~チキンとキリンのカテゴリーを新設しました~
3年前の3月、推定月齢5,6ヶ月の子猫チビが店にやって来た。それからニャーやシャッポとともに店の3匹時代を築いたが半年後、チビは不幸な事故でこの世を去った。その間自分はまだ人に馴れないチビと付き合ったが、とにかく感動の連続で敬意を抱くことすらままあった。たかだか子猫に大袈裟なと思うかもしれないが、その怖れを知らない冒険心、前向きさ、ひたむきさ、くじけない、(不遇を)恨まない、誰かのせいにしない、誇りを忘れない、裏切ることを知らない・・・、とにかく負の感情というものをまるで持ち合わせない生き物だった。
猫の5,6ヶ月は人間で言えば8、9才。チビのような行動をこの年頃の人間の子に期待できるだろうか。いやいや、大人にだって無理な話。つまりチビは、人間から見ればまさに聖人(セイント)そのものだ。しかもチビは独りで厳しい冬を乗り切ってこの店にやって来た。人の子と違って、駄々こねて泣き喚けば何でもしてくれる親はいない。彼は何の後ろ盾もなく、生きていくための術をその身を賭して覚えてきた。傍目にはかわいらしく遊んでいるように見えても、彼にとってはまさにサバイバルゲームだったのです。
店に来た当時のチビ(初めて写真に納まった、再掲)
あれから3年、今回保護したチキンとキリンは推定2ヶ月足らず。人間で言えば3才未満です。そのチキンとキリンが、あのチビと同じように冒険心に満ちて遊んでいる。いや彼らにとっては真剣勝負のサバイバルゲーム。病院の先生が言っていた「ノラの場合は2ヶ月足らずで親離れすることがある」は本当でした。2匹はもう親を求めてはいません。こんな感動を、というか驚きを、このトシになって味わえるなんてやっぱり子猫は素晴らしい!
くりくり目のやんちゃなチキンは男の子。
流し目のはにかみ屋さんキリンは女の子。
キャットタワーが大好きなチキン(左)とキリン(右)
2匹ともわが家の先輩猫たちへの挨拶を無事に済ませました。わが家に来たのが2週間早かったチキンには一日の長があって、今ではもう先輩たちを追い回しています。キリンもケージの中は当初の2日だけで今は皆と同じ生活。まだ少しビビリで、保護者や苦手のちび太やクウが近づくとピアノの裏に逃げ込みます。このピアノの裏を拠点にして、行動範囲をどんどん広げている最中です。チキンは保護されたとき弱っていたせいか、回復した今は保護者を親と慕うようになりました。
何より仲のいいのがこの2匹。わが家で出会ったときから旧知のようにじゃれ合っていたのは、やはりもともと兄弟だったのかも。それにしても、2匹になってからの彼らは学習能力も学習量も飛躍的に向上したように見えます。多くの肉食動物が多産系なのには、こんな理由もあるのかもしれません。切磋琢磨して成長する間柄、しかし残るものが選ばれる過酷な運命。とっても厳しい野生の世界だけど、チキンとキリンにはもう不幸への道はありません。
(左)やさしいシロキおじさんに見守られながら遊ぶ2匹
(右)シャーをやられると即座に「参りましたぁ」のポーズで固まるチキン
さて、まだ健康診断も終えてない2匹ですが、キリンには早くもトライアルの申し込みを頂きました。もう少し慣れて落ち着いたら出発です。2匹にはそれまでしっかりと社会化勉強をしてほしい。既にいつでも出発OKのチキンも、近々里親さん募集を始める予定です。
とっても仲のいい2匹です