俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

性欲

2013-06-01 11:01:11 | Weblog
 橋下市長が撤回・謝罪した風俗業推奨発言だが、その発言の経緯が昨日(5月31日)の毎日新聞の夕刊に掲載された。相手は普天間基地のフリン司令官で、報告者は沖縄の地域政党そうぞう代表の下地幹郎氏だ。
 橋下「(性の)事件事故が多過ぎる。あなた方の対応はどうか。」
 フリン「ジョギングとフィットネス。」(と2度答えた。)
 橋下「あなた方は性的な事件事故を起こしている。だから具体的な対応をどうしているのか。例えば法にのっとった風俗の活用とか。」
 この文脈で捕らえると米軍司令官の無責任さが目立つ。現実として暴行事件が頻発しているのに、フロイトの昇華の理論を盾にして何も改善しようとしない。問題は性欲を昇華できない米兵がいて、そのことにどう対応すべきかだ。
 ここで風俗業を解決策として提案することが適切かどうかは分からない。しかし橋下氏自らが「不適切な発言」として撤回・謝罪したのだから今更その是非を問う必要はあるまい。
 ではどんな解決策があるのか。性欲を昇華できない米兵がいて沖縄県民に対する暴行を繰り返しているという現実にどう対処すべきなのか。橋下叩きをする人はこの問題を無視している。
 正解は分かっている。米軍に第一次的裁判権を渡している日米地位協定の見直しだ。これさえ可能であれば大半の問題が解決する。しかし今のところ現実的とは思えない。アメリカが特権を手放す筈が無い。
 タテマエでしか議論できないアメリカとの交渉でのホンネは禁物だ。下手をすれば橋下氏の二の舞になりかねない。そこで私は「女性兵士の増員」を提案したい。口実は綺麗事で後付けすれば良い。ホンネは「性犯罪の米軍内への封じ込め」だ。地位協定を見直せないまま米軍基地周辺住民の安全を守るためにはこれがベストだと思うのだが、どうだろうか?

言ってはいけない

2013-06-01 10:22:46 | Weblog
 余り知られていない話だが、アメリカには精神病患者が非常に多い。生涯有病率は47.4%で日本の18.0%などを大きく引き離してダントツだ。重症患者の比率もニュージーランドに次いで高い(WHOのデータより)。これはアメリカでは日本以上にホンネとタテマエが乖離していることが一因だ。
 アメリカはピューリタン(清教徒)の国だ。今でも大統領の就任式では聖書を手にして誓う。超現実主義的な国民性と清教徒的な倫理観は必然的に齟齬をきたす。この矛盾をどう克服するか、彼らは矛盾のまま放置することを選んだ。
 アメリカという国は平気でダブルスタンダードやトリプルスタンダードを使う。矛盾を放置しているのだからそうせざるを得ない。これは最早、国家レベルでの精神分裂病(統合失調症)とさえ言えよう。
 アメリカでは「言ってはいけない」ことが非常に多い。差別的発言をすれば徹底的に糾弾される。しかし糾弾する人々は平気で差別的行動をする。言ってはいけないが行ってはいけない訳ではないからだ。これは多民族・多文化国家故の矛盾だ。橋下市長はこの辺の事情を知らなかったようだ。言ってはいけないことを公言したから攻撃された。
 こんな状況だから人文系の学問を学ぶ人は少ない。自由に議論することが禁じられたら人文系の学問は成立し得ない。だから優秀な人材は言論が自由な科学やビジネスを選ぶ。科学者と経営者に優秀な人材が集まるのはこんな事情からだろう。人文系の代表である哲学でさえアメリカではロールズやサンデルなどの政治哲学に代表されるように、まるで社会学のようなアプローチに終始する。哲学の本質とも言うべき根本的かつ破壊的な問題提起には至らない。「自由の国アメリカ」は幻想に過ぎない。実際は「言ってはいけない」ことだらけの国だ。