今日も元気で頑張るニャン

家族になった保護猫たちの日常を綴りながら、ノラ猫たちとの共存を模索するブログです。

かつて、猫たちの暮らしは質素だった ~旧3匹時代の思い出~

2021年07月12日 | (故)テツ 
テツを亡くして以来4年間書き続けた「テツとの対話」シリーズ。
ようやく卒業し、テツの面影を思い出に変えたのが1年前。
久々にテツのことを書こうと思ったら、ハナくもなしには書けないことがわかりました。

若かりし頃の3匹

槍のように相場が突出したバブルのピーク時に購入したわが家。
地獄のような経験を持つ一家も、新居にはそれなりに満足だった。
小川と田園、神社の森に囲まれた閑静な住宅街。
当時は何故か捨て猫が多かった。

そのうち拾われていった子猫たちだったが、当家は参加しなかった。
しかし3年も経った頃、小学性だった息子がノラの子猫を持ち帰ってきた。
街の外れに捨てられ年上の子たちにいじめられていたのを、勇気を出して助けたのだという。
その行為を褒めたたえ、まさかその後に猫を捨ててこいとは言えなかった。

利発な子だったハナ

そうしてまだ齢4,5ヶ月のハナがわが家の一員になったのです。
それからは妻の動物好きに火がつき、半年後には文太(ワンコ)、5年後にはテツ、7年後にはくもがわが家にやってきた。
妻の友人がブリーダーから引き取ったというくも以外は、みんなノラの子だ。
当時の世話役は専ら妻、遊び相手は中高生となった3人の子供たち(女女男)。
自分は海外出張が多く、ワンニャンと接することはあまりなかった。

ハナ:在籍1993~2014年 敗血症にて他界・享年22才 
文太:在籍1993~2009年 ガンにて他界・享年17才
テツ:在籍1998~2016年 IBDにて他界・享年19才
くも:在籍2000~2015年 甲状腺機能亢進症にて他界・享年15才

リビングでくつろぐ3匹

やがて子供たちが独立して家を出、自分は外資系を早期退職して家中心に戻った。
夫婦とワンニャンの暮らしが始まりました。
当然ながら、妻の見様見真似で自分もワンニャンの世話をすることに。
そのうち自分は今の店に身を置き、製薬会社に勤めていた妻もやがて退職して今の店に合流した。

当時の猫たちの暮らしは今とは比較にならないほど質素なものでした。
ご飯も小さめのお椀に缶詰とカリカリ、たまに種類を変える程度で毎日同じ。
トイレは1階の廊下にひとつだけ、結局最後までそれで通した。
ハナとテツはリビングを中心に、大人になったくもは2階のオジン部屋を根城にした。
それでも、昼間は何かと3匹一緒にいることが多かった。

3匹の食事風景

夜になるとくもはオジンと、ハナとテツはオバンの両側に潜り込んで寝るのが日課。
特筆すべきは3匹ともリード散歩が大好きで、よくまとめて3匹連れ出した。
猫の気まぐれに翻弄される散歩姿が町内でも評判になったものです。

3匹はそれぞれ1度づつ、保護者の手間をかけたことがある。
ハナは晩年脳梗塞で倒れ、早期の処置が幸いして奇跡の復活を遂げた。
テツはリードで外にいるとき行方不明となり、必死の捜索も見つからなかったが、1週間近く経った夜中に感動的な帰還を果たした。
くもは2階の屋根から落ちて骨折、大手術の後見事に回復した。
どれもこれも懐かしい思い出だけど、結果がよければこその話。
諦めずに最善を尽くすことの大切さを学んだのです。

晩年のくも

文太と3匹の晩年、自分は介護に明け暮れた。
文太のガンとの闘い、その闘病も介護も壮絶を極めた。
安楽死まで考えた保護者に、つらい決断はさせまいと文太は逝った。
ハナは復活といっても完全ではなかったし、その1年後に倒れたときは夫婦が留守だった。
夜間病院では見過ごされ、翌日敗血症と診断されて入院したが、入院先で息を引き取った。
くもはハナの看病に追われている間に肝臓病、腎臓病を併発してガリガリに痩せていた。
気づいたときは手遅れで慌てて入院したが、入院先でハナを追うように息を引き取った。

くもに自分のご飯を譲るテツ

どんなに懺悔しても足りない、くもに対する贖罪と自責の念。
ハナとくもを病院で独り寂しく逝かせてしまったことの後悔。
残された夫婦とテツは、寂しさを共有した。

テツと文太

そのテツは、IBDの末期だった。
一進一退を繰り返しやがて憔悴していく不治の病。
でも保護者とテツは、二人三脚でこの病魔と闘うことを決意しました。
それからの1年と8ヶ月、苦しいけど楽しい日々だった。
外猫だったみうがふたりを励ましてくれたのもこの頃。
やがてテツにはわかったのだろう、それとなく合図が。
そのおかげで、自分は落ち着いてしっかりとテツを看取ることができたのです。

テツは終生の友と言うべき猫でした。
彼を看取った後、保護者はノラたちの保護活動を決意することになるのです。

ハナとテツ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

テツとの対話 その23・「卒業」~そして思い出に~

2020年08月25日 | (故)テツ 
やあ、テツ
もうすぐこのブログも4周年を迎える
4年前の9月、このブログを始めて
3回目(3日目)に書いた記事がお前の訃報だった

お前にもらったたくさんのやさしさと幸せを
少しでも過酷な世界にいる仲間たちにも分けられたらと
始めた保護活動とブログだったのに
よもや肝心のお前を失うとは・・・


テツ2才 (右はくも0才)

あれから4年
看取った仲間も行き別れた仲間もいたけど
今では家と店それに通いも合わせて13匹の仲間たちがいる
何とか続けてこれたのも、お前が話し相手になってくれたからだ


テツわが家に来て3ヶ月(右はハナ5才、中央ブンタ)

でもテツよ
最近は話題が変わってきたよな
お前自身のことじゃなくて今の仲間のことだったり世相だったり

えっ? そりゃ当然だって?
自分は(オジンの)心の中の存在だから
(オジンの)心が映し出すものしか見れない
過去の自分より、今生きている仲間たちの方が気になるのは自然なこと?


テツ15才、ハナ20才、くも13才

・・・テツよ
本当は自分でもわかってたんだ
お前をこうして引っ張り出してきたのは
"テツロス"を少しでも和らげるためだった

でも、今は感じる
まるで相談相手のようにお前を呼び出すのは何か違う
初めの頃のように、純粋にお前との思い出話に耽りたいってね
そうか
お前はもう、思い出になってるんだな


わが家に来た頃のテツ0才

かつて「君が思い出になるときは」(その14)の中で
それは自分がお前に会いに行くときだと書いたけど
やっぱり違う
自分が"テツロス"から解放されたとき
そう、お前のやさしさから卒業したときなんだ
ニャーやちび太たちともっとしっかり向き合うために


くもを迎えて半年後、いつも仲良し3匹だった

テツよ
お前を呼び出すのは今回を最後にしよう
お別れなんかじゃないさ
このオジンの中でお前は不滅だ
そして数えきれないほどの思い出
その一コマ一コマを、書き綴るときも来るだろう

死してなお4年もの間
このオジンを支えてくれて本当に本当にありがとう

REST IN PEACE, TETSU and FOREVER IN MY HEART


晩年、絵になったハナとの恋仲

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

テツとの対話 その22・郷愁 partⅢ ~思いやりの時代~

2020年04月28日 | (故)テツ 
やあテツ、久しぶりだね
こっちの世界は大変なことになってきた
新型コロナというウィルスが蔓延して
自分の命を守ると同時に
他人の命を守る行動が求められている

テツ17才:テツは永遠の友達です

テツよ、お前がわが家に来た頃は
この小さな新興住宅街に捨て猫が繰り返された
今にして思えば森に捨てるよりはましだったのかな
何とか拾われたその子猫たちは
今と違って家の中外を自由に出入りしていた
誰々さんちの何々ちゃん
住宅街の誰もがその子たちを知っていた

のどかな田園風景
蛙の大合唱にザリガニやカブトムシ捕り
さわやかな風
開放的な家と街並み
すべてがやさしさに包まれていた
でも今は
どこのお宅にネコちゃんがいるのかすらわからない(完全室内)

住宅街から出ると広大な田んぼ(今は草原)を見渡せた
手前にあった小川は今はコンクリートのトンネルに

それでも、この街はいい方なんだろうな
お隣の住人が誰かも知らず
ひたすら干渉せず迷惑もかけず
何かされれば怒りを露にする
自分の世界を守ろうと、敷居を目一杯高くする

だからと言って、もちろん変人なんかじゃない
みんな善良な市民だ
時代が、変わったんだよな

なあテツ、お前たちがいた時代は本当によかった
今のノラたちは家からも街からも締め出され
それでも心ある人たちを頼って生きている
罵倒され、迫害され、邪魔者扱いされても必死に耐えて生きている

8年前のわが家:左からくも(13)、テツ(15)、ハナ(20)

えっ? それは未来の人間の姿?
いつしか人間は、合わない人間を同じように扱うだろうから?
コロナ騒動でわかるように、この国でも差別はもう始まっている?

テツよ、今日のお前は厳しいな
確かにそうだ
スマートホンにSNSという文明の利器
それに匿名性という麻薬が加わって
人間は本性を露呈してきた

でもな、テツよ
あの懐かしくやさしい時代を求めるのも
これまた人間の本性だ
そしていつしか人々はあの時代を取り戻すと
このオジンは信じてるのさ

テツ1才と文太3才:やさしさに包まれた懐かしい時代

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

テツとの対話 その21・ ・・感じる・・

2020年01月29日 | (故)テツ 
やあテツ、元気そうだね
こっちはまたひとつトシをとったよ(数え年)
去年はいろいろ大変な年だったから
今年はもう少し落ち着いて暮らしたいな

おっと、
お前には年も何も関係ないか
えっ? 最近はこっちの世界がよく見える?
何だか周りが澄んできて
昔の時間に戻っていくようだって?

そうか・・・実はな、テツ
自分にもちょっとした変化があるんだ
見えるんだよ、お前たちが
いや
というよりお前たちの存在を・・・

リビングから出るとき何気に振り返ると
ソファーの上でお前とハナが見送っていたり


自分の部屋に入った途端
ベットにいたお前とくもが振り返ったり


玄関から出てふと庭を見ると
みうが生垣の下で道路を見渡していたり


誰か来たかと勝手口から覗いたときも
みうとソトチビが見つめてきたり


お店で鉢物のメンテしているとき
鉢の間でテンちゃんが休んでいたり


SC散歩中に気配を感じて見渡したときも
テンちゃんが一緒に歩いていたり・・・


感じるんだ
かつて一緒に暮らしていたときのように
お前たちがいつも傍にいる

もしかしたら
穏やかにわが家のネコたちと接し始めてから
連中の霊感が伝わったのかもしれないな
お前たちまでがよく見えるようになった

そうだよ、テツ
お前たちは今だって
心の中でしっかりと生きているんだから

ハナとテツは、今も窓辺で寄り添っている

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

テツとの対話 その20・最後の5分間

2019年10月15日 | (故)テツ 
やあテツ
ようやくお前と話せるようになった
我々がみうの闘病の応援団を結成して(その19)
その9日後にみうがあんなことになるなんて・・

何て言うか哀しいというより
悔やんでも悔やみきれない
みうに申し訳ない気持ちが
洪水のように溢れ出て止まらない

あんなにやさしくて、控えめで
自分を信じて慕ってくれたのに
その気持ちに応えられなかった


みうは、テツが要介護生活の最中に家裏で暮らし始めた

自然を駆け回る自由を奪われ、ソトチビを奪われ
代わりにみうが得たものは何だったんだろう
みうの記事を書くたびに幸せにすると誓ったはずが
お迎えなんてしなければよかったのかな

なあテツ
お前は覚えてるよな
つらいながらも、楽しいこともたくさんあった
介護者と被介護猫の暮らし
みうは遠くなり近くなりから励ましてくれた
いつもあのゴロンゴロン挨拶で
最後の1年間を明るく楽しく過ごさせてくれた
だから、どうしても恩に報いたかった
それはお前も同じだよな


テツが外に出ると、何処からともなくやって来てゴロンゴロン

もしお迎えしなかったら
みうは同じように発病したのだろうか
ニャーからの隠遁生活のストレスや
多頭生活のストレスがなかったら
それに最後の通院での耳掃除
みうは全身でもがいて苦しがった
何度も何度も
もしあれがなかったら
みうは発病しなかったんじゃないだろうか

オジンと一緒にいたかったみうの気持ち
痛いほどわかっていた
みうにとって、家に来てからは自分が頼みの綱だった
でもどんどん多頭化して
そんなみうの気持ちに応えられなかった
随分寂しい思いをさせたんだろうな
今更どんなに自分を責めても
みうはもういない

お前の大事な忘れ形見をあんな形で失って
お前にも本当に済まない・・・
えっ? そんなことない?
みうは幸せだったって?
最後の5分間を、もう一度思い出せ??


ハナとくもをたて続けに失った傷心のテツを、励まし続けたのがみうだった

・・・そうだったんだ、テツ!
「みう、力尽きる」の記事では書かなかったけど
あの5分間を克明に記録した
自分のデジタルノートにも書いてあった
オバンに言われて2階からすっ飛んできて
痙攣するみうを膝の上に乗せたとき
後足の痙攣が治まったかに見えたそのとき
みうが喉を鳴らしたんだ
時間にして60秒もあっただろうか
やがて背中が痙攣しだしてそれどころじゃなくなった

自分の膝に抱かれてから
命の炎が燃え尽きるまでの最後の5分
いや、その前に意識を失うまでの数分
確かにみうは喉を鳴らしていた
オジンに抱かれていることがわかったから
独りじゃない、大好きなオジンが一緒だ
そう思いながら、みうは旅立ったんだ

ありがとう、テツ
大事なことを思い出した
みうを失った悔恨は消えないけど
自分の思いはみうに届いたと信じたい
これでようやく
みうの思い出に浸ることができそうだ
テツよ、本当にありがとう


テツは長く楽しかった3匹時代の最後の砦
わが家の一時代を締めくくった

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする