神楽坂で居酒屋女将!つれづれ日誌

神楽坂・本多横町で50年続く、いざかや「甲州屋」。つたないながらも、お客さんに愛されるお店づくりに奮闘中です。

山梨ワイナリーズフェア その2

2019-12-16 14:04:00 | Weblog
12月になっても暖かい日があって師走感が全く無いです。
数えるとあと10日働くと年末年始のお休みになるんですね。ハ〜実感ないワ〜。
年内は27日まで、年明けは6日から営業です。よろしくお願い申し上げます。


さて今日は真面目なブログですよ😐

ワイナリーズフェアのGI Yamanashi パネルディスカッションで
改めて地理的表示の大切さと難しさを認識しました。

私はもっと気楽な登録だと思っていたので、大反省です🙇‍♀️





ワイナリーズフェアで配られた冊子。
パネルディスカッションを聴いてから読むと、
色々と知らなかった自分が恥ずかしくなりました。

反省の意味も込めて、私なりの説明をしてみます。

まず第一に
地理的表示とは「生産者を守る」法律だという事。
では登録商標(®️マルアール)とはどう違うのか。

登録商標は商品単体の登録ですが地理的表示の場合、
ワインに使われるぶどうは山梨産である事、
そして醸造所も山梨県内でなければいけません。


ここで消費者としては「はてな?」と思います。
ぶどうが山梨産、山梨の醸造所で造る。それって普通じゃないの???


実は普通じゃないのです!ちょっとビックリしちゃうでしょ。


山形県のワイナリーで山梨県産のぶどうを使ったりは良くある事。
また山梨県産と長野県産のぶどうを使ったワインも沢山あります。

例えばシャトーメルシャンさんの「萌黄」というワインは長野・山梨・福島の3県産のぶどうを使っています。手軽に買えて美味しいワインです。

でもラベルに「山梨」と地名が書いてあるのに中身が長野県産ぶどうだったら、ちょっと変な感じしませんか?

現在「日本ワイン」と表示されたら日本産ぶどう100%使用されたワインで、輸入ワインがブレンドされたものは「国産ワイン」と表示される区別になっています。

地理的表示はそれを更に細分化した物になる訳です。

地理的表示を認定された事で、甲州ぶどうに関して「山梨」という文字が入ったら「山梨産甲州ぶどう100%使用」にしなくてはいけない決まりになったのです。(品種によってパーセンテージが変わります)

「山梨」という文字にブランド力を付けて、簡単に使えない登録をしたのです。

そんなに細分化しなくてもいいんじゃない?とも思いますが、極端な話ですが、価格競争に勝つ為にインドネシア産格安ぶどう99%と山梨県産の甲州ぶどう1%で、ラベルに「Yamanashi(山梨産ぶどう使用)」と書かれたら、買い手は複雑じゃないですか?


農作物で言ったら「夕張メロン」と書いた箱の中に果肉がオレンジのメロン。
でも産地は中国〇〇省。
美味しいけれど、普通の人は「夕張メロン」はやっぱり日本の北海道産だと思っちゃう。
登録商標では夕張メロンの名前を変える事は出来ないけど、産地の指定までは出来ない。

だから地理的表示にする事で「夕張メロン」は北海道で造られたもの以外には名乗らせない。そうする事で北海道ブランドと生産者を守る事になる訳です。


と、まぁここまで理屈をツラツラと書いてきましたが、

地理的表示・山梨「GI Yamanashi 」と書かれた物は
国に保証されたワインである!となる訳ですが、

私は今まで生産者がこっそりと産地を守る
懐刀の様な存在であれば良いのかと思っていました。

誰かに違反されそうになった時、裁判沙汰になった時にGI登録しておけば安心、いざという時の保険、その程度のモノだと思っていたのです。

だからあんな小さな表示なのかと。。。









でもね、聞いてみたら、あの小さな「GI Yamanashi」って部分にかかってる労力がスゴイのよ!!


もう一度載せますが、詳しい事はこちらに書いてますので読んでみて。正直、気が遠くなるから!!


こんな細かい決まりを守らなくちゃ「GI Yamanashi」って書けないのか。。。
面倒くさいから辞めたい、と思ってもおかしく無い内容です。

だから全国に地理的表示が広がらない理由も解る。難しいですよ、ホント。
でもね、やらないと未来の農産物は守れない。


そして、ぶどう農家、ワイン醸造家、ワイナリーさんがこんなに努力してるのに日本の皆んなが知らずにいるなんて、すごく勿体ない。
私は悔しささえ感じる。。。(今まで勘違いしてた自分も含めて)

少しでも周知したい、という思いが溢れてこのブログを書いてみました。


ブログ内では私も書きたい放題ですが、
実際の接客の中でツラツラと地理的表示の大変さを語るのは無理です。
(ウザいって言われちゃう。。。)

んで、前回書きましたがロゴやマークがあると見方が変わって
ボトルを見たお客さんの方から「このマークって何なの?」って聴いてくれる。
聴かれたら、こっちのモンです!
(多分、ウザいって思われるほど説明するけど。。。)


これ何だろう?って気にしてもらう工夫が、今は必要だと思うんです。

コンクールの受賞シールも気になるから、よく聴かれますしね。
一時期、日本ワインと国産ワインの違いについてもニュースで取り上げられて「どういう事なの?」ってたくさん聴かれました。



ちなみに。

アメリカでは州内のぶどうは州内の醸造所でしか造られないので、地理的表示の法律は無いとのこと。
でもヨーロッパのワインには法律で超〜厳格な決まりがあって、ラベルに何が書いてあるかで価格がかなり変わります。小さな文字でも重要な事がたくさんあるそうで、消費者もGIを知ってるから細かくチョイスできる。(GI認定されたワインは認定無しの物と約3倍価格が高いそうです)

そんな風にGIで生産者が守られているのは、デタラメにされた痛い歴史があるからです。
注目すべき先例があるなら、それを学んで活かさないとダメですよね。

詳しくは蛯原健介先生の書いた「ワイン法」を読んでください。





蛯原先生は明治学院大の教授ですが、とても読みやすい文体で歴史学としても楽しめます。オススメです!

こちらも貼っておきますので、よかったら読んでみてください。















実は私、GI がヨーロッパで確立されたのは知ってましたが、
なぜアメリカには無いのか?と不思議に思っていました。







コメント
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