ひと昔前のベストセラー、『捨てる!技術』なんて読まなくたって、
もとより何でもパッパと捨てる性分です。
でもなぜか昔から、手紙だけは捨てられない。
引越し間もない部屋の片隅で、段ボールいっぱいにあふれている手紙の山。
今日は土曜日。
これを整理しようと意気ごんでましたが…。
うわー、なつかし。留学中のシェアメイトから。今どうしてるんかな。
あーっ! これ亡くなったおばあちゃんの手紙。…けっこう厳しいこと書かれてるやん。
ん? この人、誰やったっけ…などなど。
大晦日の大掃除といっしょで、ちっとも整理なんか進まない。
絵ハガキや手紙はもちろん、中学生の頃からためこんだ年賀状、
高校時代、授業中に席にまわってきたメモ書きにいたるまで、
よくまあこんなもの残してたなぁと呆れるほど。
なかでも多いのが、旅先で出会った人からの手紙。
当事は学生で貧乏旅行だったので、泊まりは毎日ユースホステル。
毎晩、夕食後のお約束が「郵ちゃんごっこ」でした。
「郵ちゃんごっこ」とは、旅先で仲良くなった人と、
お互いの旅ノートに住所交換をするというもの。
ちなみに今はどうしてるんだろう。
やっぱり、「携帯でピッ」かしら。
その頃、まだ携帯はない時代。
名前、住所、自宅の電話番号、そしてひとことメッセージをノートに手書きで。
役所の書類のような、自宅の正式データをまるごとお互い交わしていたものです。
旅から帰り、1ヶ月ほどすると、住所交換した相手からの手紙がポストに届きます。
中には、旅先でいっしょに写した写真が何枚か。
そして、次の年賀状ぐらいまでは届く。
でも、それで終わり。
当然のこと。
「旅で出会った友」と「日々の友人」は違います。
別れぎわの決まり文句、「近くに来たら連絡してね」
その言葉を真に受けて、地元の喫茶店で会ってはみたものの話題がつづかない。
旅先では、あんなに話が弾んだのに…。
よくある話です。
逆もまた真で、「日々の友人」と旅に出たからって楽しいとは限らない。
食事や宿のチョイス、お金の使い方、スケジュールの立て方。
いちいち遠慮して気がねして、しまいには相手の顔も見たくなくなる。
これも、よくある話です。
逆に言うと、旅はそれだけ非日常。特別な時間・空間だということ。
見知らぬ土地の風景に身をおくからこその体験や会話、そこに生まれる共感を
日常に持ちこもうというのが、どだい無理な話。
「一期一会」といいますが、
旅での出会いは、思い出の中にとどめておいた方がいい。
だいたい、かろうじて顔が浮かぶぐらいの人に連絡することなんて、もうないし。
…とは思うのに、この手紙の山、結局ただの一通も捨てられませんでした。
そして、授業中にまわってきたルーズリーフの切れ端も。
たわいないことが、高校生だった頃のその人の字で書いてあるだけなのに。
直筆パワー恐るべし。
「携帯でピッ」の若者にはこの気持ち、理解してもらえない、か。
もとより何でもパッパと捨てる性分です。
でもなぜか昔から、手紙だけは捨てられない。
引越し間もない部屋の片隅で、段ボールいっぱいにあふれている手紙の山。
今日は土曜日。
これを整理しようと意気ごんでましたが…。
うわー、なつかし。留学中のシェアメイトから。今どうしてるんかな。
あーっ! これ亡くなったおばあちゃんの手紙。…けっこう厳しいこと書かれてるやん。
ん? この人、誰やったっけ…などなど。
大晦日の大掃除といっしょで、ちっとも整理なんか進まない。
絵ハガキや手紙はもちろん、中学生の頃からためこんだ年賀状、
高校時代、授業中に席にまわってきたメモ書きにいたるまで、
よくまあこんなもの残してたなぁと呆れるほど。
なかでも多いのが、旅先で出会った人からの手紙。
当事は学生で貧乏旅行だったので、泊まりは毎日ユースホステル。
毎晩、夕食後のお約束が「郵ちゃんごっこ」でした。
「郵ちゃんごっこ」とは、旅先で仲良くなった人と、
お互いの旅ノートに住所交換をするというもの。
ちなみに今はどうしてるんだろう。
やっぱり、「携帯でピッ」かしら。
その頃、まだ携帯はない時代。
名前、住所、自宅の電話番号、そしてひとことメッセージをノートに手書きで。
役所の書類のような、自宅の正式データをまるごとお互い交わしていたものです。
旅から帰り、1ヶ月ほどすると、住所交換した相手からの手紙がポストに届きます。
中には、旅先でいっしょに写した写真が何枚か。
そして、次の年賀状ぐらいまでは届く。
でも、それで終わり。
当然のこと。
「旅で出会った友」と「日々の友人」は違います。
別れぎわの決まり文句、「近くに来たら連絡してね」
その言葉を真に受けて、地元の喫茶店で会ってはみたものの話題がつづかない。
旅先では、あんなに話が弾んだのに…。
よくある話です。
逆もまた真で、「日々の友人」と旅に出たからって楽しいとは限らない。
食事や宿のチョイス、お金の使い方、スケジュールの立て方。
いちいち遠慮して気がねして、しまいには相手の顔も見たくなくなる。
これも、よくある話です。
逆に言うと、旅はそれだけ非日常。特別な時間・空間だということ。
見知らぬ土地の風景に身をおくからこその体験や会話、そこに生まれる共感を
日常に持ちこもうというのが、どだい無理な話。
「一期一会」といいますが、
旅での出会いは、思い出の中にとどめておいた方がいい。
だいたい、かろうじて顔が浮かぶぐらいの人に連絡することなんて、もうないし。
…とは思うのに、この手紙の山、結局ただの一通も捨てられませんでした。
そして、授業中にまわってきたルーズリーフの切れ端も。
たわいないことが、高校生だった頃のその人の字で書いてあるだけなのに。
直筆パワー恐るべし。
「携帯でピッ」の若者にはこの気持ち、理解してもらえない、か。