俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

格差拡大

2013-06-24 10:25:38 | Weblog
 私立大学文科系の年間授業料は80万円ほどで国立大学は約50万円だそうだ。私が国立大学の学生だった頃は年間12,000円だったから随分格差が小さくなった。しかしこんな形での格差是正は全然良くない。むしろ昔のように格差が大きいほうが好ましい。
 工業は農業よりも生産性が高いから、工業従事者の所得は農家よりも多くなる。これは格差を生む。このことに対して日本と中国は対照的な対応をした。
 社会主義の筈の中国は小平の先富論に基いて、豊かになれる者が先に豊かになれば良い、とした。その結果、都市に住む4億人だけが豊かになり、地方の9億人の農民は貧しいままだ。中国の人口は日本の10倍でGDPはほぼ同額なのだから、農民の貧しさは想像を絶する。
 資本主義の筈の日本は中国とは逆に格差縮小に努めた。とは言えこれは倫理的な理由からではなく、単に多数を占める農民票が欲しかったからだ。補助金という形で、都市で集めた金を農漁民に分配しただけではなく、食品を値上げして農業・水産業者の所得を増やした。これは統制経済だ。そしてそれを守るために食品の輸入を規制した。こうして国際価格から懸け離れた価格で食品が流通することになった。これを国民が負担させられた。例外は卵とモヤシだけだろう。これらは半工業製品と見なされたのだろうか。
 工業人口の増加に合わせて食品価格を高騰させるのは上手い手だ。高所得者である第二次産業従事者に割高な食品価格を負担させれば彼らの所得が自動的に第一次産業従事者に再配分される。こうやって国民全体が豊かになった。
 日本の場合、政策として食品価格を高止まりさせたのだから、TPPで海外から安い食品が輸入されたら太刀打ちできない。しかしこれ以上、国民の負担によって農業と漁業を保護し続けることは矛盾の先送りになるのだから、農業・漁業の構造改革は必須だ。つまり大規模農業・漁業によるコスト低減だ。これまでの保護主義では未来は無い。第一次産業では大きな格差が生じることになるだろうが、これは乗り越えるべき壁だろう。

言論統制

2013-06-24 09:46:39 | Weblog
 日本のマスコミには言論統制がある。それは戦前よりも戦後のほうが著しい。敗戦国の日本はアメリカによって統制され続けている。それは戦勝国が100%正しいという無茶苦茶な歴史観に基いている。
 中国の正史は王朝が替わってから書かれる。このことによって客観的に書かれるという長所があるが、その反面、大きな欠点もある。易姓革命を正当化するために前王朝の最後の王は必ず極悪人として描かれる。夏のケツ王や殷のチュウ王がその典型だ。
 それと同じように第二次世界大戦の戦勝国も歴史を改竄した。ドイツとイタリアの「正しい歴史」についてはよく知らないが、日本に関する「嘘の歴史」なら我々は熟知している。それが学校で教えられている歴史だ。この虚構を暴露すると朝日新聞などのマスコミから激しく攻撃される。これはなぜだろうか。
 敗戦後マスコミは進駐軍の御用報道に尽力した。その際、散々国民を欺いた。このことはGHQによる占領下ではやむを得ないことだった。今更そのことを非難しようとは思わない。問題はその後だ。GHQの支配下で散々国民を欺いたことをマスコミは反省していない。「我々はGHQの圧力に屈しなかった」と胸を張れる新聞社やラジオ局など1社も無い。あるいはマッカーサーが日本を去った時に「報道の自由が蘇った」と宣言したマスコミも無い。結局、言論統制下での嘘の報道を踏襲することを彼らは選んだ。そればかりか当時の大嘘つきがその後幹部になり、その悪党どもに忠誠を誓った恥知らずが現在の幹部だ。彼らは自らを正当化するために嘘に嘘を重ねざるを得ない。GHQは大昔に解散したのに彼らは自らの意思でGHQの犬であり続けている。
 こんな事情だからマスコミは戦前戦中戦後については絶対に事実を報じない。捏造史の共犯者である報道機関とは違って、当時は未だ創業していなかった多くの出版社は手を汚さなかったから歴史を歪める必要は無い。こういう背景があるから、第二次世界大戦前後の情報については、新聞社系ではない新興の出版社のほうが新聞よりも遥かに信用できる。