交通省は吊り天井方式の49本のトンネルの点検を急がせている。設計上の欠陥と考えているようだが決め付けは危険だ。事務屋は設計レベルの問題にしたがるが、それだけではなく作業レベルにも注意しなければ「机上の空論」ともなりかねない。的外れの対策では改善には繋がらない。
まだ原因は解明されていないが、崩落した天井を支えていた金具のボルトが外れたことが原因とされている。しかしコンクリートに13㎝も埋め込まれていたボルトが簡単に外れるものだろうか。NHKではボルトの老朽化と見ているようだが、私はむしろボルトを埋め込んでいた最上部のコンクリートの劣化を疑う。ボルトが破損していたとか腐食していたとかいった情報が無いからだ。
そう考えて平成11年に出版された「コンクリートが危ない」(岩波新書)を読み直してみた。著者の小林一輔氏は1980~90年代に続発したコンクリート・トラブルを分析した上で「コンクリート構造物が一斉に壊れ始める時期」を「2005~10年頃」と予告している。2年違ったが見事な予言だ。様々な理由が挙げられているが最大の要因は1969~79年にかけて高アルカリ性のセメントが大量に出回っていたということだろう。
コンクリートはセメントと水と小石を混ぜて作られる。ところが石の主成分であるシリカは強アルカリに晒されると溶けてしまう。つまりコンクリートがスカスカになってしまう。
笹子トンネルの開通は1977年だから工事期間は丁度この高アルカリ性のセメントが出回っていた時期と一致する。このセメントで造ったと思われる山陽新幹線の高架橋では多数のコンクリート片が崩落するという事故が起こった。今回の事故も当時の欠陥セメントが原因とも考えられる。
国土交通省は吊り天井方式の49本のトンネルの点検を急がせている。設計上の欠陥と考えているようだが決め付けは危険だ。事務屋は設計レベルの問題にしたがるが、それだけではなく作業レベルにも注意しなければ「机上の空論」ともなりかねない。的外れの対策では改善には繋がらない。