俗物哲学者の独白

学校に一生引きこもることを避けるためにサラリーマンになった自称俗物哲学者の随筆。

奪三振

2013-06-06 10:44:42 | Weblog
 奪三振をどう評価するかは野球ファンの間だけではなく選手にとっても大きく異なっている。江夏豊氏や江川卓氏なら三振こそ投手の勝利と考えるだろうが桑田真澄氏は違った理想を持っていた。全員に初球を打たせて27球で試合を終えることを理想として掲げていた。
 投手の最優先課題はできるだけ点を取られないことだ。失点しないためには出塁を最少化することが必要であり、そのためには安打や四死球だけではなくエラーによる出塁まで考慮する必要がある。
 一旦バットに当たればあとはどうなるか分からない。ボテボテの内野安打やポテンヒット、あるいは味方によるエラーもあり得る。そう考えれば三振の価値は高い。バットに当てさせなければヒットにもエラーにもならないからだ。
 しかしここで視点を変えることが必要だ。0点に抑えても味方が点を取らなければ勝てないからだ。味方が得点し易い環境を作ることも投球術と言えよう。ではどうしたら得点し易いか、守備時間を減らすことだ。
 守備時間の短縮には2つのメリットがある。1つは野手の負担が減ることだ。守っている野手は突っ立っている訳ではない。1球ごとに打球に備えた動作をしている。この守備時間を減らせば打席での集中力が高まる。もう1つは、相手投手の休み時間を減らすことによって打者が有利になるということだ。
 私の印象としては、打たせて取る投手の時は味方がよく点を取り、力ずくで抑える投手の時は投手戦になり易いように思う。打たせて取ることこそ投球術の極意だろう。
 しかしノーアウト1・3塁のような大ピンチでは事情が異なる。打たせて取ろうとすれば1失点を覚悟せねばならない。これを無失点で切り抜けられるのは、狙って三振を奪える豪腕投手だけだ。
 メジャーリーグの入団以来の通産300奪三振のスピード記録で2位と3位にダルビッシュ有投手と野茂英雄氏がランクされている。三振かホームランかという力勝負が大好きなので日本以上に三振を高く評価するメジャーリーグでの記録だけに価値が高い。

玉虫色

2013-06-06 10:03:30 | Weblog
 中国がインドによる大気汚染を非難しても、北朝鮮がアメリカの核兵器を非難しても、国際社会からの共感は得られまい。「己の問題を先に解決しろ」と反応するだろう。
 北朝鮮による拉致を日本が訴えても各国の反応が鈍いのも同じ事情ではないだろうか。つまり「戦時中に朝鮮人を拉致して性奴隷にした日本が北朝鮮による拉致を騒ぐな。盗人猛々しい。」ということだ。それほどまでに韓国によるプロパガンダは成功している。この間、日本政府は何をしていたのだろうか。
 拉致問題解決の障害にまでなっているのなら従軍慰安婦問題を曖昧なままにはしておけない。しかしこの問題の真相は呆れるほど単純だ。虚言癖のある吉田某による主張を朝日新聞と赤旗が掲載し、その後それが事実無根と判明しても朝日新聞は誤報と認めなかった。たったこれだけのことだ。
 こんな単純な話がなぜ何十年も政治問題化して未だ未解決なのか。それは玉虫色の解決を図ったからだ。玉虫色にしておけばお互いに傷付けずに済む。しかしこんな曖昧な形にせずにたった2つのことを認めるべきだった。①日本軍は日本人と朝鮮人と台湾人(どれも当時は「日本人」)の売春婦を帯同した。②朝鮮人拉致や誘拐は無かった。河野談話はこの2項目を曖昧にしているから勝手な解釈を許している。玉虫色にすることによって曖昧な状態にしようとする日本的解決策が失敗を招いたと言える。
 日本人なら玉虫色にすることで相互に歩み寄る。しかし外国人はそうではない。どの国も自国にとって最も有利な解釈をして優位に立とうとする。これは中韓だけではない。アメリカもロシアもそうだ。
 朝日新聞社にはこう尋ねたい。「拉致した朝鮮人を従軍慰安婦にしたと御社が報道した日本人には、北朝鮮による拉致を非難する権利は無いのか?」朝日新聞社は「拉致は許されない」としか答えないだろう。こんな禅問答はもう沢山だ。いい加減、玉虫色による解決という日本特有の悪弊から脱却して事実を白日の下に晒すべきだろう。