銀ステ根なし草

銀のステッキ旅行・スタッフの雑記帳

今日の天使は…

2009年07月07日 | のほほん同志Aの日常
7月に入って、ちょうど1週間。

「きょう、七夕って知ってた?」
朝の電車では男子高校生がはしゃいでいたけれど、
こちらは夏バテなのか、なんとなく調子のあがらない、パッとしない1日。
仕事もたいしてはかどらず、早々に帰途につきました。

帰りの電車を待つ列に並びながらも、いつもより体が重い。
こんな日は、小難しい本は頭に入らないから、
ばかばかしくて面白い、中島らもさんがちょうどいい。

ふだんなら、来た電車に乗るのだけれど、今日はもう1本待って座って帰ろう…。
そのつもりで、ホームにすべりこんできた電車を見送ろうとしたら、
隣の車両に盲導犬が乗りこむのが見えました。

…!

急遽、予定変更して、ついでに車両も変更して、あわてて盲導犬のあとを追いかけた―

…いたいた。
盲導犬でお馴染みの大きなラブラドール犬。
優先席に腰かけるご主人の足もとで、お利口に「ふせ」の姿勢を保っている。
こちらは、ワンちゃんの真正面の位置をしっかりキープし、満足。かわいいなぁ。

犬は大好き。
犬が出てくると、テレビ画面から目が離せないぐらいに好き。
ソフトバンクの白いお父さん犬には、もう釘づけ。
こういう人、世の中に多いはず。

以前に、関西発の人気番組、『探偵!ナイトスクープ』の企画で、
大泣きしている赤ちゃんにタケモトピアノのCMを見せれば、
ぴたりと泣きやむ、というものがありました。
赤ちゃんたち、銀色の衣装を着たお姉さんの不思議なダンスに夢中になって
泣くのを忘れるそうですが、それに近い。


小学生のころ、親に頼みこんで犬を飼いはじめて以来、
何代かにわたって、犬はつねに生活の一部でした。
いまではメスの柴犬が家族の一員。
…ところがこの子、犬には珍しくやたらと気位が高くて、
愛想なしでツンとしているし、気が向いたときしか寄ってこないし、
帰っても尻尾をふるわけでもないし、へたになでるとウーッと威嚇してくるし、
これじゃあ、まるで猫。

犬だと思うから腹も立つ。女の子が、ツンと澄ましてると思うから憎たらしい。
というわけで、うちではこの子を「メスの犬」ではなく、「オスの猫」と思うようにしている。
だから今、我が家に犬はいないも同然なのよね――

床にぺたんと寝そべるラブラドール犬のくつろいだ顔を眺めながら、
そんなことをぼんやり考えてると、
駅についたのでしょう、ご主人が立ち上がり、つづいてワンちゃんも。
立ち上がったその背中には、「お仕事中です」の文字。

いつしか表情もきりりと引きしまったワンちゃんに導かれて、ご主人は降りていきました。


えらいなぁ、あの子は。あんなキリッとした顔して「お仕事中」だって。
私も見習わないと。

ワンちゃんが降りてしまったので、
ふたたび読み始めた中島らもさんの本に、次の言葉が。

「どんな日だって、必ず1日に1度、あなただけの天使が通りすぎる」

今日の天使は、まちがいなくあのワンちゃんです。

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