俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

食品の価格

2013-06-28 09:59:20 | Weblog
 最近、農業に批判的な記事を多く書いているが、数年前までは私も農林水産省とマスコミによって洗脳されていた。農業は昼も夜も無く天候によって左右される過酷な仕事だから全国民が支援しなければならない、と信じていた。
 疑問を持ったのは会社の先輩が定年退職をして専業農家になった時だ。「これって菜園付き1戸建て住宅じゃないか」と思った。その後、教師だった叔父も定年後に専業農家になった。私は若い専業農家を一人も知らない。皆、こんな定年後農家か兼業農家だ。薄々疑問を感じている時に1冊の本に出会った。それは「日本は世界5位の農業大国(講談社+α新書)」だ。この本を読んで疑問が氷解した。やはり大半が「名ばかり農家」(この本では「擬似農家」)だった。名ばかり農家は中小小売店と同様に不当に優遇されていると分かった。
 日本の食料品が高過ぎるということは海外旅行をしなくてもデータによっても裏付けられている。家計に占める日本人の飲食料費比率は先進国では最も高い。日本の17.5%に近いのは韓国とイタリアの17.3%ぐらいで、アメリカに至っては僅か9.0%だ。最も食料自給率の低い国の1つであるシンガポールでさえ10.4%だ。
 日本人の食生活はかなり質素だ。「メザシの土光さん」に象徴されるように粗食を美徳とする国民性もある。日本人の食事は米と野菜が中心であり、肉をたらふく食べるアメリカ人や昼間からワインを飲むフランス人などと比べれば遥かに安上がりな筈だ。肥満率の低さからも分かるように食べる量も少ない。それにも関わらず飲食料費比率が高いのは日本の食料品が高過ぎるからだ。第一次産業を保護し過ぎだ。戸別所得補償など論外だ。即刻やめるべきだ。

多数者の意見

2013-06-28 09:31:10 | Weblog
 テレビでは野党が多数者になる・・・。妙なことを言うようだが、テレビでの政党討論会では毎回この構図になる。与党はせいぜい1・2党だが、野党は10党近い。テレビ局は各党に同等の権利を与えるから大半の時間が野党による与党批判に費やされる。こんな討論会を見ていると、防戦一方になる与党が悪く野党が正しいように思い込まされる。大半が野党側の発言時間になるせいだ。
 選挙ごとに与野党が入れ替わるのはテレビの影響も一因ではないだろうか。実際には議席数も支持率も半分に満たない野党による与党批判に大半の時間を割いていれば、まるで野党のほうが多数派であるかのように錯覚する。多数派に迎合することが好きな日本人は単に番組上での多数者に過ぎない野党を応援する。こうして毎回政権交代が起こる。
 こんな妙なことにならないように、発言機会を議席数にスライドさせてはどうだろうか。300議席を代表する政党と一人1党のような政党に同じだけの時間を与えるのは悪平等だ。与党の代表者を、実は少数者の筈の野党がここぞとばかりに寄ってたかって数の横暴に頼って攻撃することはリンチか吊るし上げのようなものであって全く民主的ではない。
 有権者の大半は余り真面目に考えてはいない。「なんとなく悪そうだ」というイメージだけで投票先を決める。小沢一郎氏や橋下徹氏はいつの間にか「何となく悪そうな政治家」の烙印を押されてしまった。この「何となく」が曲者で、根拠に基かないだけに論理では覆せない。大衆が根拠も無く信じていることは論理以前でありどんな正しい理屈も通じない。