今日は、ニーチェの思想の一つ「永劫回帰」を考えましょう。
かんたんに言うと、世界・歴史はループしているということです。
人生は、何回も何回も繰り返されるという世界観です。
ちょっと想像してください。
摩擦のないビリヤードの台の上に、球を突きます。球は力を失うことなく、ぶつかり合って動き回ります。
そして、時間は無限にあるから、球は永遠にぶつかって動き回ることになります。
すると、ある時点で、ビリヤードの球が、以前のどこかの時点と同じ配列になる瞬間がやってくる。
そこから、また何から何まで、ことごとく同じ順序で反復することになる。
じゃあ、視野を広げて考えましょう。
このビリアードの台の中を、宇宙だとします。ビリヤードの球を、原子だと考えます。
原子はぶつかり合い、運動します。時間は無限にあります。
そうすると、宇宙の中で、原子が前と同じ配列になる瞬間がやってくる。
そこから、また何から何まで、ことごとく同じ順序で反復することになる。
こうして、世界はぐるぐるとループすることになり、同じ歴史が繰り返されることになるわけです。
世界が本当にこうなっているかどうかは、分かりません。
単なる思考実験です。
では、ニーチェは、この永劫回帰で何が言いたかったのでしょうか?
過去のことはもう終わったことだとして、問題は、今です。
もしも、この瞬間が、無限の時間の中で、何回も繰り返されることになるとしたら?
だとしたら、お前は、この瞬間をどう生きるんだ?
その選択でいいのか?
その行動でいいのか?
その人生でいいのか?
ニーチェは、僕たちに、そう問いかけているのです。
繰り返されることになっても、後悔しない人生を生きろと。