多頭飼育崩壊・・何十匹もの猫が水も食べ物もない部屋に閉じ込められ、糞尿まみれでお互いに傷つけ合い、そして助けを求めている。その悲惨さは目に余ります。自分はこういった記事を目にするたびに保存していますが、最近特に増えてきた。行政やボランティアの人たちができる限り救い出し、記事にして発信しているのです。大抵は隣近所の人からの連絡で発覚するけど、誰にも気づかれず悲惨な結末を迎えることも少なくないだろうと想像するに難くない。
多頭飼育崩壊は、飼育放棄の置き去りやブリーダーによる意図的放置など悪質な例もあるが、多くは独居高齢者による経済的物理的な理由で世話ができなくなり、放置状態になることが原因だ。この場合の特徴は去勢手術をしてないことで、室内交配で意に反して増えてしまう。増えすぎた猫たちは虐待に近い状態で室内に放置されるが、保護者はそれでも猫たちに愛情を持っている場合が多いようだ。孤独死や緊急入院で保護者の意に反して猫たちが取り残される例もよく見受けられる。
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「おいおい、わが家は大丈夫だろうな」(モドキ、奥にヒョウ)
中には外にいるかわいそうな猫たちを次々と保護しているうちに、自らが多頭飼育崩壊してしまった例もある。つまり多頭飼育崩壊は悪質な例を除いて、善意の保護だったり独居高齢者の寂しさを緩和するための飼育が要因となっているのです。悪質な例は別として、法規制などで対処すべき問題ではないだろう。
一方多頭飼育の崩壊は、保護ボランティアや行政の野良猫削減活動に深刻な打撃を与えている。多頭飼育崩壊に対応すれば一気に保護猫シェルターが満杯になってしまうからだ。これまで常々書いてきたように、保護ボラさんたちがどんなに頑張ってもそれを上回る猫捨て(多頭飼育崩壊や脱走含む)がある限り、野良猫の数が減ることはない。殺処分寸前の猫たちをボランティア団体が救い出すのも同じ。「命」の救出が最優先だからそれもやむを得ないだろう。こうして、本来の目的であったはずの野良猫を保護して減らす活動が後回しになっているのです。
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「オジンのことだから大丈夫だよ」(レオ、下にココ)
いまだに慣習のように行われている猫捨てに関しては、闘うしかない。つまり著名人含め限りなく大勢の人たちが声を上げ、猫捨てが悪であることを社会常識化するのです。現在は一部の人たちの間では常識だけども、社会全体に広がってはいない。この常識が社会全体のものとなればマスメディアが動き、警察が動く。すると動物を物としか見ていない検察や司法(裁判官)の意識も変わり、法(動物愛護法)の意図に沿って今より遥かに重い刑罰を下すようになるのです。(この問題は別記事にて改めます。)
それに対して多頭飼育崩壊の問題にはどう対応すべきか。一人暮らし高齢者の生きる糧とも言うべきワンニャンを取り上げるのは現実的とは思えない。先日紹介した猫愛第14話の後藤さん(仮名)がいい例だ。ただいずれにしても、独居高齢者は誰かに見守られている必要がある。家族はもちろんだけど、最近は家族の縁も薄くなった。やはり隣近所の情報を頼りに、役所などの民生委員が担当するのがいいと思います。各自治体は、そのための人材など確保してほしいのです。そこには保護団体も一枚噛んで、飼育されているワンニャンの情報が届くようにする。
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「でもオジン最近調子悪そうだし」(リン)
てなことを考えていたのですが、もっと積極的にとてもいい提案をしている記事を見つけました。横浜国立大学准教授の安野舞子さんの提案です。ヨミドクターの多数の記事の中に見つけました。「心の支えになっているペットと最期まで共に生きたいと願う高齢者には、そういう環境が提供できる社会でありたい」と安野さんは訴える。とても大切なことだと思います。安野さんの提案を下にリンクしておきますので、是非読んで頂ければと思います。
(クリックしてポップアップ)
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「大丈夫よ、オレがオジンを見てるからな」
(最近オジンベッドで寝るようになったニャー)