俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

解散のタイミング

2012-12-20 09:13:13 | Weblog
 田中真紀子文部科学大臣は「自爆テロ解散だ」と言って今回の野田首相による解散を非難しているが、これは自分が落選したことに対するヤツ当りだろう。むしろ野田首相の言うとおり「年を越せばもっと酷くなる」ということが実情で、年内解散という判断は惨敗を最小限に食い止める英断だったと思う。
 第一に、年を越せば「嘘つき」の言葉が重くなる。「近いうちに信を問う」と言ったことを認めているのだから遅くなれば遅くなるほど不利になる。
 第二に、小沢グループの抜けた民主党の集票力が半減しているということだ。それなりに支持基盤を持っていた小沢グループの基礎票が欠けた時点で自民党に太刀打ちできないことは明らかだ。小沢グループを排除したことによるプラス効果よりもマイナス効果のほうが圧倒的に大きい。その中で第三極が台頭しつつあった。11月の時点ではバラバラだった第三極が集結すれば反民主・反自民の受皿として躍進して民主党を凌ぎかねない。バラバラな内に仕掛ければ第三極内で勢力争いが起こる。実際に、選挙協力をしようとしていた維新の会とみんなの党は調整に失敗して多くの選挙区で共倒れとなった。あるいは小沢グループに飲み込まれた旧・減税日本や旧・未来の党は惨敗した。もし減税日本のまま選挙に臨んでいれば16人全員が落選するような惨めな結果にはならなかっただろう。
 野田首相が思い描いた最悪のシナリオは、自民党だけではなく第三極にも負けて第三党に転落することだっただろう。解散を急ぐことによってそれだけは阻止できたが、そのために自民党が漁父の利を得たとも言えよう。
 参院選まであと半年ある。それまでに第三極が体勢を整えれば野田首相が恐れていた最悪のシナリオが実現する。民主党の代表選に誰も立候補しないのは、参院選では衆院選よりも酷い大惨敗の可能性が高くその責任を取らされることから逃れようとしているからだろう。

軽減税率

2012-12-20 08:41:12 | Weblog
 政権は交代したが3党合意に基いて消費増税は実施される。しかしせっかく政権が代わったのだから増税内容の見直しぐらいはやって欲しい。民主党政権では殆んど俎上に載せられなかったが、新政権の目玉政策として軽減税率が取り上げられることに期待したい。
 1つは食料品などに対する軽減税率だ。もう1つは医療・教育・福祉などの非課税から税率0への変更だ。昨年の11月25日付けの「消費税増税(2)」でも書いたことだが、非課税事業の場合、仕入れに掛かった消費税の全額が自己負担となる。そのため増税されればその分が丸々経費増になる。
 零細企業が消費税を販売価格に転嫁できなくて苦しいという話はマスコミでも採り上げられるが、非課税事業者の場合は一部ではなく全く転嫁できない。こんな状況で増税されたら病院や学校の倒産が相次ぐ。
 税率0であれば消費税相当額を利用者から徴収できなくても、仕入れに掛かった消費税の還付を受けることができる。これならば消費税の負担から免れることができる。税率0が無理なら1%でも良い。利用者が1%を負担すれば、事業者は徴収した税額から仕入れで発生した税額を差し引いて納税し、それがマイナスであれば還付を受けることになる。
 新たに発生する還付額は、輸出企業に対して現在支払っている還付額に比べれば微々たるものだ。何らかの手を打たなければ医療・教育・福祉は破綻する。3党合意文書には「医療に関する税制上の配慮等についても幅広く検討を行う」と明記されている。是非幅広く検討して改善して貰いたいと思う。