今回は猫じゃなくて人の話です。
前記事で触れた、物言えぬ犬猫たちへの虐待という卑劣な人間の蛮行。
まさにかの大戦中ナチスの迫害に怯えたユダヤの人々の再現だ。
アンネ・フランクさんの書いた日記が、ノラたちの生活を代弁しているのです。
さらに論題とすべきなれど、今回は逆に敬意に価する人たちの行動を紹介します。
(参照ネットニュースは本記事最下段)
行方不明になったニャンコたち;ポン(2015-2016)
1.原発事故・立ち入り禁止区域に取り残された猫たち
未曽有の大災害となった東北大地震と福島原発事故。指示により避難した人たちはすぐに戻る予定で、その後自宅が何年も立ち入り禁止になるとは夢にも思っていなかった。残された犬猫たちは閉じ込められ繋がれたまま飢えに苦しみ最後を遂げる。運よく脱出できても過酷なノラ生活が待っていた。家族との幸せな暮らしが一瞬にして地獄へと変わったことを、後年現地に点々と横たわる白骨が物語っていたのです。(過去記事「被災して命を落としたワンニャンたちの、無念の涙を忘れない」)
そんな犬猫の救出に向かった人たちがいる。Aさんは事故からひと月も経たないうちに、被爆のリスクを恐れず救出活動を始めた。他にも遠方から通い続けた仲間たちがいた。被爆した犬猫の世話をする人たちがいた。Aさんたちの献身的な尊い努力によって再び幸せをつかんだワンニャンもいるのだということを、忘れてはならないと思います。
ソトチビ(2015-2018)
2.2階から飛び降り“即死”状態といわれた子猫
ボランティアのBさんは活動中、「2階から飛び降りて動かなくなった子猫がいる」との連絡を受けた。すぐに保護して病院に連れていくと、頸椎(けいつい)脱臼 との診断で本来なら即死状態だと。手術が難しくできる医者も少なく、しかも高額で成功の保証もないと安楽死を勧められた。しかし、子猫の生きようとする様を見てBさんは手術を決意する。
「この子はすごい痛みに耐えてるはずだ」先生の言葉が耳に残ってBさんは焦った。やっと手術をできる先生をみつけ100万の手術費はカンパと自費でまかなった。術後の見込みに悲観的な先生に屈しなかったBさんの気持ちに報いるように、子猫は奇跡的に持ちこたえて退院するまでになった。子猫はBさんの子になりピノと名付けられ、自力で歩くことを目指してリハビリを始めたのです。子猫の頑張り、先生の技術、そしてBさんの熱意、本当に頭が下がります。
ダイフク(2015-2018)
3.私がいなくなっても犬猫たちを守って
保護活動歴20年以上になるCさん。里親に出したワンニャンは2300匹に上るという。特に地元の保健所に収容された犬猫はすべて引き取って自宅に迎え、仲間と共に世話をしながら里親を探す。おかげでその地域では一昨年から殺処分ゼロを記録しているそうです。しかしCさんは、1年前に乳がんを告げられた。
性質の悪いがんで手術の後も治療を余儀なくされる。そして次第に、治療の痛みで思うように動けなくなったのです。そのときCさんの決断は、治療を中断し動けるうちに保護シェルターを建設して後継者を育てることでした。すべては保護した、そしてこれから保護する犬猫のため。今はクラウドファンディングで集めた資金を基に、病院で定期検査を受けながら保護センターの拠点探しを行っているそうです。まさに現場中心の、献身的な活動家だ。
シャッポ(2016-2016)
4.愛猫を救うため貴重な愛車を売却
愛読している石井万寿美先生の記事に、愛猫の難病(FIP)の治療のために希少価値のある愛車を売る決断をしたDさんの話がありました。先生は獣医なので病気の方に焦点を当てています。自分もルイの命を奪ったFIPと、最近出てきたその高額な未承認治療薬について調べているところでした。(過去記事「天国のルイへ ~FIPという病気の話~」)
この話は感動した別の人によってTwitterで拡散され、ニュースサイト「withnews」が報じると多くの人の感動を呼び励ましやカンパが集まります。そしてついに、神様のような人(Eさん)が現れるのです。 Eさんはやはり車と猫を愛する人で、Dさんの車を見ずして即決で購入し入金します。しかも車はDさんのために整備して保管しておくからいずれ買い戻しに来てください、そう言うのでした。
何とかその後の情報をと探していたのですが、今日の「女子SPA!」にありました。Dさんの愛猫シルクは治療を開始し既に退院できるまでに回復。さらに完全回復を目指して自宅で治療を続けるそうです。最近はFIP治療のためのクラウドファンディングが随分立ち上がっていますね。なかなか凡人に真似できることではなく、自分もますますルイに申し訳ない気持ちが募るのでした。
カブキ(2016-2018)
ちょっと長くなってしまいました。でも、心がほっこりしてきたのでは?
いずれも普通の人が容易にできることじゃないけど、人間も捨てたもんじゃないよと。実はこのような美談は他にも山ほどあって、冒頭に挙げた悪しき蛮行の比じゃないのです。それでも一握りの蛮行のインパクトが強いから、そっちの方が目についちゃう。たとえ1匹の猫でも、いわれのない被害に遭わない社会を目指したいからだと思います。
ミセミケ(2017-2019)・・・いつか再会を期して