俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

長寿

2013-06-26 10:08:42 | Weblog
 寿命を決める要因は余りにも多い。長寿要因も短命要因も多数あり過ぎて決定因など見つかりそうにない。特に分かりにくいのは長寿要因だ。「悪いこと」なら比較的早く結果が出るが「良いこと」が分かるためには何十年も掛かる。例えばスポーツをすることは長寿要因と思われるが、例外も沢山あって証明は困難だろう。
 こんな事情だから要因からではなく結果から推定することが欠かせない。2月に発表された2010年の都道府県別の平均寿命を見れば、男女共に、最長寿は長野県で、最短命は青森県だ。あるいは長寿県は西日本に多く、短命県は東日本に多いようだ。こんな顕著な傾向があるのだから必ず原因が見つかる筈だ。
 まず短命県を見れば、青森以外に秋田・岩手といった東北地方の各県が目立つ。どうやら寒さが直接あるいは間接的に短命化を促しているようだ。
 その一方で長野県が最長寿県である理由は何だろうか。これが残念ながら分からない。減塩活動の成果と考える人が少なくないが、今でも長野県民の塩分摂取量は男性6位・女性8位と全国平均を上回る。
 私はむしろ空気の良さが重要なファクターではないかと推定する。PM2.5や煤煙や排気ガスなどの有害な気体は空気よりも重いので低地に集まる。東京や大阪などの都心は、医療機関や安全な交通システムなどが備わっているにも関わらず長寿ではない。これはそれらを帳消しにするほど空気が汚いことが原因ではないだろうか。
 世界の長寿国に目を転じよう。男女共にベスト10に入っている国は、日本以外では、香港、スイス、イタリア、シンガポール、スウェーデン、オーストラリアだ。何と7ヶ国が男女共に上位なのだから、これも原因があると推定できる。スイスだけが例外だがそれ以外はどれも明白な海洋国だ。海に近いことはプラス要因と考えられる。長野県同様に高地にあるスイスも含めて考えるなら、空気の綺麗さはかなりの決定因となっているのではないだろうか。

農地改革(2)

2013-06-26 09:34:57 | Weblog
 農地改革は貧しい小作人を解放するために行われた政策ではない。もしそれが正しい施策なら、日本ではなく本国のアメリカでこそ実施すべきことだ。アメリカの農業は当時の日本以上に寡占化が進んでいる。
 アメリカの狙いは日本の農業を破壊することだった。零細化・高コスト化させることのよって未来永劫アメリカと競争できなくし、アメリカの食料品の輸出先にすることが狙いだ。実際の話、少し古い資料しか見つからないが、2008年のアメリカからの食料品輸入額は175億ドル(約1兆7千億円)で中国などを遥かに引き離してダントツだ。
 日本の農業を復活させるためには元の大規模農業に戻すこと、つまり逆の農地改革をすることが必要だ。とは言え、たとえタダ同然で譲渡された土地であっても回収することなどできない。そんなことをするのは中国共産党ぐらいだ。
 幸いなことに機は熟している。農業人口は約200万人と言われているが、実際に農業で生計を立てている人はその1割程度の約20万人に過ぎない。残りの180万人は言わば「名ばかり農家」だ。兼業農家や定年退職後農家であって、農業をやめても生活に困る訳ではない。
 こういう状況になるのを待っていたのならその慧眼には恐れ入る。農業以外で生計を維持できない人がどんどん減れば、農地の買い上げや借り上げもスムーズに進展する。このことを後押しするために耕作放棄地の増税も検討しても良かろう。農地改革というアメリカによって押し付けられた悪政から60年以上を要したが、社会を混乱させることも大量の失業者を出すことも無く産業構造を変革できる。こんな見事なシナリオを書いた人がもしいたのならどんな天才なのだろうか。