すぐ近くに公園がある。子供の遊戯がたくさんあって、鉄棒もある。
そこに一日おきくらいで、懸垂をしに行く。5回3セットくらい。
やりすぎると肘を痛めてしまうので、ほどほどにしている。そんなに若くないから。
この公園は、桜が満開になると、夜はライトアップされて、すごくきれいだ。
毎年、この時期になると花見をしている人が多いが、今年は誰もいない。コロナの影響だろうか。
でも、まだ五分咲きくらいだから、満開になったら花見する人もいるのかもしれない。
おっとっと、誰もいないと思っていたら、奥のベンチで若い男女がイチャイチャしてる。
高校生くらいかな。20歳くらいか。キスはじめたよ。
横目で見ながら、邪魔しないように通りすぎる。
人のキスは、まあ、いいだろう。勝手にやってくれ。ハハハ、やっかみではないですよ。別に。
だから、自分のキスのことについて想いをめぐらせてみる。
僕のファーストキスは、保育園のお昼寝の時間に、カーテンの裏でしたキスだ。
女の子の名前は忘れた。
ただ、モーツァルトのピアノソナタ第11番が流れていたのだけは覚えている。
この歳になって分かったことは、キスぐらいで、相手の気持ちは全然わからないということだ。
すごく好きな子とキスをしたことがある。ちょっと強引に。
時間が経って、そのことを話す機会があった。彼女は遊ばれてると思った、と言った。
マジかよ。すごく好きだったのに。遊ぶわけないじゃん。
ちゃんと自分の気持を、先に伝えるべきだったんだろうね。若いと、せっかちすぎてダメなんだろう。
ほんと笑える。バカみたい。
まあ、してもわからないし、しなくてもわからないなら、したほうがいいのかな。
禅問答みたいだが。