以前からこのブログを見てくださっている皆様はご記憶でしょうか、あの宇治川オギロードを。
2022年秋頃からほぼ毎週のように歩いた宇治川隠元橋下流右岸。
背丈より高いオギが両側から覆いかぶさり、かき分けるように歩いたものです。
オギだけではなく、カーペットのように広がったイシミカワやネナシカズラも見ものでした。
その場所で工事が始まったのが昨年の春。
約1年かけてとても歩きやすい場所に生まれ変わりました。
とはいえ、まるで宝探しのように色々な植物を見ながら歩いたあの道はもうありません。
しばらくご無沙汰していましたが、お散歩のついでにちょっと足を伸ばすことにしました。
ということで前置きが長くなりました。
隠元橋の下流から高水敷に入る場所の光景。ここは以前と変わりありません。
あれ、放流してる?
遠目には分かりにくいですが、水量がかなり多いです。
多分何もないやろうな~と思いながら歩き始めたのですが、いきなり見つけました!
背の高いシソ科のこの植物は、メハジキ(シソ科メハジキ属)。
隠元橋の上流に生えているのは見たことがありましたが、この場所では初見です。
これだけでテンションアップ~
メハジキは知る人ぞ知る有名な草。
というのも、開花期の全草はヤクモソウ(益母草)という女性の味方の生薬になるからです。
母の益になる草という名前通り、産後の体力低下や月経不順などの改善のための処方に配合されるとか。
結構な繁殖力で年々増えているのがちょっと嬉しいですね!
ところで、おはじきならぬメハジキと言う名前の由来はちょっとびっくりです。
茎を短く切って瞼の間に挟み、目をぱちぱちさせて弾き飛ばしたところから名付けられたとか。
そんな危なそうな遊びを昔の子供はしていたのですね。
近くに特徴的な葉を発見。それどころか、一輪だけ花が残っていました!
キカラスウリ(ウリ科カラスウリ属)です。
他にも結構な繁殖場所があるのですが、そこでは7時前でももう花は萎んでいます。
この花、どうしちゃったのかしら?
そうそう、キカラスウリも日本薬局方に載っている生薬、栝楼根(カロコン)なんだそうですよ。
その他は、いつものラインアップです。
先の方にちょこっとだけ咲いたアレチハナガサ(クマツヅラ科クマツヅラ属)。
こちらはもうちょっと花が沢山。
南米原産で、宇治川ではすごく沢山繁殖しています。
アカメガシワ(トウダイグサ科アカメガシワ属)、今年初見の雄花です。
丸くパチパチ爆ぜるような雄しべが可愛い。
アカメガシワも日本薬局方に載っている生薬で、樹皮や葉を胃薬にするそうです。
パイオニア植物なので、わが家の庭を始めどこにでも生えてきます。
支流から宇治川に流れ込むところ。
普段は、支流の方にはほとんど水がないのに、放流中はこんな風に。
本流の流れが強くて、合流できないのですね。
とそのとき、ラーメン発見!
違いました。アメリカネナシカズラです。
寄生植物で、完全に他の植物に栄養を依存しています。
花はそこそこ可愛いのですが、茎だけを見るとちょっとその繁殖力に引きます。
ネナシカズラは国産ですが、アメリカネナシカズラはその名の通り北米原産の外来種。
種々の植物に寄生して生育を阻害するので、要注意外来生物に指定されているそうです。
在来のネナシカズラの種は、菟糸子(トシシ)と呼ばれる生薬で、強精・強壮に利用するそう。
アメリカの方にも同様の薬効があるのでしょうか。
さらに下流方向に歩いていくと・・・おや?右手が道なのですが・・・
水たまり?
あちゃー、長靴を履いていても歩けそうもない水深。
左手前の方、川からどんどん水が流れ込んでいます。
ここで引き返すことにしました。
そうそう、今日も同じ道を歩きましたが、放流していないときはこんな感じです。
それにしても、今日ご紹介した花5種類のうち、4種類が生薬でした。
宇治川は薬草園だったとは!
やっぱり、何もないことはない川辺のお散歩でした~
【撮影:2024/7/6 宇治川】
御陵の森の林縁で見た花の続きです。
ご存知ムラサキカタバミですが、道草散歩で見る花に比べてなんだか綺麗。
ここ御陵の森は年中薄暗く、少し湿っている感じなので、花もしっとり美人になるのでしょうか。
春にはオドリコソウなどが群生する林縁ですが、この時期はさすがに花が少なめ。
そんな中、あちこちで咲いていたのがこちらです。
ご存知ノアザミ(キク科アザミ属)
キク科の中で筒状花だけで出来ている花の代表です。
蕾の外側から開花が始まります。
こちらは満開になった花です。
一つ一つの筒状花から、バンバン花粉が出ています。
この不思議な花には、受粉を成功させるすごい工夫があります。
あちこちで詳しい解説がされているので、ここではごく簡単に。
雄蕊の集合体が筒のようになった葯筒、この中に花粉が入っています。
虫が花の上に載ると、葯筒が下がり、中から花粉が押し出されます。
その時柱頭はまだ開いていないので、自分の花粉では受粉しない仕組みになっています。
自分の花粉が虫などに運ばれてなくなると、柱頭の先が二裂し、受粉できるようになります。
そう、アザミは雄性先熟なんです。
ネットで色々調べていると、興味深い形態写真が色々と出てきます。
葯筒の下に5本の花糸があり、虫の重みでそれがスプリングのように縮んでいる様子はぜひ見てみたいです。
今日の最後はハートの葉です。
蕾が付いていますね。
ヤマノイモ科ですが、さて何でしょうか。
あ、花が咲いている株がありました。
答えは、オニドコロの雄株でした。
これから宇治川沿いでもじゃんじゃん見られると思います。
そうでした。夏はツル王国でしたね~
【撮影:2024/7/5 京都市伏見区】
雨が降るか、カンカン照りの二択が続く日々。
せっかくの休日も一日活動できる日が少ない上、花もぐったり・・・
というより、花が少ない!
ネタが枯渇寸前になってきたある日、たまたま所用で桃山御陵の近くに行きました。
用事は数分で終わったので、帰りは御陵の森を見ながらブラブラ歩いて帰ること。
でもこの時期何か咲いていたっけ?
あ!今年初見のこの花が咲いていました。
暗い森に似合うこの花は・・・
葉を見ると名前が思い浮かぶ・・・かな?
こちらは葉がミョウガに似ていることから名付けられたヤブミョウガです。
ミョウガと言う名前は付いていますが、ショウガ科ではなくなんとツユクサ科。
両性花と雄花があり、上の写真のようにツンツン雌蕊の目立つ花は両性花。
今回あまり見ませんでしたが、黄色い雄蕊が目立つ花が雄花なんだそうです。
関東以西に分布し、ちょっと湿った林縁などに多いそうです。
条件があうと、林床にびっしりと咲くことがあり、まさにこの御陵の森がそんな場所です。
ヤブミョウガが咲いているということは、あの花も咲いているのでは。
ということで行ってみると・・・
バッチリ咲いていました!
といってもこの写真では全然分かりませんよね。少し引いて撮ってみるとこんな感じ。
結構広い範囲に咲いていました。結構大柄で、葉は奇数羽状複葉です。
え、これでも難しいでしょうか。
それではジャジャーン、花を真上から写してみました。
小さい白い花のところどころに真ん中が凹んだ黄色い物体が見えます。
そして、その黄色い物体には、アリさんが沢山。
こちらは腺体といい、中に蜜をためて虫を寄せているそうです。
草ですが、レンプクソウ科ニワトコ属。本名はソクズ、別名はクサニワトコです。
ニワトコ同様、赤い実を付けますが、実る前に草刈りされるので見たことがありません。
お次は近所でもよく見かける花ですが、こちらで見る花は色白。
トウネズミモチ(モクセイ科イボタノキ属)でしょうか。
山科川沿いにびっしり咲いていたのはもう少し前。暗いので花期も遅い?
花をアップで見てみました。
うん、ツンツン蕊が可愛いですね。
在来のネズミモチとの区別は、花の筒がネズミモチより短いことだそうです。
それより、ネズミモチに比べて花の時期が遅いことから、区別できるように思います。
花を見ながら歩いていたら、シオカラトンボがご挨拶してくれました。
あと数種類見た花、続けて載せようと思いましたが、なんせネタ不足。
明日に回しますね!
【撮影:2024/7/5 京都市伏見区】
ここのところ毎日雨ばかりで気温も少し低め。
でも少し前までは連日猛暑で、ぐったりでした。
そんな時でも、わが世の春、あれ、ちょっと変、わが世の夏(?)とばかりに元気な花があります。
それは、このノアサガオに代表される、野生のヒルガオ科の花です。
上の写真のノアサガオが咲いている場所は、去年も何度か投稿した場所。
ノアサガオとクズが競うように伸びています。
今年は、ノアサガオの葉がとても大きくなり、クズに匹敵するサイズになっていました。
ど根性を感じます。
今年は、びっしりと広がって咲いている場所を何か所も見つけました。
下の写真は、萬福寺の近くで撮りました。
熱帯原産のアサガオで、日本でも南西諸島などでは自生しているそうです。
花付きがよく丈夫なので、以前は庭で栽培されていたのですが、今ではすっかり野生化してしまいました。
温暖化の影響もあるのでしょうね。
通常種はできませんが、栄養繁殖でどこまでも広がります。
去年初めて見つけたこの白いヒルガオ科。
花のサイズはノアサガオくらいで、比較的大きいです。
最初白花のノアサガオと思ったのですが、調べてみてもあまり出てきません。
葉に切れ込みがないので、マルバアサガオの園芸種が逃げ出したのかもしれません。
葉が丸いヒルガオ科、今年はあと2種類見ました。
ひとつは、何度もご紹介している和の風情のアサガオです。
中央がピンク色がかっているところは、ノアサガオとも似ていますね。
こんな感じで咲いていました。
模様が全部違うので、ついついせっせと写真を撮ってしまいます。
葉が丸いのでこちらもマルバアサガオの園芸種が逃げ出したのでしょうか。
サイズは、普通のアサガオと同じくらいです。
今年見つけたニューフェイス。
やはり葉が丸いですが、花の模様がちょっと違う。これも園芸種の逸出でしょうか。
フェンスに絡まって咲いていたのは・・・
普通のアサガオのような葉ですが、花がかなり小さいです。
おそらく、アメリカアサガオですね。熱帯アメリカ原産です。
お次、いつもは秋に咲き始めるのですが・・・
早くもマルバルコウが咲いています。
温暖化のせいなのでしょうか。
そのうち本州では見られないと言われているサツマイモの花も見られるかもしれませんね。
とはいえ、こちらのマルバルコウは北米原産です。
お気づきと思いますが、ここまで全然在来種のヒルガオ科が出てきていません。
外来種か園芸種の逸出のみ。
ということで、最後は在来のヒルガオ科を・・・
こちらはザ・ヒルガオ(多分)です。
よく似た花にコヒルガオというのがありますが、花が大きく色が濃いことからヒルガオだと思います。
ちゃんと区別するためには苞と花柄を確認する必要があります。
そしてラストのヒルガオ科。こちらもヒルガオだと思ったのですが・・・
実はこちらはコヒルガオなんです。
区別する点は2か所あり、1つは苞の先端が尖っていること、もう一つは花柄にヒレがあることです。
こちらのお手製解説をごらんくださいませ。
え、こんなぼけぼけ写真では分からないですか?
だったらぜひご自身で観察してみてくださいませ。
わたしも、もう一度「ヒルガオ」が咲いていた場所に行って、今度は苞と花茎を写してきます。
それにしてもこの暑さの中でヒルガオ科は元気ですね。
調べてみたら、ほぼほぼ熱帯原産の帰化植物でした。
在来のヒルガオが少し押され気味です。
【撮影:2024/6~7月 宇治市】
週末お買い物時のルーティーンとなりつつある、宇治川沿いの散策。
今回は何が見られたでしょうか。
例によって、JR奈良線221系電車。昼間はこればっかりです。
川はダムからの放流があるらしく、結構増水していました。
右岸の堤防を歩いていきます。
右手の土手は草刈りをしたばかりらしく、沢山のスズメが餌取り真っ最中。
カメラを向けると、あ~
一斉に飛び立って、茶畑の日よけの棒に移動。
結構な数のスズメのなかには、幼鳥もかなり混じっているようでした。
私がじっとしているとまた土手に下り、少し動くと飛び立ち、を繰り返していました。
可哀そうなので、すぐ裏手にあるいつものサギコロニーの方に移動。
ダムが放流していると、前の川での餌取りが厳しいですが、サギたちはどうしてるでしょう。
前に行った時より、随分沢山のサギが休んでいました。
ズームで真ん中あたりをパチリ。
前に行ったのは6月上旬でしたが、その時よりかなり成長しているように見えました。
子どものダイサギをトリミング。なんか兄弟で口論してるみたい。
おや、こちらはお久しぶりのゴイサギですね。幼鳥も見えています。
あ、飛んだ!冠羽がカッコイイ!
ぼけぼけ写真をさらにトリミングしているので、証拠写真ということで・・・
そして、前にも多分写していたこちらのダイサギの巣。
子どもが大きくなった?
木のてっぺんの方に目を向けると、アオサギの巣
おや、こちらもてっぺんにアオサギの若鳥が三羽いますね。
よく見たら、こちらの写真でも上にいるのはアオサギです。
ひょっとして、アオサギはお山の大将ならぬ、クスノキの大将なんでしょうか。
そういえばこの日は見張り番もアオサギでした。
いつも同じような写真ばかりで恐縮です。
見てくださってありがとうございました。
【撮影:2024/6/29 宇治市】