最近、夏目漱石の話ばかりしていたので、久々に「吾輩は猫である」を読みたくなった。
明治に書かれた小説なのに、腹を抱えて笑ってしまうので、本当におすすめです。
Kindleで無料で読めます。もしよかったら、リンクからどうぞ。
でも、僕はKindleではなく、文庫で読みたかったので、夕方、駅前のブックオフに行った。
110円で売っていた。しめしめって感じ。
意気揚々とした気分で、自転車で信号待ちをしていた。
昨日の東京は風が強かった。風がビュービュー吹いていた。
隣の自転車を見ると、後部座席に仰々しいカバーが付いていた。風よけなのだろう。
カバーの中に、女の子が乗っていた。
おうおう、洒落たおさげ頭で、なかなか可愛い女の子だった。これは将来、美人になるなって感じの子。
別にジロジロ見ていたわけではない。だけど、一瞬、女の子と目があった。
女の子は、突然、僕にあっかんべーをした。
ハハハ、あっかんべーかい。なんじゃ、その仕打ちは。僕が何をしたっていうんだい。
僕も、そういうとこは負けず嫌いである。基本、大人の皮をかぶったガキである。
思いっきり、舌を出して、下まぶたを引き下げ、あっかんべーをやり返した。
その意表を付いた攻撃に、風よけカバーの中で、女の子は大爆笑した。
それで、バタバタ暴れたから、お母さんに静かにしなさいと怒られた。
ハハハ、僕は必死に笑いをこらえて、真面目な顔をした。
しばらく、自転車で行く方向が一緒だったので、その自転車の後ろについていた。
その間、女の子は僕の方を向いて、ずーっと笑顔で手を振ってくれていた。
僕もいろいろ笑わせるアクションをした。変顔したり、目をパチクリしたり。
お母さんにバレないように、こっそりと。
そして、女の子を乗せた自転車が、左に曲がろうとした。
ついに、別れの時がやってきた。
女の子は、すごく大きく手を振って、バイバイした。
僕も自分にできる最高の笑顔で、女の子にバイバイした。