外出自粛の影響で、献血する人が減っているらしい。特にO型。
僕はO型だし、今まで献血というのをしたことがない。
それで、いっちょ、やってみるかと思った。何事も経験だ。
ちょうど4月11日に、献血バスが西葛西駅の南口に来ている。
それで、友人に「明日、献血にいくつもりなんだ」と言った。
困ってるなら助けないとね、とかなんとか言って。
カッコつけて言ったものの、ちょっと不安もあった。
というのも、血液恐怖症っぽいだからだ。血のことを考えると、体に力が入らなくなってしまう。
幽霊もそんなに怖くないし、暴漢が来ても勇敢に戦うだろう。意外と僕は恐怖に強い。
しかし、血のことを考えると、背中に寒気が走る。子供みたいにブルブルしてしまう。
だから、今まで献血をしなかった。いやできなかったのだ。
ドキドキした気持ちで、西葛西の献血車の前に来た。勇気を出して。
献血車の前にテントが張られていて、想像していたより人が多かった。クラスターになるんじゃないかと思ったくらいだ。
前の受付のところに立つと、係の人がやってきた。
ピリッと緊張が走る。いよいよ僕の血が抜かれるのね、と思うと寒気がしてくる。
「えーっとですね。これからだと、終わるまでに二時間くらいかかりますけど、いいですか」と言われた。
「あっそうですか。じゃあ、やめます」僕は即答した。
残念という思いと裏腹に、心の中は、晴れ晴れとした気分になっていた。
人の多い中で、二時間も待ってられないというのが表向きの理由だった。
しかし、本当は二時間も恐怖に耐えられなかったんです。
根性無しなんです。やっぱり血が怖いんです。ごめんなさい。