本記事は、「ノラたちとの共存を目指して・場外編その2」の位置づけとなります
硬派的なものや過激な話は、気心のやさしい猫好きさんには敬遠される。
かつて「死刑に処すべし」を書いたとき、そうアドバイスしてくれた人もいたのですが・・。
やっぱり我慢できないから書いちゃいます。
平田雄一郎容疑者(49)、千葉市若葉区愛生町、アルバイト。
現在の情報はこれだけ。でもSNSなどでこの男のさらなる情報が追及されている。近々その素性が白日の下にさらされ、この男が社会的に抹殺され、この世から消えてしまうことを切に願っています。この男、100匹ほどの猫を虐待して最近逮捕されました。
主にエアガンによる殺戮ですが他にも熱湯をかけたり薬品をかけたり、殺害の残虐さは尋常でない。被害に遭ったのは公園の野良猫の他、地域猫や家猫。同市内では3年ほど前からいくつかの公園で同様の事件が相次いでおり、関連性も調べられている。同一犯なら数百匹被害の大規模事件だ。供述によると、その動機は「征服した気分になれるから。」
いわれのない理不尽な仕打ち、痛みと苦痛、恐怖と絶望・・どんな思いで猫たちが死んでいったのか。猫と暮らしている人なら知っている。彼らがどんなに平和主義者か、真の家族と呼べるほど気持ちを共有し、情に深いか。もしあなたの子が保護猫なら、あなたの子と殺された子は逆になっていたかもしれない。それほど運命の差は紙一重なのです。
人間が悪いわけではない。そのように話を一般化してはならない。この犯罪者が特別なのだ。アウシュビッツでユダヤの人々を恐怖に陥れ殺害したナチスの狂気。酒鬼薔薇聖斗、宅間守、宮崎勤ら世間を震撼させた凶悪犯罪者の共通点は、過去に猫など動物虐待の経験を持つことだ。ここでは議論を避けるが、快楽目的の性犯罪や虐待嗜好は本質的に治らない。加害者の人権だの更生だのといった抽象議論の対象にすべきではない。安心安全の社会のために、抹殺するしかない存在なのだと思います。
重複になるのでこれ以上の話は過去記事「死刑に処すべし」と「動物愛護とメディア批評」に譲ります。ここでは視点を変えて、猫を虐待した犯罪者が実際にどんな罰を受けたのか調べてみました。まず事件数。まだ資料が一昨年までと古いのしかなく、下図の通りです。
年々増えていることを問題視するサイトが多いですが、自分はこの数字は少なすぎると思います。警察が事件として扱うには何より市民の通報が一番。この数字の少ないことは、通報の数が少ないか犯人を特定し難いことを意味します。実際、虐待は隠れて行われるので目撃されることも少ないのでしょう。検挙数を上げるには市民と警察のさらなる連携が必要です。警察に通報すると住所氏名など個人情報を確認されますが、それは致し方ないこと。一度思い切って最寄りの警察の担当課に聞いてみては如何でしょうか。意外と(失礼!)やさしいですよ。
次に、虐待で捕まった犯罪者がどんな罰を受けたのか調べてみました。ご存じと思いますが動物愛護法は5年毎に改正され、一昨年の改正による厳罰化は昨年6月に施行された。ちなみに、野良猫も家猫も愛護動物として本法の対象動物となっています。
動物殺傷罪:5年以下の懲役又は500万円以下の罰金(旧:2年以下200万以下)
動物虐待罪:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 (旧:懲役刑なし)
動物遺棄罪:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 (旧:懲役刑なし)
※その他の主な改正
販売可能日齢生後49日から56日へ引上げ(本年6月より)
マイクロチップ装着の義務化(来年6月より)
販売頭数規制(本年6月より・経過処置あり)
さて、違反者の刑罰については環境省が公表した「平成30年度動物の虐待事例等調査報告書 」に要約されています。その内容はこれまで述べてきたこと(※脚注2)と同じでした。まず、逮捕された人のうち67%が不起訴(2017年)。起訴されたのはわずか38人です。刑罰については罰金数万~10万円台が殆どで、懲役刑は全て執行猶予付でした。つまり、動物愛護法を有名無実化しているのは摘発の低さだけでなく、逮捕されても起訴されない、起訴されても法が示すような厳罰にはならない、そういった検察司法の姿勢にもあるのです。
では裁判所は何故こんなに甘い判決しか出さないのか。裁判所や検察の判断は市民の常識をベースにしていることを考えると、それは一般市民がそう思っているからということになる。確かにそうなのです。日本人は全体として、欧米に比べて動物愛護に対する意識がかなり低い。その結果が、先に挙げた甘い判例に繋がっているのです。とりわけメディア関係者の意識の低さが今日の事態を招いている、とも言えると思います。
単なる快楽目的で猫数百匹を無残に殺害した犯人を「死刑に処すべし」という本記事のタイトルを見たとき、過激すぎると思うかどうか。まさに「万死」に値する凶悪犯罪だと思うかどうか。少なくとも、日本人のひとりひとりが動物虐待を憎む意識をもっと高め、このような凶悪犯罪には愛護法の最高刑である懲役5年(執行猶予なし)か罰金500万円が科せられる社会にしたいと思うのです。
※1 参考資料
・動物虐待事件数の推移(2020年3月)時事ドットコムニュース
・動物の虐待事例等調査報告書(平成19年度および30年度版) 環境省
・動物愛護管理法等の改正(令和2年6月1日施行分) 越谷市HP
※2 本記事は、「ノラたちとの共存を目指して」シリーズの以下の記事を補完するものです
・その5 闘魂編「許さない、虐待に不法投棄に暗闇ビジネス」
・番外編・1 「罪と罰」(法の実行と刑罰の妥当性)
「オジン、あまり無理しないでね」